「海外FXの税金と国内FXの税金って何が違うの?」
「海外FXの税金って、どうやって支払うの?」
「海外FXの税金の確定申告ってどうすれば良いの?」
・・・
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海外FXの税金については、なかなか情報が少ないこともあり、いろいろな疑問を感じている方も少なくありません。今回は、海外FXの税金の仕組みについて、このページを見るだけでわかるように丁寧に解説します。
海外FXの税金の疑問
海外FXで支払うべき税金には何があるの?
海外FXで利益が出た場合に支払うべき税金には
- 所得税
- 住民税
の2つがあります。
所得税とは
住民税とは
を言います。
どちらも、働いていた経験のある方であれば、一般的な税金なのですが、日本在住の日本人で海外FXで所得(利益)が発生した場合には、「所得税」と「住民税」を納める義務があるのです。
海外FXの税金は日本に払うの?外国の税務署に払うの?
海外FXの税金は
国税庁のウェブサイトを見ると
No.2010 納税義務者となる個人
所得税法では、所得税の納税義務者を居住者、非居住者、内国法人、外国法人の四つのグループに分けてそれぞれ納税義務を定めています。
居住者とは、日本国内に住所があるか又は現在まで引き続いて1年以上居所がある個人です。
なお、居住者は、「非永住者以外の居住者」と「非永住者」に分かれます。
出典:国税庁
No.2875 居住者と非居住者の区分
我が国の所得税法では、「居住者」とは、国内に「住所」を有し、又は、現在まで引き続き1年以上「居所」を有する個人をいい、「居住者」以外の個人を「非居住者」と規定しています。
出典:国税庁
No.2012 居住者・非居住者の判定(複数の滞在地がある人の場合)
ある人の滞在地が2か国以上にわたる場合に、その住所がどこにあるかを判定するためには、例えば、住居、職業、資産の所在、親族の居住状況、国籍等の客観的事実によって判断することになります。
(注) 滞在日数のみによって判断するものでないことから、外国に1年の半分(183日)以上滞在している場合であっても、わが国の居住者となる場合があります。
1年の間に居住地を数か国にわたって転々と移動する、いわゆる「永遠の旅人(Perpetual Traveler, Permanent Traveler)」の場合であっても、その人の生活の本拠がわが国にあれば、わが国の居住者となります。
出典:国税庁
簡単に言えば
ということを言っているのです。
ことになります。
海外FXの税金(所得税)
まずは、簡単に税金の仕組み(所得税)について解説すると、下記のような図になっています。
税金(所得税)の仕組み
出典:東京税理士会
大きく分けて
- 総合課税
- 分離課税
の2つに分類されます。
総合課税とは
- 配当所得
- 不動産所得
- 事業所得
- 給与所得
- 事業所得
- 一時所得
- 雑所得
分離課税とは
- 山林所得
- 退職所得
- 譲渡所得
- 株式譲渡所得
- 利子所得
のことを言います。
総合課税の場合は
分離課税の場合は
最終的に
総合分離課税の税額と分離課税の税額を足して、税額控除を除くと、最終的な税金の金額が算出される仕組みとなっています。
「海外FXの税金」と「国内FXの税金」の違いは、この「総合課税なのか?」「分離課税なのか?」の違いと言っても良いのです。
- 「海外FXの税金」 → 総合課税
- 「国内FXの税金」 → 分離課税
となっています。
海外FXの税金(所得税)の仕組み
海外FXの税金(所得税)は「総合課税」であり、下記の中の「雑所得」に該当します。
- 配当所得
- 不動産所得
- 事業所得
- 給与所得
- 事業所得
- 一時所得
- 雑所得 → 海外FXの税金
雑所得の例
- 年金や恩給などの公的年金等
- 非営業用貸金の利子
- 著述家や作家以外の人が受ける原稿料や印税、講演料や放送謝金など
- アフィリエイトの収入やインターネットオークションの売金
- 税務署等からの還付加算金
- 外貨建預貯金の為替差益
- 生命保険契約等の個人年金保険
- ビットコイン等の仮想通貨を売却又は使用することによる利益
ここに「海外FXの収入」も入るのです。
海外FXの税金は
なのです。
海外FXの税金(所得税)の税率
所得税
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
195万円以下 | 5% | 0円 |
195万円を超え 330万円以下 | 10% | 97,500円 |
330万円を超え 695万円以下 | 20% | 427,500円 |
695万円を超え 900万円以下 | 23% | 636,000円 |
900万円を超え 1,800万円以下 | 33% | 1,536,000円 |
1,800万円を超え4,000万円以下 | 40% | 2,796,000円 |
4,000万円超 | 45% | 4,796,000円 |
復興特別所得税
所得税額 × 2.1%
海外FXの税金(所得税)の計算の手順
手順その1.総合課税の所得を合算する
- 配当所得
- 不動産所得
- 事業所得
- 給与所得
- 事業所得
- 一時所得
- 雑所得
などを合算して、経費を除いて、総合所得を計算します。
サラリーマンで、海外FXのみを副業としてやっている場合は
となります。
手順その2.取得控除額を計算する
- 給与所得控除
- 基礎控除
- 配偶者控除
- 扶養控除
- 社会保険料控除
- 生命保険料控除
・・・
など、所得税から控除されるものを計算します。
一番メジャーなものは「給与所得控除」です。
給与所得控除
給与等の収入金額(給与所得の源泉徴収票の支払金額) | 給与所得控除額 |
---|---|
1,800,000円以下 | 収入金額×40%650,000円に満たない場合には650,000円 |
1,800,000円超~3,600,000円以下 | 収入金額×30%+180,000円 |
3,600,000円超~6,600,000円以下 | 収入金額×20%+540,000円 |
6,600,000円超~10,000,000円以下 | 収入金額×10%+1,200,000円 |
