【2023年最新】海外FXの税金の仕組みと税金計算。国内FXの税金と海外FXの税金の違い、税金対策・損益通算を事例を交えて比較検証

「海外FXの税金って、いくらになるの?」
「海外FXの税金と国内FXの税金って何が違うの?」
「海外FXの税金って、どうやって支払うの?」
「海外FXの税金の確定申告ってどうすれば良いの?」
・・・

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海外FXの税金については、なかなか情報が少ないこともあり、いろいろな疑問を感じている方も少なくありません。今回は、海外FXの税金の仕組みについて、このページを見るだけでわかるように丁寧に解説します。

海外FXの税金の疑問

海外FXで支払うべき税金には何があるの?

海外FXで利益が出た場合に支払うべき税金には

  1. 所得税
  2. 住民税

の2つがあります。

所得税とは

1年間の所得(収入から経費を引いたもの)にかけられる税金のこと

住民税とは

住民税とは、その地域に住んでいることで徴収される税金のこと

を言います。

どちらも、働いていた経験のある方であれば、一般的な税金なのですが、日本在住の日本人で海外FXで所得(利益)が発生した場合には、「所得税」と「住民税」を納める義務があるのです。

海外FXの税金は日本に払うの?外国の税務署に払うの?

海外FXの税金は

日本在住の方の場合は、日本の税務署に支払う必要があります。

国税庁のウェブサイトを見ると

No.2010 納税義務者となる個人

所得税法では、所得税の納税義務者を居住者、非居住者、内国法人、外国法人の四つのグループに分けてそれぞれ納税義務を定めています。

居住者とは、日本国内に住所があるか又は現在まで引き続いて1年以上居所がある個人です。
なお、居住者は、「非永住者以外の居住者」と「非永住者」に分かれます。

出典:国税庁

No.2875 居住者と非居住者の区分

我が国の所得税法では、「居住者」とは、国内に「住所」を有し、又は、現在まで引き続き1年以上「居所」を有する個人をいい、「居住者」以外の個人を「非居住者」と規定しています。

出典:国税庁

No.2012 居住者・非居住者の判定(複数の滞在地がある人の場合)

ある人の滞在地が2か国以上にわたる場合に、その住所がどこにあるかを判定するためには、例えば、住居、職業、資産の所在、親族の居住状況、国籍等の客観的事実によって判断することになります。

(注) 滞在日数のみによって判断するものでないことから、外国に1年の半分(183日)以上滞在している場合であっても、わが国の居住者となる場合があります。
1年の間に居住地を数か国にわたって転々と移動する、いわゆる「永遠の旅人(Perpetual Traveler, Permanent Traveler)」の場合であっても、その人の生活の本拠がわが国にあれば、わが国の居住者となります。

出典:国税庁

簡単に言えば

日本国内に1年以上住んでいる方(住民票のある方)は、国内外の所得を問わず、日本に税金を納める義務がある

ということを言っているのです。

海外FXの利益も、日本在住の日本人の場合は、日本の税務署に税金を納める

ことになります。

海外に別荘があって、1年の半分以上海外に行っていたとしても、住民票が日本にある場合は、日本に税金を納める可能性が高いのです。海外FXの税金を日本に支払いたくない場合は、日本の住民票を破棄して、海外に移住するしかないのです。

海外FXの税金(所得税)

まずは、簡単に税金の仕組み(所得税)について解説すると、下記のような図になっています。

税金(所得税)の仕組み

出典:東京税理士会

大きく分けて

  1. 総合課税
  2. 分離課税

の2つに分類されます。

総合課税とは

下記の所得を合算してから、税金を計算する課税方法のこと
  • 配当所得
  • 不動産所得
  • 事業所得
  • 給与所得
  • 事業所得
  • 一時所得
  • 雑所得

分離課税とは

下記の所得のように、所得別に税率をかけて、税金を計算する課税方法のこと
  • 山林所得
  • 退職所得
  • 譲渡所得
  • 株式譲渡所得
  • 利子所得

のことを言います。

総合課税の場合は

該当する所得を合算してから、所得控除額を引いて、課税総所得金額を出してから、まとめて税率をかけて税額を算出します。

分離課税の場合は

所得ごとに決められた税率をかけて税額を算出し、後がで合算して税額を出します。

最終的に

総合分離課税の税額と分離課税の税額を足して、税額控除を除くと、最終的な税金の金額が算出される仕組みとなっています。

 

