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小笠原誠治の経済ニュースに異議あり!

日本は、リーマンショック時のような状況にあるという永濱氏!

 お昼のTBSのひるおび!を見ていたのですが...第一生命の永濱氏がとんでもないことを言っていたのでご紹介するとともに、皆様の判断を仰ぎたいと思います。

 安倍総理が、最近、国際金融経済分析会合という名のヒアリングを実施しているのをご存知でしょう? スティグリッツ教授とかを招いて、消費税増税の実施を含め意見を聞いているのです。

 スティグリッツ教授は、増税を行うような時期ではないなんて言っていますよね?

 そして、安倍総理の見解はと言えば...リーマンショックのようなことがない限り、予定通りに増税は実施する、と。

 では、ここで貴方の意見を伺いたいと思うのですが...今、日本及び世界の経済はリーマンショック時のような危機的な状況にあるのでしょうか?

 聞くまでもないですよね。あの時には、リーマンブラザースが破綻したばかりでなく、米国の大手銀行の多くが破綻寸前までに追い詰められ、米国の金融関係者の顔は真っ青になっていたのです。

 そして、輸出は激減。内外を問わず失業者が街に溢れていました。

 今はどうでしょう? 米国の失業率は、ピーク時の約半分にまで低下し、日本は、むしろ人手不足が懸念される有様なのです。株価だって、年明けから暫く軟調に推移していたものの、当時の水準からすれば遥かに高い!

 そんな状況にありながら、永濱氏は、個人消費はリーマンショックの後以上に落ち込んでいると言うのです。だから、消費税増税を延期することはあり得るのだ、と。

 私、唖然としました。

 そんな、バナナ!

 というのも、リーマンショックが起きた後、輸出は急減しましたが、個人消費はそれほど落ち込むことはなかったことを知っているからです。

 個人消費というものは、そういうものなのです。だって、毎日の生活に必要なものは買わずにはいられないからです。つまり、個人消費の動向は、景気に左右されにくいのです。

 にも、かかわらず、個人消費は消費税率8%への引き上げによって大きく落ち込んでしまったと。

 では、何故そのようなことを永濱氏は言うのでしょうか?

 グラフをご覧ください。

個人消費の推移(実質).jpg

 個人消費の推移を示しています。これと全く同じものではなかったのですが、いずれにしても、このようなグラフを示して、個人消費はリーマンショックのときよりも落ちていると言うのです。

 リーマンショックが起きる前の2008年4-6月期の個人消費は294.5兆円である一方、2009年1-3月期は287.6兆円となっているので、6.9兆円減少したことになるが、消費税率の8%への引き上げによって、個人消費は、2014年4-6月の321.8兆円から305.8兆円と大きく落ち込んでいる。駆け込み需要の影響を除くために2013年10-12月の314.7兆円と比べても、8.9兆円減少している。つまり、減少額は、消費税増税後の方が大きく、その後も回復していない、と。

 しかし、この説明はミスリーディングなのです。

 何故かと言えば、これは実質ベースの個人消費を示したもので、実際に国民が支出したお金はこんなに大きく減少してはいないからです。

 もう一つのグラフをご覧ください。

個人消費の推移(名目).jpg

 こちらは名目の個人消費の推移を示したものです。

 名目の個人消費で比べてみると、リーマンショックの前後では、2008年7-9月の292.9兆円から2009年1-3月期には280.9兆円へと12兆円ほど減少しているのに、消費税増税前後では、2013年10-12月期の295.1兆円から2014年4-6月期の292.1兆円へと3兆円減少しているのに過ぎないのです(2014年1-3月期は駆け込み需要が含まれているため参考になりません)。

 永濱氏は、実質ベースの個人消費を問題にしている訳ですが、消費税率が3ポイント引き上げられ、それによって物価を2%ほど引き上げる効果があったと言われている訳ですから、実質消費が2%ほど減少するのは当たり前のことであり、当然予想されていたことなのです。

 これで、永濱氏の主張が説得力を持たないことがご理解頂けたかと思います。

 なお、ひるおび!に出演していた原千晶さんは、「私も主婦だから増税は嫌ですけど、今、増税を実施できないとなると、いつできるのでしょう?」と疑問を呈していました。

 まさに正論です!

 原千晶さんの方が、ノーベル賞受賞者のスティグリッツ教授や永濱氏よりも遥かに賢明ではないかと思います。


以上

最新の小笠原誠治の経済ニュースに異議あり!

小笠原誠治(おがさわら・せいじ)

小笠原誠治(おがさわら・せいじ)

1976年3月九州大学法学部卒。1976年4月北九州財務局(大蔵省)入局。
大蔵省国際金融局開発金融課課長補佐、財務総合政策研究所研修部長、
中国財務局理財部長などを歴任し、2004年6月退官。
以降、経済コラムニストとして活躍。
メールマガジン「経済ニュースゼミ」(無料版・有料版)を配信中。
著書に「マクロ経済学がよーくわかる本」(秀和システム)、
ミクロ経済学がよーくわかる本―市場経済の仕組み・動きが見えてくる」(秀和システム)、
経済指標の読み解き方がよーくわかる本」(秀和システム)がある。
企業・団体などを対象に、経済の状況を分かりやすく解説する講演も引き受ける。

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