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第356回 There is no alternative(他に道はない)(2/3)

それにしても、日本銀行が2月に当座預金の一部にマイナス金利(▲0.1%)をかける荒業に出たにも関わらず、3月のコアCPIが▲0.3%というのは衝撃だ。
 結局のところ、金融政策「のみ」で物価を引き上げるという「期待」に依存した手法は、少なくとも我が国のように長期デフレが継続している国では結果を出せないのだ。
 当然ながら、政府の財政出動により、直接的に「モノやサービス」を購入するしかない。何しろ、日本銀行にはもはや打てる手がない。
 量的緩和の拡大は、銀行の国債が尽きる日を早めてしまうため、不可能である(継続するのみだ)。無論、政府が国債を増発すれば別だが、何しろ、日本政府は熊本大分地震の復興すら、
「国債金利が低下したので、浮いたおカネを回す」
 と、プライマリーバランスに固執する姿勢を見せている。国債増発は、今のところ望み薄である。
 そうなると、マイナス金利政策の幅(範囲)や深さ(利幅)を拡大するしかない。とはいえ、マイナス金利を拡充しても。銀行がますます経営危機に追い込まれるだけで、民間の資金需要が不足している以上、貸し出しや消費、投資は増えない。
 しかも、2月のマイナス金利政策ではインフレ率をプラス化できなかったという「結果」があるわけだ。
 結局、日本政府が「財政拡大」に大きく舵を切らない限り、我が国はデフレから脱却できず、国民の貧困化は続き、日本銀行や銀行が追いつめられていくことになる。
 長期デフレ下で緊縮財政を強行しつつ、「金融政策」のみでデフレ脱却を図るとどうなるか。我が国の「社会実験」は、失敗に終わりつつあるわけだ。
 無論、「失敗」とは物価目標の達成に限らない。
金融政策が完全に行き詰った反対側で、実体経済が悪化していっている。インフレ率(コアCPI)が▲0.3%に落ち込んだのと合わせ、3月の実質消費が発表になった。
3月の家計調査によると、2人以上世帯の消費支出は1世帯あたり30万889円で、物価変動の影響を除いた実質では、前年同月比5.3%の減少となってしまった。
実質消費支出の推移をグラフ化した。

【図 日本の実質消費支出の推移(前年比%)】
20160502.png
出典:総務省

 2015年3月の実質消費は、消費税増税前の駆け込み消費の反動ということで、対前年比▲10.6%という大幅なマイナスになった。
 その15年3月と比べてさえ、16年3月は▲5.3%になってしまったのである。
 実質消費が下がっているとは、国民が、
「買えるパンの数が減っている」
 という意味なのだ。あるいは、「パンを買わなくなっている」のかも知れないが、いずれにせよ2016年1-3月期の経済成長率がマイナスになった可能性が高まってきた。
 2015年10-12月期はマイナス成長だったので、またもやリセッション。しかも、下手をすると2014年度に続き、2015年度もマイナス成長。日本の憲政史上、経済を二年度連続でマイナス成長に叩き込んだ総理大臣は存在しない。
 加えて、熊本・大分地震の影響で、九州での生産が停止し、4-6月期もマイナス成長の可能性が濃厚だ。
 さらに、金融政策はもはや「打つ手なし」。このままでは、経済が停滞し、デフレが継続したまま銀行の国債が尽きる日を迎え(厳密には国債が尽きる日が「見える」)、その時点で超円高。世界経済をまたもや金融危機に突っ込ませる可能性がある。(それ以前に、ドナルド・トランプが共和党の大統領候補になる、あるいは大統領になるだけで、超円高になると思われるが)

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三橋貴明(みつはし・たかあき)

三橋貴明(みつはし・たかあき)

1994年、東京都立大学(現:首都大学東京)経済学部卒業。
外資系IT企業ノーテルをはじめ、NEC、日本IBMなどに勤務した後、2005年に中小企業診断士を取得、2008年に三橋貴明診断士事務所を設立する。現在は経済評論家、作家として活躍中。
インターネット掲示板「2ちゃんねる」での発言を元に執筆した『本当はヤバイ!韓国経済―迫り来る通貨危機再来の恐怖』(彩図社)が異例のベストセラーとなり一躍注目を集める。同書は、韓国の各種マクロ指標を丹念に読み解き、当時日本のマスコミが無根拠にもてはやした韓国経済の崩壊を事前に予言したため大きな話題となる。
その後も、鋭いデータ読解力を国家経済の財務分析に活かし、マスコミを賑わす「日本悲観論」を糾弾する一方で、日本経済が今後大きく発展する可能性を示唆し「世界経済崩壊」後に生き伸びる新たな国家モデルの必要性を訴える。
崩壊する世界 繁栄する日本』(扶桑社)、『中国経済がダメになる理由』(PHP研究所)、『ドル崩壊!』 など著書多数。ブログ『新世紀のビッグブラザーへ blog』への訪問者は、2008年3月の開設以来のべ230万人を突破している(2009年4月現在)。

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