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強気ムード高まる大豆市場に早くも暗雲か

 シカゴ市場では11月下旬、大豆価格が急伸しました。中心限月の12月限は11月上旬はブラジルの乾燥懸念で値位置を切り上げて1000セント(10ドル)を上抜く場面を演じながらも、同国での降雨を受けて下値追いに転じ、現地11月14日には967.00セントまで下押されていました。

 しかしながら、11月15日の取引以降は急伸に転じており、27日の取引では再び10ドル超えを達成しています。

 このような大豆価格の上昇を促したのが大豆粕価格の上昇でした。シカゴ大豆粕価格も大豆と同様に11月半ばにかけて頭重い足取りを演じていましたが、現地11月14日の取引で309.60ドルを付けた後は上値追いに転じ、現地27日の取引では一時的とはいえ、10月13日以来の高水準となる329.80ドルの高値を付けています。

 シカゴ大豆粕市場の取組高は約40万枚前後となっており、80万枚前後となる大豆市場に比べると市場規模は小さいものの、大豆と関連する製品であることから、大豆と価格は連動する傾向があります。特に、今回に関しては1か月ぶりの高値まで価格が上昇したことでそれまで低迷していた大豆価格が刺激されていると見られます。

 それではなぜ大豆粕価格は上昇していたのでしょうか。それは、世界最大の輸出国であるアルゼンチンでの乾燥した天気が原因となっています。

 乾燥した天気に見舞われているのは、コルドバ、サンタフェ、ラ・パンパ、ブエノスアイレス北部で、11月半ば以降、乾燥した天気による今季の大豆生育に対する懸念が強まりました。

 特に、乾燥に見舞われた地域がアルゼンチンの主要穀倉地帯であることが警戒感を強めるものとなっています。

 ただ、米農務省(USDA)によると、アルゼンチンの大豆生産量自体は2017/18年度は5700万トンが見込まれている程度で、世界最大の大豆輸出国であるブラジルの生産量は1億700万トン、そして米国の生産量が1億2044万トンとなっていることに比べると、アルゼンチンでの乾燥がこれほどまでに大豆価格に影響をするとは考えづらいかもしれません。

 しかしながら、これを大豆粕輸出という点から見ると様相が異なってきます。というのも、アルゼンチンの大豆粕輸出量は2017/18年度は世界最大の3120万トンが見込まれているからです。

 ちなみに、世界第2位の輸出国であるブラジルの輸出量は1525万トン、そして第3位の輸出国である米国の輸出量が1107万トンの見通しとなっています。このことから、大豆粕輸出市場におけるアルゼンチンの存在の大きさが分かります。

 アルゼンチンの存在の大きさゆえに同国の主要産地での乾燥が手掛かりとなって、大豆粕主導で大豆価格の上昇も促されているのです。

 しかしながら、大豆価格が10ドルに達したところで、この強い足取りにもブレーキがかかる可能性が高まってきました。

 というのもまず、乾燥した天気に対する警戒感が強いとはいえ、アルゼンチンの大豆作付自体は平年通りのペースを維持しており、現時点では乾燥した天気が生育にマイナスの影響を与えているとは確実には言えないからです。

 ブエノスアイレス穀物取引所によると、19日時点の大豆作付進捗率は平年並の24%で前年同期とほぼ同程度となっています。最も作付が進行しているのはアルゼンチン北部および東部で、これらの地域での作付進捗率は40~60%に達しているようです。

 また、すでに発芽した地域からは作柄は良好と伝えられており、現地では乾燥した天気を受けて作付が順調に進行するとの見方も浮上しています。また、気温が平年を下回っていることで、発芽や生育に遅れがでることも警戒されています。

 ただ、この乾燥が生産量予測の下方修正を促すほどの影響が生じるためにはもう数週間、乾燥した天気が広がる必要があるうえ、生育初期段階よりも、生産量に最も影響がある開花~結実期の天候への懸念が強い傾向があります。

 さらに、乾燥が懸念されていたコルドバ、コルドバ、サンタフェ、ラ・パンパ、ブエノスアイレス北部では今週に入ってから雨が降っており、乾燥した状況が緩和に向かっていることで、生育懸念に対する警戒感も和らいでいます。

 根本的には大豆市場は需給緩和傾向にあり、米国の期末在庫率は17/18年度には前年度の7.1%から9.8%への上昇が見込まれています。

 また、アルゼンチン、ブラジル両国の16/17年度の大豆在庫量はアルゼンチンが前年度の3170万トンから3650万トンへ、ブラジルが1820万トンから2476万トンへと拡大したばかりか、17/18年度にはアルゼンチンは3755万トンへとさらに増加し、ブラジルは若干の減少が見られるもののそれでも2226万トンの期末在庫を保有することが見込まれています。

 つまり、若干の減産が見られたとしても、膨らんでいる国内の在庫を消費することで減産分を相殺できる可能性が高いのが実情であり、乾燥による生育環境への影響がよほど厳しいものにならない限り、大豆粕の需給が現実的に引き締まる可能性は低いと見られるのです。

 今年、アルゼンチン、ブラジルの生育地帯ではラ・ニーニャ現象の影響で乾燥した天気が広がる傾向が強まると見られています。それだけに、今後もこの両国での天候から目が離せない状況が続くことに変わりはありません。

 しかしながら、根本的には大豆の需給は緩和傾向にあること、そして大豆にとって最も注意すべき時期は開花から結実を迎える時期であることを考慮すると、大豆価格が安定的な上昇傾向を描く可能性は現段階では薄いと言えるでしょう。

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平山順(ひらやま・じゅん)氏

中央大学法学部卒、英国留学後
(株)日本先物情報ネットワークに入社。現在主任研究員。
商品全般に通じ特に穀物市場を得意とし、テクニカル分析には定評がある。
1999年にシリーズ3(米国先物オプション外務員資格)に合格。

株式会社日本先物情報ネットワーク

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