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小笠原誠治の経済ニュースに異議あり!

円高になる理由はマイナス金利にあり!

 長期金利が昨日、史上初めてマイナス圏に突入しました。

 もっとも長期金利とはこの場合、10年物国債の利回りを意味する訳で、残存期間9年以下のものについては、既にマイナスに突入していたのです。

 いずれにしても、経済大国である日本の長期金利がマイナスに突入したということで、米国の公共ラジオ放送のnprもそのことを紹介しています。

 Japan Is Selling Bonds Guaranteed To Lose You Money

 「日本は、元本が減ることを保証された国債を販売中」

 Japan is venturing further into the terra incognito of negative interest rates, selling a 10-year government bond that actually costs its purchasers money over time.

 「日本は、実際には購入者にコストのかかる10年物国債を売ることによって、マイナス金利という名の領域に乗り出している」
 
 The move by the Bank of Japan is aimed at stimulating its economy, but it increases the likelihood that other countries will try to do the same thing.

 「日本銀行のこの措置は、経済を刺激することを狙ったものであるが、他の国も同じような措置をとる可能性が高まっている」 

 まあ、金利がマイナス圏に突入することよって設備投資や住宅投資が活性化すれば、確かに景気の下支えにはなるのでしょうが...しかし、そのこととは別に、実際に円高がもたらされているのは何故なのでしょう?

 マイナス金利になれば、益々円安圧力をかけるのではなかったのでしょうか?

 おかしいですよね?

 或いは、円安圧力はかかっているものの、それ以上に原油安や世界経済の変調などによるリスクオフの流れの影響が大きいからなのでしょうか?

 マイナス金利を支持する人々は、もし、日銀がマイナス金利を導入していなかったら、もっと円高になっていた筈だなんて言っていますよね。

 でも、それは説得力を持ちません。

 というのも、先ほど言ったように、一般の人を対象とする米国の公共ラジオ放送までもが日本のマイナス金利を採りあげるほど、今回の出来事はショッキングであったからです。それに対し、原油安の動きなどは今急に始まったものではないからです。

 私に言わせると、余りにもショッキング過ぎて、だからこそ円高になっているのだと思うのです。

 いいでしょうか?

 お金を借りる側ではなく、お金を貸す側、つまり、国債を購入する側が金利を払うのがマイナス金利。

 つまり、金利を支払ってでもいいから日本国債を購入したいという投資家がいるほど、今、日本国債の人気が高まっているのです。

 世界経済の見通しが益々不透明になるなか、できる限りリスクの少ない資産を購入したいと思うのが投資家の常。

 しかし、それにしても、日銀がマイナス金利を導入していなければ、そして、日銀が大量に国債を購入しなければ、こんなに国債の価格が高騰するなんてことはなかったのです。

 要するに、日銀が国債を買い占めているから、ちょっとしたことでも国債が高騰しやすくなっているのです。そして、国債が高騰した結果が、マイナス金利なのです。

 では、世界の投資家は、そうしてマイナス金利が発生するほど日本の国債が高騰するのをどのように見ているのか?

 当然のことながら、これは世界経済の先行きが不透明になっていることの証だと見るのです。

 つまり、金利がマイナスになるのは不景気の証だとみる投資家が多く、従って、日銀によるマイナス金利導入によって、むしろリスクオフの流れが加速されているのです。

 そして、そうやってリスクオフの流れが強まるので、益々円高に振れる、と。

 面白いですね。黒田総裁の思惑とは反対に、黒田総裁が導入したマイナス金利自体が円高を引き起こしているのです。

 もちろん、一般論としては、金利が低ければ低いほど自国通貨の価値に下げ圧力をかけるでしょう。しかし、時として、金利が低いことが、或いは金利がマイナスであることが、その国の通貨の価値が安泰であることの証明になるのです。

 というのも、仮にマイナス金利の国債を購入して、元本100に対して99の償還しかされなくても、仮に物価が年率2%低下するような状況下では実質的には損をすることはないからです。

 となれば、マイナス金利を導入したということは、将来の物価上昇率が当然マイナスになるというお墨付きを与えたようなもので、益々黒田総裁の意図には反するのです。


以上

最新の小笠原誠治の経済ニュースに異議あり!

小笠原誠治(おがさわら・せいじ)

小笠原誠治(おがさわら・せいじ)

1976年3月九州大学法学部卒。1976年4月北九州財務局(大蔵省)入局。
大蔵省国際金融局開発金融課課長補佐、財務総合政策研究所研修部長、
中国財務局理財部長などを歴任し、2004年6月退官。
以降、経済コラムニストとして活躍。
メールマガジン「経済ニュースゼミ」(無料版・有料版)を配信中。
著書に「マクロ経済学がよーくわかる本」(秀和システム)、
ミクロ経済学がよーくわかる本―市場経済の仕組み・動きが見えてくる」(秀和システム)、
経済指標の読み解き方がよーくわかる本」(秀和システム)がある。
企業・団体などを対象に、経済の状況を分かりやすく解説する講演も引き受ける。

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