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とれんど捕物帳 “トランプ大統領の口”は「常にそこにあるリスク」と認識すべき

配信日時
2017年8月19日(土)09:42:00
掲載日時
2017年8月19日(土)09:52:00

 今週の感想を一言で言うと「どこかの国の大臣でもあるまいし!」といったところであろうか。トランプ大統領がまたやらかしてくれた。先週末に米バージニア州シャーロッツビルで起きた白人至上主義者らと反対派との衝突について、大統領が「双方の側」に責任があると述べたことが人種差別主義と市場にも波紋を広げている。

 米野党民主党の議員からは早速、弾劾の文言が飛び交っているが、CBSニュースの世論調査によると意外にも、共和党支持者の67%は大統領の発言を支持すると答えている。大統領による非難の矛先は正しいと回答したという。

 この手の話は日本人には計り知れない深い闇があるのであろう。弾劾は難しそうだ。先日も述べたが、「一層のことペンスで」という訳には行きそうにない。

 企業も抵抗感を覚えたようで、トランプ大統領の製造業諮問委員会と経済戦略フォーラム、更にインフラ整備の顧問になっていた企業のCEOの辞任が相次いだことで、それらは解散を余儀なくされている。企業もイメージがあることから致し方ないのかもしれない。もっとも、辞めるきっかけを以前から待っていたのかもしれないが。

 この動きを見て市場は、トランプ大統領の政策運営に再び不信感を強めたようだ。オバマケアの廃案及び代替案を成立させることもできず、今後、税制改革やインフラ整備など市場が期待している本丸の経済政策の法案を成立させて行かなければならない中、トランプ政権の法案成立の実行力に懐疑的な見方が広がっている。

 金曜日にはバノン主席戦略補佐官の辞任が伝わったことで、リスク回避の動きは一服した。バノン氏は白人至上主義との関連が指摘され、ホワイトハウス内からも解任すべしとの声が高まっていた。

 ただ、市場が懸念しているのはトランプ大統領自身の資質で、北朝鮮問題にしろ、今回のバージニア州の衝突事件にしろ、あくまで“大統領の口”が災いの発端となっている。果たして来週以降、リスク回避の雰囲気がフェードアウトしてくれるのか不安感は残る。

 北朝鮮問題は現段階ではまだ、テールリスクと捉えている向きも多いのかもしれないが、“トランプ大統領の口”は「常にそこにあるリスク」と認識すべきなのであろう。

 一方、ファンメンタルズを見ると、今月発表されている米雇用統計や小売売上高、その他の景況感指標などは回復の兆候を見せている。インフレだけは、米消費者物価(CPI)や今週のFOMC議事録からは、年内利上げを確信するのは難しい状況ではあるものの、他の指標はまだ十分に可能性を残す内容であると思われる。

 個人的にはCPIコアで前年比1.5~2.0%、PCEコアで1.3%~1.8%の水準を維持できれば、年内もう1回の利上げは十分に可能性があると見ている。ただし、他の指標が底堅さを堅持していることが条件ではあるが。

 ユーロも買い疲れ感が見られ、今週こそはドルの買い戻しから、ドル円も反転を期待したが、残念ながら雑音がその期待をかき消している。

 さて来週だが、経済指標では米住宅指標などの発表が予定されているが、最注目は米ワイオミング州ジャクソンホールでのFRBの年次シンポジウムであろう。

 今回はイエレンFRB議長のほか、ドラギECB総裁も参加する。金融政策や経済に関してどの程度発言するかは未知数だが、市場ではドラギ総裁から出口戦略のヒントが出るのではとの期待も高まっていた。しかし、最新の見方では出口戦略の意向を強調するようなコメントは出さないとの見方が強まっている。ECBはユーロ高や欧州債利回りの上昇に懸念を持ち始めており、それを刺激するような発言は控えるとの見方が強まりつつあるようだ。今週発表されていたECB議事要旨の内容からすれば、その可能性は高いように思われる。

 一方、イエレン議長については、景気は緩やかながら回復を続けており、9月FOMCでのバランスシート縮小の可能性は指摘してくるであろう。しかし、年内の利上げについてはインフレが鈍化していることから、この先のデータを待ちたいという無難な発言に留まるのではと見ている。

 リスク回避の雰囲気が終息していることが条件にはなるが、ユーロも買い疲れの動きを鮮明にし出しており、今度こそドル買い戻しからドル円も反転を期待したいところではある。

 想定レンジだが、108.50~111.00とやや上向きを見るが、スタンスは中立で変わらずとする。

()は前週
◆ドル円(USD/JPY) 
中期 下げトレンド継続
短期 ↓↓↓(↓↓↓)

◆ユーロ円(EUR/JPY)
中期 中立継続
短期 ↓↓(↓)

◆ポンド円(GBP/JPY)
中期 下げトレンド継続
短期 ↓↓↓(↓↓)

◆豪ドル円(AUD/JPY)
中期 中立から下へトレンド変化
短期 ↓↓↓(↓↓)

◆ユーロドル(EUR/USD)
中期 上げトレンド継続
短期 →(↑↑↑)

◆ポンドドル(GBP/USD)
中期 上から中立へトレンド変化
短期 ↓↓(→)

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来週は配信をお休みさせて頂きます。次回は9月2日(土)の午前を予定しています。ご了承ください。
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(みんかぶ「Klug」 野沢卓美)

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