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とれんど捕物帳 賭けるならパウエルを軸に流したい?

配信日時
2017年9月30日(土)09:40:00
掲載日時
2017年9月30日(土)09:50:00

 週後半には上値が重くなったものの、今週もドル円は底堅く推移しておりリバウンド相場が続いている。イエレンFRB議長の講演が予想外にタカ派だったことで12月の米利上げ期待が高まっていることや。トランプ大統領と米議会共和党指導部の税制改革案も、批判はあるものの市場もまずまずの捉え方をしているようだ。何よりも今週は北朝鮮がおとなしかったことが最大の要因かもしれない。

 その税制改革案だが、企業向けでは、法人税減税は20%とトランプ大統領が主張していた15%には及ばないものの、さすがにその数字は最初から期待していなかった中で、20%というのは合格点であろう。また、米企業の約95%を占める個人事業主やパートナーシップの出資者に課税するパススルー課税を25%程度に引き下げる案や、企業が海外資産を国内に還流する場合の一時的な優遇課税なども盛り込まれた。

 2005年にブッシュ政権下で施行された「本国投資法(HIA)」のときはドル買い需要が発生しドル高となったが、今回は期待しないほうがよさそうだ。米企業はドル金利が高いこともあって、多くはドル資産で保有しているとも言われ、期待ほど実需は発生しないとも指摘されている。

 ただ、今回の税制改革案はあくまで、ホワイトハウスと議会共和党指導部の案の段階であって、成立できるかどうかは未知数。ヘルスケア法案の混乱ぶりを見ればわかる通り、同じ共和党内でも意見の相違があり、米議会ではそれがそのまま議場に持ち込まれる。与党内で事前に合意してから望む日本の国会とは少し違うところ。

 また、財源や赤字拡大への懸念も当然出ている。ムニューシン米財務長官は「減税による成長がそれ賄う」と強気だ。「増税が景気を良くする!」と、カルト教団のお経のように唱え続けているどこかの国の財務省に聞かせてあげたい文言だ。

 そのほか、週末に少し気になる話題が浮上している。トランプ大統領が次期FRB議長の人選に本格的に動き出したようだ。昔からFRB議長は影の大統領とも言われ、米大統領にとっては最重要の人事の一つだ。今後、2、3週間以内に候補を決めたいとしているようだが、イエレンFRB議長やコーン国家経済会議(NEC)委員長、そして、ウォーシュ元FRB理事、パウエルFRB理事の各氏と既に面接を行ったという。

 個人的にはイエレン議長とコーン委員長は難しいと考えている。市場でも両候補の可能性は小さいと見られているようだ。イエレン議長は何といってもオバマ前大統領が、渋々だったとはいえ、誕生させた初の女性議長だ。脱オバマを目指すトランプ大統領としては避けたい人選なのかもしれない。能力云々は別の話で、そこに科学的な根拠はない。本人もトランプ大統領からの指名を嫌がっているとの説もある。

 また、コーン委員長の場合、大統領との確執があるとも言われており、難しいと見る市場関係者も多い。

 ウォーシュ元FRB理事かパウエルFRB理事となれば、トランプ大統領は低金利政策を望んでいるとも言われており、パウエル理事であれば、どちらかと言えばスタンスは中道なことから可能性は高いのかもしれない。

 そのほか、「テイラー・ル-ル」で有名なスタンフォード大学のジョン・テイラー教授の名前も挙がっている。自身のルールも含めて、一定のルールに基づいた金融政策を提唱している。しかし、政策が画一的になるほか、「テイラー・ル-ル」からすれば、政策金利は既に2%を超えていなければならないであろう。トランプ大統領の考えには合わない感じもする。

 今後、FRB議長の人選は重要なリスク・ファクターとなり要注目だが、トランプ大統領の人事ばかりは最後までわからない事は留意しておきたいところではある。仲の良い安倍首相のように、中央銀行総裁も手駒にして置きたいであろう。

 さて来週だが、10月相場に突入する。このままリバウンド相場が続くか注目されるが、ポイントの一つとしては、ここに来て急速に復活している年内の米利上げ期待であろう。イエレン議長を始め、FOMCメンバーはタカ派な見解が多い。金曜日に発表されたPECデフレータを見た限りにおいては、インフレに関しては強気に見ることはできないが、雇用や生産、消費、企業センチメントなど他の指標がそれを補うかどうかが焦点になるものと思われる。直ぐにはインフレが目標に届きそうになくても、他の指標が堅調であれば、FRBは利上げを継続したがっている雰囲気もある。そうなれば、ドル円は115円を目指す可能性も期待できそうだが、シコリも多く簡単ではないであろう。

 早速、来週は米雇用統計が発表される。ハリケーンの影響が出ているものと思われ、非農業部門雇用者数(NFP)の事前予想は現段階で8.5万人増とかなり低めだ。特殊要因でもあり、今回のNFPのデータは労働市場の基調判断には適さないと思われる。ただ、その他の平均時給などのデータはハリケーンの影響は小さいものと思われ、今回はそちらの方をより注目したい。予想は前年比で2.5%、前月比で0.3%となっている。FOMCメンバーの一部からは今後、賃金は上昇傾向が鮮明になるとの見解も出ているが、その通りになるか要注目だ。

 ドル円の想定レンジだが、北朝鮮が何もしないことを願って、111.50~114.00を予想。現状は上抜いている200日線が下向きになってきているのは若干気掛かりではあるが、過熱感はまだ無いことを考慮して、引続きスタンスはやや強気で臨みたい。

()は前週
◆ドル円(USD/JPY) 
中期 上げトレンド継続
短期 ↑↑↑(↑↑↑)

◆ユーロ円(EUR/JPY)
中期 上げトレンド継続
短期 ↑↑(↑↑)

◆ポンド円(GBP/JPY)
中期 上げトレンド継続
短期 ↑↑↑(↑↑↑)

◆豪ドル円(AUD/JPY)
中期 上げトレンド継続
短期 ↑(↑↑)

◆ユーロドル(EUR/USD)
中期 上から中立へトレンド変化
短期 ↓↓↓(→)

◆ポンドドル(GBP/USD)
中期 上げトレンド継続
短期 ↑(↑↑↑)

(みんかぶ「Klug」 野沢卓美)

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