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【直前特集】英総選挙はハングパーラメントへ?各党票読みと今後の状況

 明日は英下院の総選挙が行われます。
メイ首相の人気の高さもあり、当初は与党保守党の圧勝が期待された今回の選挙ですが
ここにきて混戦度合いがかなり強まっており、保守党は改選前議席をかなり下回ってきそうです。

 英国の下院の定数は650議席。過半数は326議席です(ただし、実質的には議長が中立となるため325議席)。

 改選前の議席数は保守党が330議席と単独過半数を占めています。最大野党の労働党が232議席、第3党のスコットランド国民党(SNP)が56議席。後はいずれも一桁という状況です。

 4月にメイ首相が総選挙の意向を示していた際には、高い支持率を背景に、保守党が一気に勢力を伸ばし、状況次第では400議席を超えるのではというぐらいの勢いが見られました。

 しかし、状況が変わったのは先月の二つの材料。
一つは5月22日に中部マンチェスターで起きたテロ事件。
米人気歌手のコンサートで起きたこの事件は多数の死傷者を出す痛ましいものとなりました。メイ首相は内相時代に経費削減の中で警官の数を減らしてきたということもあり、このテロが、与党及びメイ首相への批判につながりました。
もう一つが各党の出したマニュフェスト。
保守党が高齢者に対する医療負担増を示すマニュフェストを出したことで、高齢者層からの支持が低下。一方、労働党は財政支出拡大による景気と治安の回復を前面に出したことで、支持率が急騰する結果となりました。

 これにより保守党と労働党の世論調査での支持率の差はかなり縮まっています。
調査会社によって相当ばらつきがあるので微妙なところもありますが、大体の流れでは、
保守党の支持率は42~45%程度、労働党の支持率は35~40%程度となっています。保守党は第一党を何とか確保といったところです。

 ただ、英国の下院選挙は単純総選挙区制で行われているため、支持率の差がそのまま議席数につながりませんので要注意。

 前回2015年の選挙では、保守党の得票率は36.8%でしたが、議席率は50.8%。一方、労働党の得票率は30.5%と、6.3%差でしたが、議席率は35.7%で、15.1%差と差が開いています。
より顕著なのが56議席を取ったSNPと8議席の自由民主党で、SNPは全体の4.7%の得票で、8.6%の議席数。一方自由民主党はSNPよりも100万票近く多い得票で、7.9%の得票率となっていますが、1.2%の議席数にとどまっています。

 選挙区内で2位で惜敗しても議席は取れず、他で人気がなくても特定選挙区で1位を取ると議席になるという状況がこうした結果を呼んでいます。自由民主党と同じ8議席の民主統一党は、得票数では自由民主党の10分の1にも満たない18万票程度で得票率はわずか0.6%です。逆に英国独立党は得票数388万票で12.7%もとっていますが、議席数はなんと1です。

 こうした状況だけに、かなり議席数が読みにくいのですが、英調査会社YouGovが示した議席数予想では、保守党が304、労働党が266となっています。第一党を確保も、過半数は取れずというハングパーラメントが予想されています。

 ではこの予想の妥当性を見てみましょう。
まず中立の議長としてバーコウ現議長は実質的に確定済(そういう制度なんです)。
上にあげた民主統一党をはじめとする北アイルランド勢力に関しては18議席との予想。
現行も無所属のヘルモン議員含めて18議席なので、変わらず。こちらも妥当。なお、このうち現在4議席を有するシン・フェインは議会に出てきませんので過半数の議論からも外すべきだと思われます。英下院議員として活動するために必要な女王の下での宣誓を同党議員が行うとはまず思えませんので今後も出てこないと思われます。

 地域政党としてはSNPが46議席の見通し。現行は56議席。スコットランド独立の国民投票が否決されて勢いを少し落としていますのでこちらも妥当といったところでしょう。
ウェールズの地域政党プライドカムリは2議席見込み。現行3議席から落とすという見込み。こちらは微妙ですが、大勢に影響はありません。

 自由民主党は12議席の見込みと、現行の8議席から上昇見込み。世論調査での支持率は8%前後と、2015年と変わっていませんが、前回の敗北を通じて選挙区の調整を行っていれば、支持率的にあり得ない数字ではありません。12ちょっと多い気もしますが。

 なお、前回議席は取れなかったものの得票率の高かった英国独立党は、すでに英国がEUから独立を決めたこともあり、支持率自体が下がっており、今回も取れて一つという予想、YouGovはゼロを見込んでいます。あと緑の党など諸派が1。
  
 のこりの570を保守党と労働党で分ける格好です。
保守党と労働党が直接争う区での議席取り次第では単独過半数も意識が必要ですが。支持率が接戦となっていることを考えると304と266は割と妥当な線。予想通り第一党も過半数取れずという見通しが強そうです。

 この場合メイ首相が議会に対して配慮することが増え、ブレグジット交渉に取ってはやや障害に。その分、ポンドは売り圧力を浴びそうです。

山岡和雅(やまおか・かずまさ)

山岡和雅(やまおか・かずまさ)

1992年チェースマンハッタン銀行入行
1994年ロイヤルバンクオブスコットランド銀行
(旧ナショナルウェストミンスター銀行)移籍
10年以上インターバンクディーラーとして活躍した後にGCIグループに参画。
2016年3月より株式会社みんかぶマガジン社・FX情報配信部門 部長兼 編集長
(社)日本証券アナリスト協会検定会員
主な著書として「外為投資ネットでらくらく儲かる方法」(すばる舎)
はじめての人のFX(外国為替証拠金取引)基礎知識&儲けのルール」(すばる舎)がある

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