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小笠原誠治の経済ニュースに異議あり!

10年物国債の利回りがマイナスになる可能性

 先週の日銀によるマイナス金利導入によって、長期金利(10年物国債の利回り)が急低下しています。

 先週末0.1%を切り、0.09%にまで落ち込んでいたのが、本日はさらに低下し、0.06%となっています。

 勘違いしないで下さいよ。0.6%ではないのです、0.06%なのです。

 0.06%なんて言うよりも0.1%を切っていると言った方が分かりやすいかもしれませんね。要するに、ゼロまで間近の水準に達しているのです。伝えられるところによれば、長期金利がマイナスになる可能性も十分あるとか。

 では、ここで質問です。

 もし、貴方が多くの余裕資金をもっていたとして、10年物国債の利回りがゼロを切りマイナスになった場合、国債を買いたいと思いますか?

 聞くまでもないかもしれません。通常であれば、買おうなんて思う筈がありませんよね。

 それだったら、お金を金庫にしまっておく、と。

 では、何故、長期金利がマイナスになる可能性もあるなんて言われているのでしょうか?

 答えは、どんなに高くても国債を買いたいという人がいるからです。

 では、その人とは誰なのか?

 答えは、ニッポンギンコウ!

 では、ニッポンギンコウは、そんなことをして損をしないのか?

 はい、確実に損をするのです。

 でも、損をしてでも、長期金利を可能なだけ引き下げ、そして、それによって円安を促進し景気をよくしようという狙いがあるのです。

 しかし、そのような政策って、どこか不自然で持続可能性がないと思いませんか?

 それに円安を引き起こして景気を良くするなんてことをすれば、どこの国だって、そうした行動に出るので、通貨安戦争が起きてしまうでしょう。

 さらに言えば、我々一般の人間が汗水たらして稼いだお金が全く利子を生まないどころか、逆にマイナス金利ということで元本が目減りしてしまえば、勤労や貯蓄に対する日本人の感覚を大きく狂わせてしまうでしょう。

 何かおかしい!

 いずれにしても、日銀がどんなにお金を出してでも国債を買おうとするので、マイナス金利が起こる訳ですが、ただ、財政法の規定で、日銀は政府が発行する国債を直接引き受けることはできないのです。日銀は、民間銀行等が購入した国債を買い取る手段でしか国債を手に入れることはできないのです。

 そして、その一方で、通常なら、民間銀行等は、我々と同じようにマイナス金利の国債など購入する筈がない、と。

 では、何故10年物国債の利回りがマイナスになることなど起きるのでしょう。

 それはですね...民間銀行等が、必ず自分たちが付けた価格以上の価格で日銀が国債を買い取ってくれると信じるから、本来であれば付く筈のない高値が新発国債にもつくのです。

 となれば、日銀は、民間銀行から国債を買い入れるとは言っても、実質的には民間銀行をダミーとして利用しているだけで、国債の直接引受を行っているのに等しいのです。つまり、財政法の脱法行為をしているようもの!

 それから、マイナス金利政策は、益々人々の購買力を奪うことにも注意が必要です。

 例えば、平均的家計が1500万円ほどの貯蓄を有していたとして、仮に2%の利子が得られるとすれば、毎年、30万円が家計に入ってくるのに、金利がゼロになれば、その30万円の収入が入ってこなくなるので、その分、確実に購買力が奪われてしまうのです。

 家計から購買力を奪うという理由で増税に反対する人は多いものの、利下げやマイナス金利に反対する人が殆どいないのはどうしてでしょう?

 要するに、そこまで不自然で、脱法行為の疑いがあり、さらに家計の購買力を奪うのが、今回の日銀のマイナス金利政策といっていいでしょう。

 日銀のマイナス金利政策のお蔭で株価が上がったら、全てオーライとなるのでしょうか?

 ふるさと納税、プレミアム商品券等々、人々の欲望をくすぐるものばかりで、一見得には見えても、よくよく考えたら政府の借金を増やすようなものばかりではないですか?

 いずれにしても、10年物の国債の利回りが0.1%を切り、もうすぐマイナスになりそうだというのは異常としか言えません。

 そんなニュースに接してもなんとも感じないようであれば、相当神経が摩耗しているとしか思えません。

以上

最新の小笠原誠治の経済ニュースに異議あり!

小笠原誠治(おがさわら・せいじ)

小笠原誠治(おがさわら・せいじ)

1976年3月九州大学法学部卒。1976年4月北九州財務局(大蔵省)入局。
大蔵省国際金融局開発金融課課長補佐、財務総合政策研究所研修部長、
中国財務局理財部長などを歴任し、2004年6月退官。
以降、経済コラムニストとして活躍。
メールマガジン「経済ニュースゼミ」(無料版・有料版)を配信中。
著書に「マクロ経済学がよーくわかる本」(秀和システム)、
ミクロ経済学がよーくわかる本―市場経済の仕組み・動きが見えてくる」(秀和システム)、
経済指標の読み解き方がよーくわかる本」(秀和システム)がある。
企業・団体などを対象に、経済の状況を分かりやすく解説する講演も引き受ける。

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