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とれんど捕物帳 リスクが沈静化してもドル円は膠着した相場展開か

配信日時
2018年8月11日(土)08:45:00
掲載日時
2018年8月11日(土)08:55:00

 先週はドル高の流れが継続と予想した。週後半にトルコ通貨危機を発端としたリスク回避のドル高から予想は一見当ったかに思われるが、それがなかったら恐らく今週はドル安であったであろう。もちろんドルに対する悪材料が出たわけではなく、重要なファクターを見落としていた。夏休みシーズンであったということ。さっさとポジションを調整して、家族サービスに勤しまなければならない時期であった。週前半はそのような流れがあったように思われる。

 そのトルコ通貨危機だが、発端は米国だ。もともとFRBの利上げの影響が色濃く出ていた中、トランプ大統領のトルコへの制裁がそれに火を付けている。トルコリラは今週だけで、対ドルで一時24%急落した。この余波がユーロにも波及し、ユーロドルは心理的節目の1.15ドルを割り込み、6月以降続いていたレンジ下限をブレイクしてしまった格好。

 週末には、ユーロ圏の金融機関のトルコに対するエクスポージャーにECBが懸念を示しているとの報道がユーロ安・ドル高の流れを加速させている。為替ヘッジをかけていない債権も多いようだ。国際決済銀行(BIS)のデータによると、今年第1四半期時点での国際金融機関によるトルコへのエクスポジャーは2230億ドルあり、そのうちの1300億ドルがノンバンクへの融資。また、約60%の1345億ドルがユーロ圏の銀行による債権だ。最も多いのがスペインの銀行で809億ドル。その多くがビルバオ銀行。そのあとがフランスの351億ドル、イタリアの185億ドルと続き、かつての欧州危機を思い起こさせる面々が並んでいる。ちなみに日本の金融機関も109億ドル(約1.2兆円)ほど保有しているようだ。

 トルコリラは今年に入って対ドルで65%ほど急落している。日本でもトルコリラ建ての金融商品が多く出回っていたが、この手の新興国への投資は常に考えさせられるのだが、二桁の高金利など表向き非常に魅力的ではあるが、通貨安やカントリーリスクを常に頭に入れておかなければならない。販売する業者も必ずリスクを説明しているはずだが、一般投資家のリスクに対する認識の度合いがどの程度浸透しているかは何とも言い難い。

 金利好きのフィクストインカム派の人たちにとって、いまは米国へのドル建て投資が一番無難なのかもしれない。好調な米経済と伴にFRBの利上げは当面続きそうな情勢で、気が付けば高金利通貨の仲間入りになっている。更にイールドカーブのフラット化が進んでおり、長期金利と短期金利の差がこれまでになく小さくなっていることから、短期で運用しても、長期と比べてさほど遜色はない。短期での運用であればそれだけリスクは小さくて済む。為替リスクやカントリーリスクはもちろんあるが、米国と新興国とでは格段に違う。ただ米国の場合、最近はトランプリスクというのがあるが、どうも最近はドル高の反応だ。最も円高もセットではあるが。

 その点でいえば今は、FXのドルロングに伴うスワップ取りは魅力的なのかもしれない。手数料も安いし、いざという時は24時間いつでも逃げられる。レバレッジをあまりかけずにやってみるのも一考かもしれない。

 なお、上記のような話をしてなんだが、トランプ政権がドル高の流れを好ましく思っておらず、何らかの圧力をかけたがっているとの噂が一部で広がっている。しかし、今回の米企業の好決算を見てもドル高の影響は皆無ではないものの、さほど影響は出ていない。まだ、目くじらを立てるような段階ではないように思われるが、留意はして置きたいところではある。

 さて来週だが、新興国への懸念はもう少し続くのかもしれない。しかし、長期化するとは見ておらず、次第に沈静化して行くであろう。そうなると一旦、巻き戻しの動きも出て、ドル売りが強まる可能性も想定される。夏休みシーズンでもある。

 今週はドル高だったものの同時に円高圧力も強まったことから、ドル円はやや上値が重かった。新興国への懸念が沈静化してドル売りが優勢になったとしても、今度はクロス円を中心に円安の動きがドル円をサポートすることも考えられ、膠着した相場展開も想定される。レンジとしては110.00~112.00円を想定。ただ、「やや強気」のスタンスは継続しておきたい。

()は前週
◆ドル円(USD/JPY) 
中期 上から中立へトレンド変化
短期 →(↓↓)

◆ユーロ円(EUR/JPY)
中期 中立から下へトレンド変化
短期 ↓↓(↓↓)

◆ポンド円(GBP/JPY)
中期 中立から下へトレンド変化
短期 ↓↓(↓↓)

◆豪ドル円(AUD/JPY)
中期 中立継続
短期 ↓(↓↓)

◆ユーロドル(EUR/USD)
中期 中立から下へトレンド変化
短期 ↓↓(→)

◆ポンドドル(GBP/USD)
中期 下げトレンド継続
短期 ↓↓↓(↓↓)

minkabu PRESS編集部 野沢卓美

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