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天候相場期終盤を迎えるなか大豆価格上昇の可能性を探る

 シカゴ大豆市場は、8月の米農務省(USDA)需給報告の発表を受けた急落相場後が落ち着きを見せ、下げ修正場面を演じています。

 今回の需給報告ではイールドが前月予測の48.08Buから49.4Bu(前年度は52.1Bu)へと予想外の上方修正となりました。また、これを受けて期末在庫率は前月予測の10.9%から11.0%へと引き上げられています。
 
 確かに7月後半から8月上旬にかけて雨に恵まれて大豆の作柄は改善に向かっていました。しかしながら、それでも6月後半から7月半ばに厳しい熱波に見舞われていたにもかかわらず、イールドが引き上げられたことにより、今回の報告は弱気のサプライズとなりました。

 そのため、需給報告発表前には960セントを下値抵抗にして推移していた中心限月の11月限は、一時的とはいえ920セント割れ目前まで値を落としています。

 その後、現地8月17日には反発に転じて940セントを超える場面が見られる程度に値位置を切り上げてきているものの、需給報告が発表された現地8月10日の取引は973.25セントで開始していたことを振り返ると、まだまだ上値の重さが感じられることは否めません。

 天候相場で最も重要視される時期を終え、その大部分を織り込んだ需給報告が発表されたことにより、天候相場期も終盤を迎えつつあります。

【秋に寒波の到来予報があれば買い気強める】
 このようななかで頭の重さが感じられる大豆価格が上昇するきっかけがあるとすれば、それはどのようなことでしょうか。

 まず第一のきっかけとして挙げられるのが、寒波の到来です。大豆の場合、収穫の終了時期はコーンに比べて1か月ほど遅い11月半ば頃となります。

 寒波の到来が早くなれば霜害が発生し、収穫量が減少するリスクが高まることが、市場の買い気を強める要因になるでしょう。

 その意味で、天候相場期は最大の山場を超えたものの、まだまだ天候リスクは残されている状態にあるのです。

【需要面が上昇のきっかけの可能性】
 この天候リスク以外に価格の上昇を促すきっかけとなり得るのが、需要面でしょう。USDAの輸出成約高報告によると、16~17年度出荷分の大豆輸出累計は前年同時期の4797万6900トンを大幅に上回る5607万5900トンとなっています。

 特に中国への大口成約が続いていることが輸出需要期待を高めています。

 では実際に中国向けの大豆輸出がどの程度に達しているかというと、2017年8月第2週目時点の中国向け大豆累計輸出量は3525万5748トンとなっています。これに対し、昨年同時点の大豆累計輸出量は2856万4187トンでした。現時点での中国向け大豆輸出量は前年度を669万1561トン上回っているのです。

 このような好調な大豆輸出は需給報告にも反映されており、2016~2017年度の輸出量予測は前月予測の21億ブッシェルから21億5000万ブッシェルへ、2017~2018年度の大豆輸出量予測は前月予測の21億5000万ブッシェルから22億2500万ブッシェルへと引き上げられているのです。

 需給報告における米国の大豆生産量は7月時点の42億6000万ブッシェルから43億8100万ブッシェルへと1億2100万ブッシェルもの上方修正となっているだけに、それを完全に相殺するほど輸出用需要が拡大するわけではありません。

 とはいえ、輸出の更なる増加が見込まれるようであれば、大きく価格が下落した後だけにその修正もあって、買い戻す動きが活発化する可能性もあるでしょう。

 もう一点、価格を押し上げ得る要因になると見られるのが、これから作付け期を迎える南米の天候です。

 中でも世界最大の輸出国になることが見込まれるブラジルの場合、天候不良に見舞われれば世界的な供給の引き締まりが促されると同時に、米国の輸出用需要がさらに拡大することになります。

 ちなみに17~18年度のブラジルの大豆輸出量は米国の6056万トンに対し6400万トンが見込まれています。1億トンを超える生産量が常態となってきたブラジルの大豆生産でこの供給量の拡大を基にして需要が拡大しているという側面もあるだけに、天候によりブラジルの大豆生産が打撃を受けるようであれば、大豆の価格に与えるインパクトも大きなものとなるでしょう。

 天候相場期を終了しつつあるなか、材料にも織り込み感が強まってきています。しかしながら、需給報告が与えたインパクトはすでに織り込み感が強く、現時点では弱材料を織り込んだ後の修正場面を演じています。

 ただし、この弱材料に価格を抑制されながらも、米国の天候相場期が完全に終了しているわけではないこと、輸出用需要の拡大見込み、さらには南米の生育期の開始、といった要因が存在しているだけに、今後の価格上昇が促される可能性にも注意をしておきたいところです。

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平山順(ひらやま・じゅん)氏

中央大学法学部卒、英国留学後
(株)日本先物情報ネットワークに入社。現在主任研究員。
商品全般に通じ特に穀物市場を得意とし、テクニカル分析には定評がある。
1999年にシリーズ3(米国先物オプション外務員資格)に合格。

株式会社日本先物情報ネットワーク

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