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株式会社ミンカブ・ジ・インフォノイド

USDAは米中貿易摩擦が与える影響をどう見ているのか

 米国が今月6日に中国からの輸入品340億ドル(約3兆7600億円)相当分に対する追加関税を発動し、中国がこれに対してすぐさま同規模の報復措置を実施して以来、米中間の貿易摩擦はますます激化の様相を見せている。

 米国側は前述の追加関税は5月下旬に発表した500億ドル相当分の追加関税の一部としているため、今後も最終的な目標額に達するまで段階的に追加関税の発動が続けて行われる可能性がある。

 中国側は米国と同規模の追加関税の発動が難しいということもあり、WTOに米国を提訴すると 米通商代表部(USTR)側は報復措置をWTOに提訴するなど、提訴合戦の様相を呈しており、米中間の貿易摩擦は泥沼化している。

 このような米中間の貿易摩擦は、大豆の主要生産国である米国にとって最大の輸出相手先国である中国への輸出に大きな影響をもたらすとの見方が強まり、シカゴ市場では大豆、そしてこれに追随する形でコーン価格の低迷が続いている。

 明らかなダウントレンドを描く直前の5月29日時点の大豆中心限月の価格は1030.50セント、これに対し7月17日のシカゴ日中取引時点の中心限月の価格は855.25セントだった。なお、これは13日、16日と連続して一代の安値を更新する動きを見せた後の自律修正が入った後の価格だ。

 一方のシカゴコーンの中心限月の終値は5月29日時点では400セントだったものの、6月19日には338.75セントまで下落する場面を見せた。その後、コーンの場合、小麦高が手掛かりとなり7月17日時点では359.75セントまでに値位置を切り上げており、大豆ほどの頭の重さは見せていない。

 現在、大豆、コーンは生育にとって最も重要な時期を迎えながらも前年同期に比べるとかなり良好な作柄を保ち、生育ペースも平年、前年を大幅に上回っていることも市場にとっての弱材料になっている。

 ただ、大豆、コーンそれぞれの価格下落傾向が顕著となった5月29日に米国が中国からの輸入品500億ドル(約5兆4500億円)相当への追加関税賦課の計画を表明した日であり、この時期の一致から、穀物市場にこの追加関税賦課が如何に大きく影響しているかが分かる。

<USDAが需給報告で示した予測>
 それではこの米中間の貿易摩擦が18/19年度の穀物需給にどのように影響を与えるとUSDAは見ているのだろうか。

 12日に発表された需給報告では、米国の大豆輸出量予測が大幅に引き下げられた。6月時点の米国の大豆輸出量は6232万トンの見通しだったが、これが5552万トンへと680万トン(2億5000万Bu)も下方修正されている。

 貿易摩擦のもう一方の当事国である中国の輸入量は1億0300万トンから9500万トン、800万トンもの下方修正となった。

 数字上だけで見ると、貿易摩擦の影響は米国の大豆輸出量よりも中国の大豆輸入量の報が大きいことが窺われる。また、この大幅な輸入量の減少は中国内の需要にどのように影響を与えるかというと、USDAは圧砕量の減少という形になって現れると見ている。

 中国の18/19年度の国内圧砕量は前月予測の1億0200万トンから9650万トンへ引き下げられた。輸入が800万トン減少する結果、圧砕量が550万トン減少するとの見通しが示されたことになる。

 中国内の大豆需要は飼料用消費が最大で、輸入量の減少によって圧砕量が減少することは、中国内での飼料価格や食肉価格の上昇、食肉需要の減少、といったサイクルを連想させる。

 なお、米国の輸出減少を相殺できる唯一の主要産地であるブラジルに関してみると、この年度の輸出量は前月予測の7295万トンから7500万トンに上方修正された。確かに米国の大豆輸出量の減少は、ブラジルの大豆産業にとってチャンスになり得るものの、すべてを相殺するには及ぶことが出来ない様子が浮き彫りとなっている。

<大豆とは対照的なコーン需給予測>
 一方のコーンの場合、大豆とは全く異なる予測が発表されている。18/19年度の場合、旧ソ連圏諸国(FSU)の減産とこれに伴う輸出量減少は米国の輸出量でカバーされる形となり、結果として7月時点の米国のコーン輸出は前月時点の予測5334万トンから5652万トンへと引き上げられている。

 また、中国の輸入量も500万トンで前月から据え置かれているが、これは中国の国内生産量が米国に次ぐ世界第2位の2億2500万トンに達すると予測されるなど、中国がコーンの主要産地であることが背景となっている。

 米国と中国の貿易摩擦の見通しは混迷を深めており、どのような着地点を探り合うことになるのか、まったく分からない状態にある。この米中間の貿易摩擦によって、大豆とコーンは需給面で明暗が分かれた。

 今後、米中間の動きがさらに激化するようであれば大豆、コーンそれぞれの需給見通しに新たな修正が加えられる可能性がある。現在は生育期真っただ中であるため、産地の天候が価格の動向に影響を与える主因となっているが、この米中間の貿易摩擦が秋口まで長引くようであれば次年度の作付意向にも影響を及ぼしかねない。

 今後、両国がどのような手を打ってくるのか、この問題の着地点は見えるのか、さらなる混迷を見せるのか、穀物需給面からも注目されるところだ。

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平山順(ひらやま・じゅん)氏

中央大学法学部卒、英国留学後
(株)日本先物情報ネットワークに入社。現在主任研究員。
商品全般に通じ特に穀物市場を得意とし、テクニカル分析には定評がある。
1999年にシリーズ3(米国先物オプション外務員資格)に合格。

株式会社日本先物情報ネットワーク

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