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第355回 日本国の正しい成長戦略(3/3)

結局、現在の日本はあらゆる政策は、「一見まともに見える政策」であっても、現実には構造改革や移民政策に繋がってしまうのだ。あるいは、繋げようとする民間人や官僚、政治家が存在するという話である。
 そもそも、外国人の手を借りずとも済むように「生産性の向上」が必要なのである。安倍総理の「永住権取得までの在留期間を世界最短とします」には、何ら合理性も正当性もない。
 政府は「サービス業の生産性向上」という日本の課題を、構造改革や外国移民受入に結び付けるという姑息な真似はやめるべきだ。
 姑息といえば、自民党の移民推進派は、移民反対論を封じ込めるために「移民の定義」を変更しようとしている。筆者が「亡国の特命員会」と呼んでいる、木村義雄参院議員が委員長を務める自民党の「労働力確保に関する特命委員会」が動き出した。

『2016年4月22日 ロイター通信「自民特命委、介護・旅館・農業で外国人受け入れ提言へ=関係者」
http://jp.reuters.com/article/ldp-foreign-worker-idJPKCN0XJ0X6
 自民党の「労働力確保に関する特命委員会」は、介護、旅館、農業の分野で外国人を労働力として受け入れるよう政府に提言する。自民党関係者が22日、ロイターに明らかにした。提言では「移民政策」ではないことを明記し、入国時に日本滞在の期間を定めるとする。 
来週にも特命委員会を開催し、提言の原案を議論。その結果を踏まえ、連休明けにも最終的に提言をまとめる。
取りまとめを目指している提言では、これまで様々な解釈で理解されていた「移民」という言葉について「日本入国時に滞在の期間が決まっているかどうか」という判断基準を提示。
期間を定めた受け入れ方法を採るスタンスを明確にした。ただ、滞在中に期間の更新や永住権取得の可能性も残す。
受け入れ職種については3分野に限定せず、介護、旅館、農業など労働力が必要な分野として幅を広げ、人材が必要となった分野で活用できるようにする。
これらの分野では、これまで「技能実習」という形で実質的に外国人が労働に従事していたが、あくまでも実習のためで「労働力」として受け入れられてはいなかった。今回は「正面から労働力としての外国人受け入れに取り組む」(関係者)よう提言する。数値目標は定めないが、なんらかの量的水準を「におわせるような」(同)表現を盛り込むという。
研究者や経営者など、高度人材の活用については提言の対象とせず、建設分野も技能実習制度による受け入れ拡大を含む見直し法案が国会で現在審議されているため、特命委の提言には盛り込まない。
高度人材と対照的な概念として使われていたものの、これまで定義があいまいだった「単純労働」という言葉も、今後使わないよう提言に盛り込むとしている。』

 非常に姑息である。イメージが悪い「移民」という言葉について、国連人口部定義の、
「出生あるいは市民権のある国の外に12カ月以上いる人」
 ではなく、勝手に、
「日本入国時に滞在の期間が決まっていない外国人」
 と定義し、
「滞在期間が定まっている外国人は移民ではない」
 という強弁で乗り切り、日本を移民国家へと誘導しようとしている。しかも、滞在中の期間更新や永住権取得ができるのでは、これは実質的にも名目的にも、外国移民受入政策以外の何物でもない。
 賭けてもいいがが、今回の熊本・大分地震も、移民受入に「活用」されることになる。復興のためには、人手が必要だ。だから、外国人労働者の受け入れも仕方がない、といった印象操作を、政治家やメディが仕掛けてくることになるだろう。
 本当に情けない話なのだが、木村参議院をはじめ、亡国の特命委員会の委員たちの頭は「18世紀以前」のままなのだ。何しろ、経済成長は「生産者の数」の増加によって成し遂げられると、産業革命前の発想で政治をやっている。
 実際、木村参議院議員は、16年3月3日に、ロイター通信に対し、
「成長を確保するには、(外国人労働者を受け入れ)労働力を増やしていく以外に方法はない」
 と、語っている。まさに、産業革命前の発想だ。
 モノやサービスの生産という経済活動に投じられるリソースが「土地」と「労働」のみだった産業革命前はともかく、産業革命後の「資本主義」の世界では、経済活動の大きさ(GDP)は「資本」「技術」「労働」で決定される。と言うより、労働(生産者の数)が一定だったとしても、資本や技術におカネが投じられ、生産者一人当たりの生産が増えることで経済成長するのが資本主義なのだ。
 需要を満たすための供給能力は、以下の式で決定されることになる。

