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第354回 巨大な需要から目をそらすな!(3/3)

 ところで、東日本大震災の際にも書いたのだが、大地震が発生し、被災地で被災者が苦しんでいるからといって、
「被災地の方々のために、おカネを使うのは控えよう」
 といった行動をとるのは絶対にやめて欲しい。特に、イベントの自粛などは最悪だ。
 我々日本国民は生産者として働き、モノやサービスを生産し、顧客に消費、投資として支出(購入)してもらい、所得を得る。つまりは、所得とは「誰かがおカネを使わない限り」創出されないのだ。
 そして、この所得から税金が徴収され、被災地の救援のために使われることになる。
 読者が被災地のことを考え、おカネを使うのをやめてしまうと、その分、誰かの所得が生まれない。つまりは、税収が減る。
 被災地のことを考えるならば、むしろこれまで以上におカネを使うべきである。寄付やふるさと納税もいいが、特に熊本県や大分県のモノやサービスを買うことこそが、真の意味で被災地支援になるのだ。
経済(経世済民という意味の経済)とは、そういう「仕組み」になっているのである。
 もっとも、熊本地震のような非常事態が発生すると、経世済民という意味の経済において、最も重要なのが何かわかってくる。あるいは、経済力の本質が理解できる。
 経済力の本質とは、おカネではない。モノやサービスを生産する力、すなわち供給能力だ。
 現在、熊本県の被災地では全国各地のモノ(食料や水など)を運び込む「運送サービス」の力が低下しており、被災者が苦しんでいる。何しろ、高速道路があちこちで寸断され、しかも阿蘇大橋のようにメインの橋梁が崩落してしまったのだ。
 物資を必要な人、つまりは「需要」の下に届けるのが、運送サービスの役割だが、熊本県では実現が困難になっている。運送サービスにしても、「安全保障」の一環を担っているのだ。そもそも、ロジスティックスとは兵站用語なのである。
支援物資がなかなか被災者にまで届かず、熊本県は、運送会社の「ヤマト運輸」と「日本通運」の2社に協力を求め、支援物資を配送する態勢を強化するとのことである。
 東日本大震災の際にも、物資を満載にしたトラックを日本全国の運送サービスを担う「国民」が走らせ、新潟、山形という大回りで被災地に向かった。震災当時のドライバーに支払われた日当は、はっきり書いておくが、ガソリン代にすらならないほど些少な金額であった。
 それでも、全国のトラック野郎たちは被災地に向けてトラックを走らせたのだ。
なぜだろうか。
 それは、東北の地で「同じ国民」が苦難に直面しているためである。
「困っているときは、お互いさま」
 の精神で、夜を徹してハンドルを握り続けた。当時の彼らの思いこそが、健全な「ナショナリズム(国民意識)」であると確信している。
 無論、運送サービスのみならず、土木・建築、電力会社などインフラ産業、警察、消防、自衛隊、そして地方自治体の職員たちが、今現在も、熊本の被災地で救援活動を続け、被災者に物資を届けるように奮闘している。特に、地方自治体の職員は「地元」の出身であり、自らも被災者なのだ。それでも、自分のことは後回しに、住民のために尽力している職員がほとんどだという事実を知って欲しい。
 経済とは、難しい。
 例えば、自治体が地震に備え、膨大な物資や水を貯蔵していると、「無駄遣いだ!」と批判さえる。そして、いざ大地震が発生した際には、貯蔵した物資が「無駄遣いだ!」と批判した人をも救うことになる。
 とはいえ、物資が十分にあったとしても、それを被災地に届けることができなければ、結局は被災者が苦しむことになる。トラックなど運搬車両の準備は万全でも、「道路」に代表される交通インフラが利用不可能では、被災地に物資は届かない。
 それでも、誰もが懸命に被災者に物資を届けようと頑張っている。
 少なくとも我が国では、経世済民とは「防災安全保障」と切り離すことは不可能だ。そして、防災安全保障のためには健全なナショナリズムが必須なのである。
 いかなる「契約」をしていようとも、「外国企業」は、日本国民のために、自らも大きな犠牲を払ってまで助けてはくれない。理由は、彼らが日本国でビジネスをしているのは「利益」のためだからだ。ガソリン代にもならない金額で、同じ日本国民を救うために、夜を徹してトラックを被災地まで走らせるなどという「魂」は、持ち合わせていない。「外国」である以上、当たり前だ。
 無論、在日米軍などは、震災に苦しむ日本国民のために救援活動に動いてくれる。とはいえ、究極的には日本国民を救うのは、日本国民しかいないのである。これは、安全保障の鉄則だ。
 「震災列島」で生きていく全ての日本国民は、経世済民、安全保障、ナショナリズムの本当の意味を理解する必要がある。ナショナリズムとは朝日新聞の言う「軍靴の音が聞こえる」という話ではなく、「国民同士の助け合いの気持ち」であるという真実を、どうか知って欲しい。

最新の三橋貴明の「経済記事にはもうだまされない!」

三橋貴明(みつはし・たかあき)

三橋貴明(みつはし・たかあき)

1994年、東京都立大学(現:首都大学東京)経済学部卒業。
外資系IT企業ノーテルをはじめ、NEC、日本IBMなどに勤務した後、2005年に中小企業診断士を取得、2008年に三橋貴明診断士事務所を設立する。現在は経済評論家、作家として活躍中。
インターネット掲示板「2ちゃんねる」での発言を元に執筆した『本当はヤバイ!韓国経済―迫り来る通貨危機再来の恐怖』(彩図社)が異例のベストセラーとなり一躍注目を集める。同書は、韓国の各種マクロ指標を丹念に読み解き、当時日本のマスコミが無根拠にもてはやした韓国経済の崩壊を事前に予言したため大きな話題となる。
その後も、鋭いデータ読解力を国家経済の財務分析に活かし、マスコミを賑わす「日本悲観論」を糾弾する一方で、日本経済が今後大きく発展する可能性を示唆し「世界経済崩壊」後に生き伸びる新たな国家モデルの必要性を訴える。
崩壊する世界 繁栄する日本』(扶桑社)、『中国経済がダメになる理由』(PHP研究所)、『ドル崩壊!』 など著書多数。ブログ『新世紀のビッグブラザーへ blog』への訪問者は、2008年3月の開設以来のべ230万人を突破している(2009年4月現在)。

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