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コーン価格は依然として長期低迷の可能性大

 シカゴコーン市場では中心限月が350セントを前後する水準での推移が続いています。8月末には強気な輸出に対する期待の高まりと売られ過ぎに対する警戒感から上値を追う足取りを演じ、その勢いを継続して360セントを上回る場面も見られました。

 しかしながら、米コーンベルトが収穫期を迎えてハーベストプレッシャーが強まるに伴って頭押され、現地9月19日の取引で終値ベースで350セントを下回った後は、350セント付近でのもちあいが続いています。

 コーン価格を抑制している要因は、当然のことながらハーベストプレッシャーです。現地10月12日に発表された米農務省(USDA)の需給報告では17~18年度のコーン生産量予測は前月予測の141億8400万Buから142億8000万Buへと引き上げられました。

 10月の需給報告には、ある程度の収穫進行と、収穫を終えた地点から報告されたイールドが含まれるため、この需給報告で生産量はほぼ確定されると見られます。

 この142億8000万Buという生産量は過去第3位に当たる豊作であり、特に6月後半から7月半ばというコーン生育にとってもっとも重要な時期に干ばつに見舞われた年としては予想外の生産量となります。

 予想外の生産量を受けて、米国の17/18年度の期末在庫率は16.4%と前年度の15.7%からさらに上昇する見通しとなっています。

 期末在庫率の上昇は需給緩和の進行を示していますが、これに追い打ちをかけると見られるのが、低迷する米国のコーン輸出です。

 同じくUSDAが発表している輸出成約高報告によると、10月19日時点の17/18年度のコーン輸出成約高の累計は1621万7300トンとなっています。前年同期の累計が2327万7900トンだったことから、今期のコーン輸出は大幅に低迷していることが分かります。

 USDAは需給報告において17/18年度の米国のコーン輸出は前年度の5824万2000トンから4699万2000トンに減少するとの見通しを示しています。約20%の輸出減少を見込んでいることになりますが、現時点の輸出成約高は前年度比で31%減少した状態にあります。

 そのため、今後の輸出が活発化しない限り、USDAが予測する輸出量には届かない可能性が高く、これを受けてUSDAが需要の下方修正を余儀なくされるリスクが高まっている点に注意が必要でしょう。
 
 とはいえ、今後、米国の輸出量が活発化していくには大きな壁が立ちはだかっていると考えられます。

 その理由として挙げられるのがまず、ドル高傾向です。米国では年内追加利上げがほぼ織り込まれた状態にあります。追加利上げが実施されれば金利の上昇を受けてドル建ての金融資産に対する投資意欲が高まるうえ、追加利上げを実施できるだけ米国経済が回復しているとの根拠が与えられたことを意味するため、米国への投資が活発化することが予想されます。

 また、米国下院が上院に続いて予算決議案を可決したことで、米国での大型減税実施
の可能性が高まっていることで米国情勢に対する安心感が強まっていることもドル買い
を後押ししています。

 ドル高傾向は当然のことながら、米国のコーン輸出にとってはネガティブな要因となります。

 この状況にさらに追い打ちをかけると見られるのが、南米諸国の潤沢な供給です。

 米国と同様に世界最大級のコーン輸出国であるブラジルでは16/17年度に大豊作となったことで、期末在庫量は926万9000トンとなりました。この年の生産量は過去最大に達し、これに伴い輸出量も過去最大に達したにもかかわらず、期末在庫量は前年度の676万9000トンから大幅な増加を記録しています。

 なお、17/18年度のブラジルのコーン生産量は前年度の9850万トンから9500万トンに減少するとUSDAは予測しています。ただ、それでも輸出量は前年度の3600万トンに対し3400万トンを記録する見通しとされており、ブラジルからの輸出圧力は依然として強い状態が続くと見られています。

 前述のようにドル高傾向が続いている状況下では、米国と同様に潤沢な供給量を保有するブラジルからの輸出が活発化すると見られ、これが今後も米国の輸出を圧迫することが見込まれるのです。

 予想外の豊作となったことで米国のコーン需給は緩和傾向にあり、輸出をはじめ、需要が膨らまない限り潤沢な需給状況に上値を抑制されることになるでしょう。

 なお、ブラジルでは9月に乾燥した天気が広がったことを受けて大豆の生育に遅れが生じて居ます。ブラジルでは大豆が収穫された後に生産される二毛作目のコーン(サフリーニャ)の生産量が全体の70%前後を占めています。そのため、大豆の生育遅れがサフリーニャコーンの減産を招く可能性が浮上しています。

 シカゴ市場の価格が上昇するきっかけがあるとすれば、このブラジルでの減産懸念であり、ブラジルでのコーン生育が順調に進行するようであれば、現時点でも重い状態が続くと予想されるシカゴ市場のコーン価格は抑制される状況がさらに続くことになりそうです。

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平山順(ひらやま・じゅん)氏

中央大学法学部卒、英国留学後
(株)日本先物情報ネットワークに入社。現在主任研究員。
商品全般に通じ特に穀物市場を得意とし、テクニカル分析には定評がある。
1999年にシリーズ3(米国先物オプション外務員資格)に合格。

株式会社日本先物情報ネットワーク

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