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米とうもろこしの生育状況はどこまで危ないのか

 シカゴ、東京市場の双方でとうもろこし価格が上昇しています。現地25日のシカゴ日中取引は続伸し、中心限月の7月限は終値ベースで395セント台を回復しました。これを受け26日の東京先限19年5月限は2015年10月以来となる2万5000円台を示現しています。シカゴ、東京市場の双方でとうもろこし価格が上昇したのは、米コーンベルトでの作付け遅れに対する警戒感が背景となっています。

 現地23日の取引終了後に発表された米農務省(USDA)の作物進度報告で、4月22日時点の米国のコーン主要産地における平均作付率は5%で前週の3%から僅かに進展するにとどまったことが明らかとなったのです。しかも前年同時期の15%、平年の14%を大幅に下回っています。春小麦の作付停滞も小麦の代替としてコーン消費量の拡大を促す可能性があるため、コーン市場で強気材料視されました。

 22日時点の春小麦作付進捗率は3%と前週と変わりがなく、作付けがほとんど進展していないことが明らかになりました。さらに懸念されるのが、昨年同時期の21%、平年は25%を大幅に下回り、作付の遅延状況はコーンよりも深刻です。

 冬小麦の生育も米プレーン中南部が干ばつに見舞われた影響で劣悪な状態です。この劣悪な生育を受けて減産が根強く懸念されるなか春小麦の作付が遅延しているが、小麦減産懸念を一段と強めています。

【過剰な土壌水分と寒波が作付け遅れの要因】
 今春の作付遅れは何が要因の一つとして挙げられるのが、米コーンベルトでの過剰な土壌水分です。

 米コーンベルトのうちインディアナ、オハイオの両州では4月上旬に雨が降り続くなか土壌水分の過剰度が高まり、4月8日時点での表土のうちの土壌水分過剰な割合はインディアナ州が52%、オハイオ州が72%に達していました。

 その後は次第に土壌水分の乾燥が促され、4月22日時点の表土の土壌水分のうち過剰となっている割合はインディアナ州が23%、オハイオ州が49%となっています。過剰な土壌水分に加え、寒波に見舞われたことも作付遅れを促すもう一つの要因です。

 寒波の影響で遅れた作付け開始が寒波の影響で停滞し、今月22日までの1週間で気温の上昇が見られながらも作付ペースが十分に上昇するには足りなかった様子が窺われます。

 USDAによると4月22日までの1週間における農作業に適した日数は、インディアナ州の場合は2.8日(前年同時期は4.7日)、オハイオ州は1.4日(前年同時期は4.2日)にとどまりました。土壌水分の乾燥が促されながらも作付には適していない日々が続いていたことが分かります。

 気温の低下が作付遅れを促す原因となるのは、地中が凍結したり、発芽に適した温度に達していない場合、作付しても発芽が遅れるため、品質低下が懸念されて発芽が見送られる可能性があることが挙げられます。

 特に今年の場合、土壌水分が過剰ななか、最低気温が氷点下まで下がる日が続いたことで、地中の凍結が作付けを妨げる要因になっていたことが考えられます。

 また、地中の温度ですが、一般的にとうもろこしの場合、播種に適した最低地温は14℃前後とされています。しかしながら今年4月の場合、インディアナ、オハイオの両州では現在までのところ米国中西部では平均気温が平年を大幅に下回る状態が続いています。

 平年であれば最低気温の平均は3~4℃程度となる4月第一週は4月3日に平年並となった以外、-5~-3℃前後まで低下していました。その後、12日から14日にかけて平年を上回る水準まで気温は上昇しましたが、15日以降は再び平年以下まで気温が低下するどころか、依然として最低気温が氷点下を記録する日も見られたのです。

 晴天が広がっても気温が氷点下であることで作付が遅延していることで警戒感が強まり、これが価格を押し上げているのです。特にコーンの場合、5月第2週目までに作付を終えることが高イールドを示現するための目安となっているため、4月下旬から5月半ばまでの3週間弱で作付ペースを上げることが必要なため、焦りが高まっています。

 しかし、とうもろこし価格が一本調子で上がり続けるのは難しいと思われます。価格を押し上げる要因が天候不良であることは、天候が改善に向かえば軟化リスクが高いことを意味しているからです。来週以降は気温が上昇すると同時に晴天が広がることが予想されており、作付に大きな進展が見られる可能性が高まっています。

 予報通りに気温が上昇して晴天が広がるようであれば天候改善を手掛かりにした売りが出そうです。価格が上昇した後だけにその反動も大きなものになる可能性があるため、目先は価格の大きな動きに十分に備えておきたいところです。

 中期的に見た場合には5月下旬にかけて作付ペースがどの程度、加速してくるかが注目されることになりそうです。

【作付けが遅れると夏場の熱波の影響を受けやすくなる】
 過去の推移を見てみると、同様に4月末まで作付が停滞していた2011年度、2013年度の場合、5月20日前後の作付進捗度は共に70%程度に達しましたが、これは平年に比べると10%前後の遅れとなります。

 2011年、2013年共に生産量見通しが当初の135億Buから123.6億Buへ、そして2013年度が141.4億Buから139.25億Buへと下方修正されて需給の引き締まりが促された年です。

 減産を促す可能性がある要因としては夏場の乾燥が最も警戒される要因であるため、必ずしも作付遅れが需給の引き締まりに直結するわけではありません。ただ、作付が遅れれば、その分、夏場の熱波の影響を受けやすくなります。

 そのような点からも作付遅れは懸念すべき事項であり、少なくとも5月20日前後の時点で平年に比べて10%程度の作付遅れが見られれば、イールドの低下が促されるリスクが高まったと考えられるでしょう。

 目先は晴天と同時に気温の上昇が見込まれるなか、上昇後の反動場面を演じる可能性も浮上しています。その気温上昇による影響を織り込んだ後は5月下旬の作付進捗率が注目要因となってきますが、同様に作付が遅延していた2011年、2013年のデータを基にした場合でも今後は少なくとも1週間で20%程度、作付進捗度が上昇する必要があります。

 これが示現できなければ生育見通しには黄信号が灯る、これに夏場の熱波が加われば赤信号に変わるが、夏場の熱波による影響が見られなければ青信号へと好転する可能性がある。現在の作付け遅れはその程度に危険な状態にあると捉えることが出来るのではないでしょうか。

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平山順(ひらやま・じゅん)氏

中央大学法学部卒、英国留学後
(株)日本先物情報ネットワークに入社。現在主任研究員。
商品全般に通じ特に穀物市場を得意とし、テクニカル分析には定評がある。
1999年にシリーズ3(米国先物オプション外務員資格)に合格。

株式会社日本先物情報ネットワーク

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