FX外国為替情報のKlug(クルーク)
為替、海外投資でハイリターンを得るためのニュース、レポート、コラムを掲載

第354回 巨大な需要から目をそらすな!(2/3)

『2016年4月16日 朝日新聞「宇土市役所庁舎、崩壊寸前に「本当に潰れた...」」
http://www.asahi.com/articles/ASJ4J2G6BJ4JTIPE00Q.html
 16日未明の地震で震度6強が観測された熊本県宇土市の市役所本庁舎は、鉄筋コンクリート造り5階建ての建物の4階部分が押しつぶされて、崩壊寸前になった。市は本庁舎敷地内への立ち入りを制限した。
市によると、本庁舎は約50年前に建てられた。十数年前の耐震試験で「震度6や7の地震には耐えられない」との結果が出ていたが、財政上の理由から建て替えを先延ばししてきた。東日本大震災後、建て替え議論が本格化し、職員内での検討が進められていた。
地震発生時、本庁舎1階の警備室で仮眠を取っていた警備員の村上泰三さん(59)は庁舎の姿を外から見て「本当に潰れた......」と絶句した。』

 宇土市役所本庁舎は昭和40年5月の竣工から、すでに51年が経過している。何と、半世紀前に建設された建造物なのだ。
 実は、2016年2月29日に、宇土市庁舎建設検討委員会が開かれ、

『宇土市役所本庁舎は,昭和40年5月の竣工から51年経過し,老朽化が著しく,更には,耐震性にも大きな問題を抱えております。
 市庁舎とは,高い耐震性や安全性を確保し,防災・災害時の拠点,また,司令塔として機能し続ける重要施設,また,市民が親しみを感じ,市民と協働で活動,交流ができる施設でなければなりません。
 そのような課題もあることから,市では,市庁舎建設についての方向性を検討するため,市民代表や学識経験者などからなる「宇土市庁舎建設検討委員会」を設置し,検討を行っていきます。』

 と、市庁舎建て替えの検討が始まった一か月半後に、熊本地震に見舞われ、建物が半壊状態になってしまった。
 大津町役場も同様で、竣工が1969年10月であるため、ほぼ筆者と同い年ということになる。すなわち、築四十六年だ。
 なぜ、宇土市や大津町が老朽化した庁舎の建て替えをしてこなかったのか。1981年に耐震基準が大きく変更されたにも関わらず、旧耐震基準のまま放置されてきたのか。
 もちろん、朝日新聞の記事にもある通り、「財政上の理由」である。我が国で「国の借金で破綻する」「公共事業は無駄だ」といった、財政破綻論、反公共投資論が広まり、その「空気」に影響され、自治体も予算を削減せざるを得ず、非常事態発生時の拠点たる建造物が旧耐震化基準のまま使われ続けてきたのだ。
 もっとも、行政機関を新耐震基準に建て替えたとしても、今後、未来永劫、大地震が発生しないかも知れない。その場合、「無駄な支出だ」という話になるのだろうか。
 絶対に、違う。
 来るかどうか分からない。来ないかも知れない。とはいえ、来た時の被害が甚大な災害に備えるからこそ、政府が存在するのだ。
 繰り返すが、日本国は早急に病院、市庁舎、学校など、全国の旧耐震化基準の公共建築物を「全て」新基準で建て替えるべきである。そうすることで、将来の日本国民の生命を救うことができる。
 そう考えたとき、我が国に「需要がない」などと考えることが、いかに愚かであるかが理解できるはずだ。需要がないのではない。需要から「目を背けている」のが、現代の日本国民や政治家の姿なのである。
 い加減に「国民を大規模自然災害から守る」という巨大な需要から目をそらすことはやめるべきだ。

最新の三橋貴明の「経済記事にはもうだまされない!」

三橋貴明(みつはし・たかあき)

三橋貴明(みつはし・たかあき)

1994年、東京都立大学(現:首都大学東京)経済学部卒業。
外資系IT企業ノーテルをはじめ、NEC、日本IBMなどに勤務した後、2005年に中小企業診断士を取得、2008年に三橋貴明診断士事務所を設立する。現在は経済評論家、作家として活躍中。
インターネット掲示板「2ちゃんねる」での発言を元に執筆した『本当はヤバイ!韓国経済―迫り来る通貨危機再来の恐怖』(彩図社)が異例のベストセラーとなり一躍注目を集める。同書は、韓国の各種マクロ指標を丹念に読み解き、当時日本のマスコミが無根拠にもてはやした韓国経済の崩壊を事前に予言したため大きな話題となる。
その後も、鋭いデータ読解力を国家経済の財務分析に活かし、マスコミを賑わす「日本悲観論」を糾弾する一方で、日本経済が今後大きく発展する可能性を示唆し「世界経済崩壊」後に生き伸びる新たな国家モデルの必要性を訴える。
崩壊する世界 繁栄する日本』(扶桑社)、『中国経済がダメになる理由』(PHP研究所)、『ドル崩壊!』 など著書多数。ブログ『新世紀のビッグブラザーへ blog』への訪問者は、2008年3月の開設以来のべ230万人を突破している(2009年4月現在)。

メールマガジン

山岡和雅が毎日発行!
外国為替ディーラーの心の中

毎日の為替相場を、市場参加者の目を通して判り易く解説。為替ディーラーの本音は?【まぐまぐ殿堂入り】

バックナンバー

朝刊 ニューヨーク為替市場レポート
米国市場の動きを、朝一番に配信!! FX、外国為替、米国株、米国金利など、テレビやWEBサイトでは得られないニューヨーク金融市場情報のほか、アナリストの独自解説も配信します。

バックナンバー

powered byまぐまぐトップページへ

URL変更のお知らせ

KlugFXのURLはhttp://klug-fx.jpへ変更となります。お気に入りやブックマークなどに登録されているご利用者さまは、お手数ですが下記の新URLへの変更をお願いいたします。

http://klug-fx.jp