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第356回 There is no alternative(他に道はない)(3/3)

全ての諸悪の根源は、財務省の財政均衡主義であり、プライマリーバランス黒字化目標です。この狂気のドグマ(教義)が主因で、日本のみならず、世界経済までもが危険にさらされている。
 もはや、安倍政権に残された道は、一つしかない。
 プライマリーバランス目標を破棄し、大々的な財政出動路線に舵を切るのだ。さもなければ、安倍総理大臣は悪い意味で「歴史に名を残す」ことになるだろう。
 2016年4月28日は、日本市場は休みだったが、外国為替市場で1ドル=106.36円にまで円高が進んだ。
 しかも、なぜかこのタイミングでアメリカの財務省が日本を(中国もだが)為替の「監視リスト」の対象にした。通貨を意図的に安くしているのではないか、との疑いを持っているわけだ。
 もちろん、日本政府や日本銀行は、
「為替レート引き下げではなく、デフレ対策として金融緩和を行っているだけ」
 と言い訳するのだろうが、アメリカからは量的緩和が実質的な円安政策として見られているようだ。そして、その認識は正しい。
 とはいえ、情けないことに、米財務省に疑いをもたれるほど懸命に円安誘導を試みたにも関わらず、結局、我が国の実質輸出は増えなかった。
 無論、円安が進んでいた時期、外貨を稼ぐ大手企業の円建てで見た収益は増えた。結果、一時的に法人税が増収になったが、それももう終わりだ。
 日本銀行に打てる手はなく、打ったとしても「ETFを買い増しする」といった効果が期待できない手段しかなく、金融市場はもはや「期待」「目標」とやらでは釣られない。当然、円高の進行とともに株価は下落し、GPIFや日本銀行の評価損がクローズアップされていくことになる。
 評価損といえば、日本銀行の評価損の問題も、そろそろ表面化する。別に、だからと言って日銀が潰れるといった話ではないが、そもそも国内の市中銀行がなぜマイナス金利で国債を買えるのか。もちろん、日本銀行が量的緩和政策で「それよりも高く」国債を買い取ってくれるおかげなのでだ。つまり、損は日銀にいく。
 金融政策、為替、株価、実質輸出、実質消費。全てが、行き詰りつつある。
 というわけで、運命の分かれ道になりそうな2016年5月が始まった。1-3月期GDP成長率の発表。消費税増税の判断。そして、サミット。
 安倍総理が少しでも真剣に日本国民や日本経済のことを考えているならば、
「消費税増税の凍結(もしくは減税)
「インフラや技術への投資という、大規模財政出動」
「プライマリーバランス目標の破棄」
と。「三つの宣言」を実行に移すべきである。
この「三つの宣言」こそが、それこそ、
「There is no alternative(ほかに道はない)」
 なのである。

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三橋貴明(みつはし・たかあき)

三橋貴明(みつはし・たかあき)

1994年、東京都立大学(現:首都大学東京)経済学部卒業。
外資系IT企業ノーテルをはじめ、NEC、日本IBMなどに勤務した後、2005年に中小企業診断士を取得、2008年に三橋貴明診断士事務所を設立する。現在は経済評論家、作家として活躍中。
インターネット掲示板「2ちゃんねる」での発言を元に執筆した『本当はヤバイ!韓国経済―迫り来る通貨危機再来の恐怖』(彩図社)が異例のベストセラーとなり一躍注目を集める。同書は、韓国の各種マクロ指標を丹念に読み解き、当時日本のマスコミが無根拠にもてはやした韓国経済の崩壊を事前に予言したため大きな話題となる。
その後も、鋭いデータ読解力を国家経済の財務分析に活かし、マスコミを賑わす「日本悲観論」を糾弾する一方で、日本経済が今後大きく発展する可能性を示唆し「世界経済崩壊」後に生き伸びる新たな国家モデルの必要性を訴える。
崩壊する世界 繁栄する日本』(扶桑社)、『中国経済がダメになる理由』(PHP研究所)、『ドル崩壊!』 など著書多数。ブログ『新世紀のビッグブラザーへ blog』への訪問者は、2008年3月の開設以来のべ230万人を突破している(2009年4月現在)。

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