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急落のコーン価格に再浮上の可能性はあるのか

 現地29日にシカゴコーンは大幅安を演じました。29日は中心限月の7月限は前日比6セント安の400.00セントで取引を終えました。397.50セントと今月18日の取引以来、初めて400セント(4ドル)を割り込む場面となりました。

 30日の取引でも続落場面を演じた結果、中心限月の7月限は4月25日以来の水準まで値を落とし393.50セントで取引を終えました。

<コーン市場の弱材料とは>
 シカゴコーンの下落要因としては米中間の貿易戦争懸念の再燃が挙げられます。

 米中間の通商問題の行方についてはトランプ大統領が21日に米国産農産物製品の大量購入に中国が合意したツイートしたことをきっかけにして楽観的な見方が強まっていました。しかし、ここに来て米国が中国に対する制裁関税の最終案を6月15日までに発表することを明らかにし、これにより貿易戦争懸念が再燃したことが穀物市場全体で弱気のサプライズとなりました。

 また、同日に発表された米国の輸出検証高が前週を下回ったことが弱材料となったことが貿易戦争懸念に追い打ちをかけたと見られます。

 ただ、シカゴ市場の弱気材料はこれだけではありません。29日の取引後に発表された週間作物進度報告で27日時点の作付進捗率は92%で前年同時期の90%、そして平年の90%を上回ったほか、発芽率は72%であり、これも前年同時期の70%、平年の69%を上回りました。

 当初は作付が大幅に遅れたことで、生育遅れが強く警戒されていましたが、5月半ば以降は雨がちな天候が続いたにもかかわらず順調な作付や生育が確認出来たことで生育期序盤における生育懸念は大きく後退しています。

 さらに注目されるのが、今週から発表が開始された作柄状況において「良以上」が79%と極めて高く、その一方で「劣以下」が3%にとどまった点です。前年同時期の「良以上」の割合は65%で「劣以下」は7%でした。

 なお、昨年は週間作物進度報告の発表が開始されて収穫が終えるまでの間、作柄のうち「良以上」の割合が70%を超えることはありませんでした。それにもかかわらずイールドは過去第3位となる176.6Bu(エーカー当たり)を記録しています。

 そのため、まだまだ夏の受粉~開花の時期を残している段階とはいえ、現在の生育ペースと作柄から想定するに、昨年度並みの高い水準のイールドが示現される可能性は現時点では高いと考えられます。

 今後も生育ペースを維持し作柄も良好な状態を維持するようであれば、米農務省(USDA)はイールドの上昇修正を迫られることが見込まれ、これが需給引き締まり観測を後退させる可能性もあります。

<価格上昇を促す要因とは>
 米中間の貿易戦争懸念が大豆安を促し、さらには米コーンベルトでの生育状況が順調ななかで、価格が上昇する可能性はあるのでしょうか。

 まず挙げられるのが、米コーンベルトでの作柄悪化の可能性でしょう。前述のように、現在の作柄は前年同時期に比べるとかなり良好な状態にあります。しかしながら、注意したいのが、米コーンベルトの土壌水分です。

 前述の週間作物進度報告によると、インディアナ州、ミズーリ州を中心に米コーンベルトでは土壌水分の乾燥が進んでいます。インディアナ州の場合、表土のうち不足の割合が41%に達しているほか、ミズーリ州でも不足の割合が31%に達しています。

 さらにイリノイ州、ネブラスカ州、アーカンソー州でも表土のうち20%以上が不足となっているため、晴天が広がるようであれば土壌水分の乾燥が促され、これが作柄の悪化を促すとの懸念が強まる可能性が出てきています。

 その一方では、ブラジルで買いを支援する材料が浮上していることも価格上昇の可能性を高める要因となっています。

 そのうちの一つはサフリーニャコーンの生育が行われるなか高温乾燥に見舞われていることです。ブラジルでは2期作でコーンが生育されており、そのうち二期作目に当たるコーンがサフリーニャコーンと呼ばれています。

 USDAによると17/18年度のブラジルのコーン輸出量は米国の5652万トンに次ぐ3000万トンと世界第2位の規模を誇ります。これはサフリーニャコーンの生産量の拡大を受けてのものであるため、サフリーニャコーンが不作となると、同国のコーン輸出が減少する可能性が高まることになります。

 ブラジル産地での高温乾燥は5月上旬から懸念の声が挙がっており、シカゴコーンを400セント台まで押し上げる主因になり、市場では既に織り込まれた感があります。

 とはいえ、コーン価格を押し上げる可能性がある要因はこれだけではありません。ブラジルでここに来てトラック運送業者によるストが発生しており、これが物流のマヒを誘発しているのです。

 ディーゼル燃料の値上げに対する抗議に端を発する今回のストは既に1週間に渡って続けられており、鉄道網が未発達のブラジルにおいて穀物を含めた物流がマヒした状態にあります。

 ブラジルは世界最大の大豆輸出国であるため、トラック運送業者のストも大豆市場に影響を与える可能性が高いと考えられます。しかしながら、サフリーニャコーンの生産量拡大により近年はコーン輸出国としての存在を高めているブラジルにとって、物流のマヒは同国のコーン出荷にも影響を及ぼすと考えられるのです。

 高温乾燥によりサフリーニャコーンの作柄悪化が懸念されると同時にトラック運送業者によるストが発生していることで、ブラジルからのコーン供給がこれまでの予想を下回る可能性が高まってきているわけです。

 シカゴコーンが本格的な上昇トレンドを描くためには、米コーンベルトでの作柄悪化というシナリオが必要になると思われます。しかし、既にコーンベルトの一部地域で土壌水分の乾燥進行が確認出来ること、そして米国に次ぐコーン供給国であるブラジルでの高温乾燥と物流のマヒはコーン価格を押し上げる可能性があると考えられます。

 目先は米コーンベルトでの順調な生育や米中間の貿易戦争懸念が重石となって上値を抑制される足取りが続く可能性が高いシカゴコーンではありますが、米中間の通商問題が落ち着く見通しが強まれば上記の強気要因に対する意識が高まりそうで、米コーンベルトでの天候次第という側面が強いとはいえ、価格が上昇する可能性も十分にあるのが現状ではないでしょうか。

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平山順(ひらやま・じゅん)氏

中央大学法学部卒、英国留学後
(株)日本先物情報ネットワークに入社。現在主任研究員。
商品全般に通じ特に穀物市場を得意とし、テクニカル分析には定評がある。
1999年にシリーズ3(米国先物オプション外務員資格)に合格。

株式会社日本先物情報ネットワーク

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