「海外FXの税金」と「国内FXの税金」の違いは、この「総合課税なのか?」「分離課税なのか?」の違いと言っても良いのです。

  • 「海外FXの税金」 → 総合課税
  • 「国内FXの税金」 → 分離課税

となっています。

 

海外FXの税金(所得税)の仕組み

海外FXの税金(所得税)は「総合課税」であり、下記の中の「雑所得」に該当します。

  • 配当所得
  • 不動産所得
  • 事業所得
  • 給与所得
  • 事業所得
  • 一時所得
  • 雑所得 → 海外FXの税金

雑所得の例

  • 年金や恩給などの公的年金等
  • 非営業用貸金の利子
  • 著述家や作家以外の人が受ける原稿料や印税、講演料や放送謝金など
  • アフィリエイトの収入やインターネットオークションの売金
  • 税務署等からの還付加算金
  • 外貨建預貯金の為替差益
  • 生命保険契約等の個人年金保険
  • ビットコイン等の仮想通貨を売却又は使用することによる利益

ここに「海外FXの収入」も入るのです。

海外FXの税金は

給与などの所得と合算して、税金が計算されるもの

なのです。

海外FXの税金(所得税)の税率

所得税

課税される所得金額 税率 控除額
195万円以下 5% 0円
195万円を超え 330万円以下 10% 97,500円
330万円を超え 695万円以下 20% 427,500円
695万円を超え 900万円以下 23% 636,000円
900万円を超え 1,800万円以下 33% 1,536,000円
1,800万円を超え4,000万円以下 40% 2,796,000円
4,000万円超 45% 4,796,000円

復興特別所得税

所得税額 × 2.1%

海外FXの税金(所得税)の計算の手順

手順その1.総合課税の所得を合算する

  • 配当所得
  • 不動産所得
  • 事業所得
  • 給与所得
  • 事業所得
  • 一時所得
  • 雑所得

などを合算して、経費を除いて、総合所得を計算します。

総合課税の所得合計 = 年間収入 - 年間経費

サラリーマンで、海外FXのみを副業としてやっている場合は

給与所得 + 海外FXの所得 = 総合課税の所得合計

となります。

手順その2.取得控除額を計算する

  • 給与所得控除
  • 基礎控除
  • 配偶者控除
  • 扶養控除
  • 社会保険料控除
  • 生命保険料控除
    ・・・

など、所得税から控除されるものを計算します。

一番メジャーなものは「給与所得控除」です。

給与所得控除
給与等の収入金額(給与所得の源泉徴収票の支払金額) 給与所得控除額
1,800,000円以下 収入金額×40%650,000円に満たない場合には650,000円
1,800,000円超~3,600,000円以下 収入金額×30%+180,000円
3,600,000円超~6,600,000円以下 収入金額×20%+540,000円
6,600,000円超~10,000,000円以下 収入金額×10%+1,200,000円
10,000,000円超~12,000,000円以下 収入金額×5%+1,700,000円
12,000,000円超 2,300,000円(上限)

手順その3.課税される所得金額を計算する

課税所得 = 総合課税の所得合計 - 所得控除合計

で計算されます。

手順その4.調整控除額を計算する

調整控除額とは
所得税と住民税の控除額の差を調整するために設けられている制度のこと

 

課税される所得金額が200円万以下
  • 所得税との人的控除額(基礎控除・扶養控除・障害者控除・寡婦控除などの「人」に関する所得控除)の差の合計
  • 課税される金額

1と2のいずれか小さい方 × 5% = 調整控除額

課税される所得金額が200円万超
  • 所得税との人的控除額(基礎控除・扶養控除・障害者控除・寡婦控除などの「人」に関する所得控除)の差の合計
  • 課税される金額-200万円

(1 – 2) × 5%  = 調整控除額(2,500円未満になる場合は2,500円)

手順その5.税率をかけて税額を計算する

所得税 = 課税される所得金額 × 税率 - 控除額
復興特別所得税 = 所得税 × 2.1%
所得税
課税される所得金額 税率 控除額
195万円以下 5% 0円
195万円を超え 330万円以下 10% 97,500円
330万円を超え 695万円以下 20% 427,500円
695万円を超え 900万円以下 23% 636,000円
900万円を超え 1,800万円以下 33% 1,536,000円
1,800万円を超え4,000万円以下 40% 2,796,000円
4,000万円超 45% 4,796,000円
復興特別所得税

所得税額 × 2.1%

で計算します。

例:課税される所得金額が500万円の場合

所得税率:20%
控除額:427,500円

  • 所得税 = 500万円 × 20% - 427,500円 = 572,500円
  • 復興特別所得税 = 572,500円 × 2.1% = 12,023円
  • 所得税+復興特別所得税 = 584,523円
例:課税される所得金額が800万円の場合

