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小笠原誠治の経済ニュースに異議あり!

財政出動で国際協調したいという安倍総理の狙い

 日経が次のように報じています。

 「安倍晋三首相は世界経済の減速に対応し、消費喚起を狙った経済対策を策定する。5月26~27日の主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)前にまとめ、財政出動による国際協調を構築する狙いだ。対策を裏付ける2016年度補正予算案は7月の参院選後、秋までに予定する臨時国会に出す。今後の景気状況によっては17年4月の消費増税再延期も視野に入れる」

 如何でしょうか?

 財政出動で国際協調をしようと米国や欧州などの先進国に訴えるのですって。

 でも、米国や欧州勢が景気対策のために財政面で大盤振る舞いをするとは到底期待できません。

 何故かと言えば、米国の2015年10-12月期の実質経済成長率は1.4%(年率換算前期比)であり、EUにしても1.6%(前年同期比)と、それほど悪い状況ではないからです。

 それに、米国は、次の利上げは何時になるかが関心を集めているのですから、そんな国が景気対策のために財政出動をすることなど考えられないのです。財政出動をする位なら金利を上げる訳がないからです。

 プラス、米国の議会の捻じれ現象を見れば、米国議会で財政出動が認められるなんてありえないこと位、簡単に想像がつく筈です。

 にも拘わらず、米国や欧州勢に向かって財政出動をしましょうと、安倍総理は呼びかけるのですって。

 結局、安倍総理は、そうして日本の財政出動を国際公約にしてしまい...そして、財政出動が国際公約になれば、それと反対の行動とみなされる増税などもっての外だという論理で、消費税増税をまたまた延期する作戦ではないのでしょうか?

 結局、選挙に勝つことだけが目的なのでしょう。

 ああ情けない!

 多大な労力とお金を投じてサミットを開催するのですから、もっと世界経済のためになる議論をすべきです。

 とは言っても、格調高い議論をしろと言っているのではないのです。率直に意見を述べればいいのです。

 安倍総理は何を思っているのか?

 今年に入ってから、世界的に株価が低下し...それが心配だったのでしょう? だから、マイナス金利なんてものも導入した、と。

 だったら、何故世界的に株価が急落したのか、どうしたら株価の低下を食い止めることができるのかを世界のリーダーたちと率直に話し合ったらいいのです。

 何故株価が急落したのでしょうか?

 それは、株式市場から投機資金が一斉に逃げ出したからなのです。

 では、何故投機資金が株式市場から逃げ出したかと言えば...それには、様々な理由が考えられますが、その一つは、中国経済の減速の影響が大きいと思われます。

 そして、その中国の株式市場でも投機資金の流出が起きたばかりでなく、そもそも資本の海外流出が起きているのです。

 逆に言えば、それまでそうした投機資金が世界の株式市場に大量に流れ込んできたから、実体経済以上に株価が上がっていたとも言えるのです。

 原油価格の下落にしても、世界的な原油に対する需要の低迷があるにしても、それまでそうした投機資金が原油価格を不当に引き上げていたので、その反動が今起きているという要素も大きいのです。つまり、原油価格も、そうした投機資金が存在しなければ、もっと緩やかな値動きをする筈だ、と。

 で、安倍総理を含め世界のリーダーたちは、そうした株価や原油価格の乱高下を気にせざるを得ない状況になっているのです。

 それはそうですよね。株価が大暴落してしまえば、そのことが実体経済に与える影響は深刻なものがあるからです。

 でも、だったらどうしてそうした投機資金というか、ホットマネーの存在を許しておくのか、不思議でなりません。

 もちろん、先進国は資本の流れを自由にしているので、国境をまたいで移動する資金の量が多いことは理解できます。

 しかし、タックスヘイブンに流れていく大量の資金を放っておく手はないではないですか?

 要するに、母国の課税や規制を逃れたお金が、今大量に世界中に溢れているのです。

 実際にどの程度のお金がタックスヘイブン流れ込んでいるか公式のデータはありませんが、どんなに控えめにみても2千数百兆円はあるという説や、8百兆円程度あるという説があるのですが...いずれにしても莫大な金額なのです。

 これらのお金は、その時々の経済状況をみて瞬時に国境をまたいで移動する性格を有しています。儲け話があればすぐ跳びつき、損をしそうだと思えば一斉に逃げ出す。だから、アジア通貨危機などが起きたし、また、今年に入ってからは株価が大きく値を下げたのです。

 だとしたら、資本の流れを規制しろとまでは言いませんが、少なくてもタックスヘイブンに流れる資本の動きを止めること位のことをするのが、先進国の務めではないのでしょうか。

 タックスヘイブンを利用する個々の企業に、それを止めろと言っても止める筈はありません。それで節税が可能であり、国もそれを禁じていないからなのです。

 でも、実態は脱税に近い行為をしていると言ってもいいでしょう。だとしたら、国が禁止するのが当然です。


以上

最新の小笠原誠治の経済ニュースに異議あり!

小笠原誠治(おがさわら・せいじ)

小笠原誠治(おがさわら・せいじ)

1976年3月九州大学法学部卒。1976年4月北九州財務局(大蔵省)入局。
大蔵省国際金融局開発金融課課長補佐、財務総合政策研究所研修部長、
中国財務局理財部長などを歴任し、2004年6月退官。
以降、経済コラムニストとして活躍。
メールマガジン「経済ニュースゼミ」(無料版・有料版)を配信中。
著書に「マクロ経済学がよーくわかる本」(秀和システム)、
ミクロ経済学がよーくわかる本―市場経済の仕組み・動きが見えてくる」(秀和システム)、
経済指標の読み解き方がよーくわかる本」(秀和システム)がある。
企業・団体などを対象に、経済の状況を分かりやすく解説する講演も引き受ける。

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