10,000,000円超~12,000,000円以下 | 収入金額×5%+1,700,000円 |
12,000,000円超 | 2,300,000円(上限) |
手順その3.課税される所得金額を計算する
で計算されます。
手順その4.調整控除額を計算する
調整控除額とは
課税される所得金額が200円万以下
- 所得税との人的控除額(基礎控除・扶養控除・障害者控除・寡婦控除などの「人」に関する所得控除)の差の合計
- 課税される金額
1と2のいずれか小さい方 × 5% = 調整控除額
課税される所得金額が200円万超
- 所得税との人的控除額(基礎控除・扶養控除・障害者控除・寡婦控除などの「人」に関する所得控除)の差の合計
- 課税される金額-200万円
(1 – 2) × 5% = 調整控除額(2,500円未満になる場合は2,500円)
手順その5.税率をかけて税額を計算する
復興特別所得税 = 所得税 × 2.1%
所得税
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
195万円以下 | 5% | 0円 |
195万円を超え 330万円以下 | 10% | 97,500円 |
330万円を超え 695万円以下 | 20% | 427,500円 |
695万円を超え 900万円以下 | 23% | 636,000円 |
900万円を超え 1,800万円以下 | 33% | 1,536,000円 |
1,800万円を超え4,000万円以下 | 40% | 2,796,000円 |
4,000万円超 | 45% | 4,796,000円 |
復興特別所得税
所得税額 × 2.1%
で計算します。
例:課税される所得金額が500万円の場合
所得税率:20%
控除額:427,500円
- 所得税 = 500万円 × 20% - 427,500円 = 572,500円
- 復興特別所得税 = 572,500円 × 2.1% = 12,023円
- 所得税+復興特別所得税 = 584,523円
例:課税される所得金額が800万円の場合
所得税率:23%
控除額:636,000円
- 所得税 = 800万円 × 23% - 636,000円 = 1,204,000円
- 復興特別所得税 = 1,204,000円 × 2.1% = 25,284円
- 所得税+復興特別所得税 = 1,229,284円
手順その6.税額から直接控除される税額控除を引く
住宅ローン控除などは、確定した所得税額から、最後に控除額を引く形になります。
海外FXの税金(住民税)
まずは、簡単に税金の仕組み(住民税)について解説すると、下記のような図になっています。
税金(住民税)の仕組み
住民税は
- 都道府県が徴収する都道府県民税
- 市町村が徴収する市町村民税(東京23区は特別区民税)
に分類されます。
地方税であり、市区町村と都道府県に対して、住民がどちらに対しても納税する仕組みとなっています。
住民税の計算は、所得税の計算でも利用した「課税所得金額」を利用します。
海外FXの税金(住民税)の税率
市区町村民税 | 課税所得金額 × 6% | 均等割り(自治体ごとに違う) |
都道府県民税 | 課税所得金額 × 4% | 均等割り(自治体ごとに違う) |
※一部の市区町村では、若干税率が異なるところがあります。
海外FXの税金(住民税)の計算の手順
手順その1.課税所得金額に税率をかけて税額を計算する
所得税の計算で利用した「課税される所得金額(課税所得)」に住民税の税率をかけます。
- 市区町村民税 = 課税所得 × 6%
- 都道府県民税 = 課税所得 × 4%
例:課税される所得金額が500万円の場合
市区町村民税 = 500万円 × 6% = 30万円
都道府県民税 = 500万円 × 4% = 20万円
住民税の合計 = 50万円
例:課税される所得金額が800万円の場合
市区町村民税 = 800万円 × 6% = 48万円
都道府県民税 = 800万円 × 4% = 32万円
住民税の合計 = 80万円
海外FXの税金と国内FXの税金の違い
前述した通りで、海外FXの税金と国内FXの税金は
- 「海外FXの税金」 → 総合課税
- 「国内FXの税金」 → 分離課税
という違いがあります。
国内FXの税金の税率
所得税
- 所得(利益から経費を引いたもの)の15%
住民税
- 所得(利益から経費を引いたもの)の5%
復興特別所得税
- 所得税の2.1%
合算すると
20.315%
となります。
さらに
- 損益通算
- 損失繰り越し
という制度もあります。
損益通算とは
を言います。
国内FXの所得は
- ほかの国内FX
- CFD
- バイナリーオプション
- 商品先物(金・プラチナ・とうもろこし・原油等)
- 日経225先物
- TOPIX先物
などの投資の所得と合算して、納税額を計算することになります。
例
- 国内FX A社:+100万円
- 国内FX B社:-20万円
- 国内バイナリーオプション C社:-10万円
の場合
合計の70万円に対して「20.315%」の税金がかけられるのです。
損失繰り越しとは
例
- 1年目の国内FXの所得:+100万円 → 税金 20万3150円
- 2年目の国内FXの所得:-50万円 → 税金 0円
- 3年目の国内FXの所得:+40万円 → 税金 0円(前年の損失を繰り越すことができる)
海外FXの税金と国内FXの税金の違いの考察
基本的には多くの方の場合は
ことになります。
「海外FXの税金」の方が有利になるケースは
課税所得が330万円以下の場合
→ 住民税と合わせても、「国内FXの税金」よりも「海外FXの税金」が低くなる
不動産や事業所得の経費が大きく、赤字になる場合
→ 総合課税内で「損益通算」ができるので、「国内FXの税金」よりも「海外FXの税金」が低くなる
ですから
- フリーターの方
- 主婦の方
- 不動産を保有している方
- 個人事業をしている方
などは、「海外FXの税金」の方がよりも、税金の負担は少ない
- サラリーマンの方
などは、「国内FXの税金」の方が「海外FXの税金」よりも、税金の負担は少ない
傾向があるのです。