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第341回 繁栄への道(2/3)

生産性の向上のためには、設備投資、人材投資、公共投資、技術開発投資という四投資を「リスク」を受け入れた上で拡大する必要がある。生産性向上でインフレギャップが埋まれば、GDP三面等価の原則により「イコール生産者の所得拡大」となり、国民が豊かになる。豊かになった国民は、消費や住宅投資を増やすため、需要(=名目GDP)が拡大し、またもやインフレギャップ、人手不足の環境になる。
 生産性向上により、またもや人手不足になる。という話なのだが、その時点で、どうするべきなのか。もちろん、さらなる生産性の向上あるのみだ。
 断言するが、経済成長は、特に日本のような人口大国では「インフレギャップ(=人手不足)」環境下における生産性の向上以外では起きない。そして、我が国は人口構造上、国内の全ての産業、企業、そして地域が「超人手不足」になることが確定しているのだ。何と、幸運な国なのだろうか。
 すでに、介護や土木・建築、運送など、一部の業界で「超人手不足」が深刻化しており、インフレギャップを埋めるための生産性向上に向けた「現場の努力」が始まっている。

『2015年1月13日 朝日新聞「介護職員不足25万人 さらに5万人増 20年代初頭推計」
厚生労働省は12日、2020年代初頭の介護職員の不足数について、これまでより約5万人多い約25万人とする新たな推計を公表した。安倍政権が「1億総活躍社会」に向けて掲げる同時期までの「介護離職ゼロ」を実現するには、人材を増やす必要性が生じた。(後略)』

 記事の後略部に書かれているが、介護職場の生産性向上を目指す有識者懇談会では、介護ロボットの活用などが議論されている。介護分野の「機械化」は、生産性向上のみならず、労災(介護職員の方は腰を痛めがちなのだ)を減らす意味でも重要だ。
 同時に、公的サービスである介護分野では「介護報酬」を引き上げ、介護職員の所得と雇用の安定化を実現する必要がある。介護分野の人手不足解消は、「介護報酬引き上げ」と「生産性向上」のパッケージこそが正しい解決策なのである。
 ところが、現実の安倍政権は2015年度に介護報酬の引き下げ(耳を疑った)を断行。さらに、介護分野における「外国人労働者受入」を推進している。
二重の意味で間違っているのだ。
 結局のところ、冒頭の「三つの嘘」がボトルネック(制約条件)になり、
「財政破綻するため、介護報酬は増やせない。生産性向上のための交通インフラの整備もできない。日本はこのまま人口減少で衰退する」
 という「シナリオ」が成立してしまっており、官僚や政治家もシナリオに沿った形で我が国を「亡国」の状態に引きずり込もうとしているわけだ。
 ならば、どうすればいいのだろうか。

最新の三橋貴明の「経済記事にはもうだまされない!」

三橋貴明(みつはし・たかあき)

三橋貴明(みつはし・たかあき)

1994年、東京都立大学(現:首都大学東京)経済学部卒業。
外資系IT企業ノーテルをはじめ、NEC、日本IBMなどに勤務した後、2005年に中小企業診断士を取得、2008年に三橋貴明診断士事務所を設立する。現在は経済評論家、作家として活躍中。
インターネット掲示板「2ちゃんねる」での発言を元に執筆した『本当はヤバイ!韓国経済―迫り来る通貨危機再来の恐怖』(彩図社)が異例のベストセラーとなり一躍注目を集める。同書は、韓国の各種マクロ指標を丹念に読み解き、当時日本のマスコミが無根拠にもてはやした韓国経済の崩壊を事前に予言したため大きな話題となる。
その後も、鋭いデータ読解力を国家経済の財務分析に活かし、マスコミを賑わす「日本悲観論」を糾弾する一方で、日本経済が今後大きく発展する可能性を示唆し「世界経済崩壊」後に生き伸びる新たな国家モデルの必要性を訴える。
崩壊する世界 繁栄する日本』(扶桑社)、『中国経済がダメになる理由』(PHP研究所)、『ドル崩壊!』 など著書多数。ブログ『新世紀のビッグブラザーへ blog』への訪問者は、2008年3月の開設以来のべ230万人を突破している(2009年4月現在)。

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