所得税率:23%
控除額:636,000円

  • 所得税 = 800万円 × 23% - 636,000円 = 1,204,000円
  • 復興特別所得税 = 1,204,000円 × 2.1% = 25,284円
  • 所得税+復興特別所得税 = 1,229,284円

手順その6.税額から直接控除される税額控除を引く

住宅ローン控除などは、確定した所得税額から、最後に控除額を引く形になります。

海外FXの税金(住民税)

まずは、簡単に税金の仕組み(住民税)について解説すると、下記のような図になっています。

税金(住民税)の仕組み

住民税は

  • 都道府県が徴収する都道府県民税
  • 市町村が徴収する市町村民税(東京23区は特別区民税)

に分類されます。

地方税であり、市区町村と都道府県に対して、住民がどちらに対しても納税する仕組みとなっています。

住民税の計算は、所得税の計算でも利用した「課税所得金額」を利用します。

海外FXの税金(住民税)の税率

市区町村民税 課税所得金額 × 6% 均等割り(自治体ごとに違う)
都道府県民税 課税所得金額 × 4% 均等割り(自治体ごとに違う)

※一部の市区町村では、若干税率が異なるところがあります。

海外FXの税金(住民税)の計算の手順

手順その1.課税所得金額に税率をかけて税額を計算する

所得税の計算で利用した「課税される所得金額(課税所得)」に住民税の税率をかけます。

  • 市区町村民税 = 課税所得 × 6%
  • 都道府県民税 = 課税所得 × 4%
例:課税される所得金額が500万円の場合

市区町村民税 = 500万円 × 6% = 30万円
都道府県民税 = 500万円 × 4% = 20万円

住民税の合計 = 50万円

例:課税される所得金額が800万円の場合

市区町村民税 = 800万円 × 6% = 48万円
都道府県民税 = 800万円 × 4% = 32万円

住民税の合計 = 80万円

海外FXの税金と国内FXの税金の違い

前述した通りで、海外FXの税金と国内FXの税金は

  • 「海外FXの税金」 → 総合課税
  • 「国内FXの税金」 → 分離課税

という違いがあります。

国内FXの税金の税率

所得税
  • 所得(利益から経費を引いたもの)の15%
住民税
  • 所得(利益から経費を引いたもの)の5%
復興特別所得税
  • 所得税の2.1%

合算すると

20.315%

となります。

所得の大小に関わらず、一律で「所得の20.315%」という税率になっています。

さらに

  • 損益通算
  • 損失繰り越し

という制度もあります。

損益通算とは

ほかの損失と合算して、納税額を計算すること

を言います。

国内FXの所得は

  • ほかの国内FX
  • CFD
  • バイナリーオプション
  • 商品先物(金・プラチナ・とうもろこし・原油等)
  • 日経225先物
  • TOPIX先物

などの投資の所得と合算して、納税額を計算することになります。

  • 国内FX A社:+100万円
  • 国内FX B社:-20万円
  • 国内バイナリーオプション C社:-10万円

の場合

合計の70万円に対して「20.315%」の税金がかけられるのです。

損失繰り越しとは

国内のFX取引で発生した損失は、最大3年間繰り越すことができます。
  • 1年目の国内FXの所得:+100万円 → 税金 20万3150円
  • 2年目の国内FXの所得:-50万円 → 税金 0円
  • 3年目の国内FXの所得:+40万円 → 税金 0円(前年の損失を繰り越すことができる)

海外FXの税金と国内FXの税金の違いの考察

基本的には多くの方の場合は

「海外FXの税金」よりも、「国内FXの税金」の方が税金の負担は少ない

ことになります。

「海外FXの税金」の方が有利になるケースは

課税所得が330万円以下の場合

→ 住民税と合わせても、「国内FXの税金」よりも「海外FXの税金」が低くなる

不動産や事業所得の経費が大きく、赤字になる場合

→ 総合課税内で「損益通算」ができるので、「国内FXの税金」よりも「海外FXの税金」が低くなる

 

ですから

 

  • フリーターの方
  • 主婦の方
  • 不動産を保有している方
  • 個人事業をしている方

などは、「海外FXの税金」の方がよりも、税金の負担は少ない

  • サラリーマンの方

などは、「国内FXの税金」の方が「海外FXの税金」よりも、税金の負担は少ない

傾向があるのです。

FXで大きく儲けられる方の場合、税金面で考えれば「国内FXの方が有利」なのは、間違えありません。

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