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第357回 正しい話(2/3)

例えば、最近、ネットで見かけた典型的な「煽りの記事」(しかも、中身が出鱈目)は以下になる。

『2016年5月2日 プレジデント・オンライン「アベノミクスで"景気が浮揚しない"本当の理由 大前研一の日本のカラクリ」
http://president.jp/articles/-/17886
(前略)16年度の新規国債は34.4兆円。
毎年のように30兆~40兆円の赤字国債を垂れ流して、日本の公的債務は1300兆円に膨れ上がっている。それでもなお政府は史上最大の予算を組み続けているのだ。
1300兆円の国家債務というのは、生まれたばかりの赤ん坊を含めて国民1人あたり1300万円の借金があるということ。戦争でも起こして他所の国に借金を押し付けでもしない限り、まともには返せる額ではない。赤ん坊やリタイアした老人に借金を返す力はない。借金を返せるのは民間の勤労者だけである。しかし少子高齢化で日本の勤労者は毎年30万~50万人ずつ減っている。負債は増え続ける一方で、返済できる人はどんどん減っているのだから、計算式は至ってシンプル。返せるわけがないのだ。
世界最大の日本の国家債務を担保しているのが、日本国民が保有している1700兆円の個人金融資産である。いざとなれば、政府はこれに着目してパクろうとするだろう。戦時中に大量発行した国債の借金をチャラにするために、政府は1946年に預金封鎖して財産税を課し、国民の財産を取り上げた"前科"がある。現状、1700兆円の個人金融資産は国が無駄遣いをするための原資になっている。1700兆円の約半分は現金預金で、銀行や郵貯などの金融機関に預けられている。銀行や郵貯はそれを元手に国債を買っているのだ。(後略)』

 上記の大前氏の記事は、もはや「正しいところが一つもない!」と突っ込まざるを得ないほどにレベルが低いデマゴギーだ。ところが、この手の記事が未だにマスコミに堂々と掲載され、それに騙される国民も少なくないのだろう。
 以下は、上記記事に対する筆者の「正しい話」である。

「日本国民は政府の負債の債権者であるため、赤ん坊を含めて国民一人当たり1300万円の債権になってしまう。それ以前に、なぜ大前氏の頭の中では、日本国民は1億人しかいない計算になっているのか?」(もちろん、一人当たり借金とやらの額を多く見せるため、1億人で計算している)
「そもそも、政府の負債を長期的に返済した政府が過去に存在するのか。一つでも実例を挙げて欲しい。(実際には存在しない)」
「日本銀行が国債を買い取っているため、すでに政府の負債が実質的に130兆円超も減っている事実をなぜ無視するのか」
「勤労者の所得が一定の前提になっている理由は何か。大前氏は、生産性向上すら知らないのか?」
「世界最大の負債を抱えている政府は、アメリカ連邦政府であって、日本政府ではない」
「日本円を日銀に発行させれば負債が実質的に消える日本政府が、何が悲しくて"預金封鎖"などと意味不明なことをしなければならないのか。そこに、いかなる合理性があるのか」

 と、正しい話に基づき指摘したところで、大前氏が意見を変えることはないだろう。彼の頭の中では、国家予算は"家計簿"であり、通貨発行権も存在しないのだ。
この種のデマゴギーがマスコミで大っぴらに展開され、中東半端な知識しか持たない人は、すぐに煽られる
あるいは、
「三橋の言っていることは嘘だ。自分の知識が間違っているはずがない。日本は財政破綻する」
と、認知的不協和に陥っている人は、大前氏の記事を読み安心するわけだ。

最新の三橋貴明の「経済記事にはもうだまされない!」

三橋貴明(みつはし・たかあき)

三橋貴明(みつはし・たかあき)

1994年、東京都立大学(現:首都大学東京)経済学部卒業。
外資系IT企業ノーテルをはじめ、NEC、日本IBMなどに勤務した後、2005年に中小企業診断士を取得、2008年に三橋貴明診断士事務所を設立する。現在は経済評論家、作家として活躍中。
インターネット掲示板「2ちゃんねる」での発言を元に執筆した『本当はヤバイ!韓国経済―迫り来る通貨危機再来の恐怖』(彩図社)が異例のベストセラーとなり一躍注目を集める。同書は、韓国の各種マクロ指標を丹念に読み解き、当時日本のマスコミが無根拠にもてはやした韓国経済の崩壊を事前に予言したため大きな話題となる。
その後も、鋭いデータ読解力を国家経済の財務分析に活かし、マスコミを賑わす「日本悲観論」を糾弾する一方で、日本経済が今後大きく発展する可能性を示唆し「世界経済崩壊」後に生き伸びる新たな国家モデルの必要性を訴える。
崩壊する世界 繁栄する日本』(扶桑社)、『中国経済がダメになる理由』(PHP研究所)、『ドル崩壊!』 など著書多数。ブログ『新世紀のビッグブラザーへ blog』への訪問者は、2008年3月の開設以来のべ230万人を突破している(2009年4月現在)。

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