◆供給能力 = 生産者数 x 生産性

 そして、生産者数ではなく「生産性」を高めて供給能力を引き上げ、需要を満たすことこそが「資本主義」の基本なのである。そうすることで、生産者一人当たりの生産が増え、つまりは生産者一人当たりの所得が拡大していくことになる。
 すなわち、国民が豊かになっていく。
そんなことは「当たり前」の話なのだが、木村参議院を代表株とする「産業革命前の発想の反・資本主義者たち」は、人手不足の対応策として「外国人受け入れ」を提言してくる。人手不足の対応策は、生産性向上以外にはあり得ず、しかも安倍祖政権は「未来投資による生産性革命の実現」などと、それらしいことは言っておきながら、裏で猛烈な勢いで外国移民を受け入れようとしているわけだ。
 この手の動きに対抗するためには、レトリックが極めて重要になる。一般の人は、
「生産年齢人口が減っていくのだから、外国人を受け入れなければならない」
 といった、間違ったレトリックに、なかなか抗えない。真実は、
「生産年齢人口比率が下がり、人手不足が深刻化するならば、生産性を高める投資をすればいい。そうすることで国民は豊かになり、経済は大きく成長する。何しろ、高度成長期がそうだった」
 になるわけだが、そもそも一般人のほとんどは「生産性」について正しく理解していない。生産性を上げるための資本や技術への投資こそが、「資本主義」の原点であることも知らないだろう。
 逆に言えば、上記の「資本主義」の基本を国民の多くが理解することで初めて、我が国は外国移民を拒否し、生産性向上という正しい道を邁進できることになる。「資本主義」の基本を、知って欲しい
 日本国は資本主義の基本に立ち返ることで、経済成長することが可能だ。人手不足下の投資こそが、経済成長をもたらす。
 我が国に外国移民は必要ない。

最新の三橋貴明の「経済記事にはもうだまされない!」

三橋貴明(みつはし・たかあき)

三橋貴明(みつはし・たかあき)

1994年、東京都立大学(現:首都大学東京)経済学部卒業。
外資系IT企業ノーテルをはじめ、NEC、日本IBMなどに勤務した後、2005年に中小企業診断士を取得、2008年に三橋貴明診断士事務所を設立する。現在は経済評論家、作家として活躍中。
インターネット掲示板「2ちゃんねる」での発言を元に執筆した『本当はヤバイ!韓国経済―迫り来る通貨危機再来の恐怖』(彩図社)が異例のベストセラーとなり一躍注目を集める。同書は、韓国の各種マクロ指標を丹念に読み解き、当時日本のマスコミが無根拠にもてはやした韓国経済の崩壊を事前に予言したため大きな話題となる。
その後も、鋭いデータ読解力を国家経済の財務分析に活かし、マスコミを賑わす「日本悲観論」を糾弾する一方で、日本経済が今後大きく発展する可能性を示唆し「世界経済崩壊」後に生き伸びる新たな国家モデルの必要性を訴える。
崩壊する世界 繁栄する日本』(扶桑社)、『中国経済がダメになる理由』(PHP研究所)、『ドル崩壊!』 など著書多数。ブログ『新世紀のビッグブラザーへ blog』への訪問者は、2008年3月の開設以来のべ230万人を突破している(2009年4月現在)。

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