FX外国為替情報のKlug(クルーク)
為替、海外投資でハイリターンを得るためのニュース、レポート、コラムを掲載

第257回 真逆の政策(1/3)

5月30日。4月の消費者物価指数が発表になった。日銀のインフレ目標の指標であるコアCPI(生鮮食品を除く総合)が103・0と、前年同月に比べ3・2%上昇した。無論、消費税率引き上げの影響が反映されているわけで、上昇率はバブル経済期の1991年2月の3・2%以来、23年2か月ぶりの高さであった。
生鮮食品を含むCPIは3・4%の上昇。本来、インフレ・デフレを図る指標であるべきコアコアCPI(食料・エネルギーを除く総合)は2・3%の上昇となった。
消費税増税の物価指数への影響を1.7ポイント(日銀試算)と仮定すると、

・CPI 1.9
・コアCPI(生鮮食品を除く総合) 1.5
・コアコアCPI(食料・エネルギーを除く総合) 0.6

となる。それに対し、消費税増税前、今年3月の消費者物価指数は以下の通りであった。

・CPI 1.6
・コアCPI 1.3
・コアコアCPI 0.7

消費税増税の影響を除くと、コアコアCPIの上昇率は前月比で下がってしまっている。これは、デフレ脱却という観点から見ると、極めて悪いサインだ。
ちなみに、想像はつくと思うが、ガソリンや灯油といったエネルギー価格は上昇幅を拡大しており、コアCPI(エネルギーを含んでいる)を0.16ポイント押し上げた。これは予想通りなのだが、エネルギーを除くコアコアで見たCPI上昇率が縮小して来ている事実は、デフレの「物価面」だけを見てもよろしくない。
同じく30日発表になった内閣府の地域経済動向では、個人消費が大きく落ち込んでいることから、全国11地域の経済情勢について、景気判断が全て下方修正された。特に、鉱工業生産において、自動車や電子部品が落ち込み、9つの地域で判断が引き下げられたことは、先行きを不安にさせる。
更に、総務省が同30日に発表した4月の家計調査によると、2人以上の世帯の消費支出は1世帯当たり30万2141円で、物価変動の影響を除く(当たり前だが、除かなければならない)実質値で、前年同月比4.6%の減少となった。激しい落ち込みと言っても構わないだろう。
どのくらい激しいかといえば、東日本大震災時を除くと、「リーマンショック以来の落ち込み」になる。2011年3月は震災の影響で実質個人消費は8.2%のマイナスだった。それ以前であれば、リーマンショック後の2009年1月に5.9%減になったのが最悪値である。
また、2000年に統計が始まった実質個人消費の「対前月比」では、4月は実に13.3%の減少。統計史上最大の落ち込みだ。
要するに、日本経済は消費税増税を受け止めることができるほど、回復していなかった。あるいは、デフレから脱却していなかったというのが真実なのである。物価面はともかく、所得面で実質賃金の下落が続く以上、当然なのだが。
物価面に限っても、消費税の影響を除くとコアコアで0.6%上昇では、デフレ脱却とはお世辞にも言えない有様だ。実質的な消費が減ったということは、当然ながら実質的な所得も縮小する(消費関連の部分は)。
怖いのは、消費税増税で名目の物価上昇率が押し上げられたことを受け、政府や国民が「デフレ脱却」と思い込んでしまうことである。今回は「更なる増税」が予定されているため、情勢は不透明としか言いようがないが、いずれにせよ政府は目標を物価ではなく「実質賃金の上昇」に転換するべきなのである。
我が国の国民の貧困化は、未だ継続している。

最新の三橋貴明の「経済記事にはもうだまされない!」

三橋貴明(みつはし・たかあき)

三橋貴明(みつはし・たかあき)

1994年、東京都立大学(現:首都大学東京)経済学部卒業。
外資系IT企業ノーテルをはじめ、NEC、日本IBMなどに勤務した後、2005年に中小企業診断士を取得、2008年に三橋貴明診断士事務所を設立する。現在は経済評論家、作家として活躍中。
インターネット掲示板「2ちゃんねる」での発言を元に執筆した『本当はヤバイ!韓国経済―迫り来る通貨危機再来の恐怖』(彩図社)が異例のベストセラーとなり一躍注目を集める。同書は、韓国の各種マクロ指標を丹念に読み解き、当時日本のマスコミが無根拠にもてはやした韓国経済の崩壊を事前に予言したため大きな話題となる。
その後も、鋭いデータ読解力を国家経済の財務分析に活かし、マスコミを賑わす「日本悲観論」を糾弾する一方で、日本経済が今後大きく発展する可能性を示唆し「世界経済崩壊」後に生き伸びる新たな国家モデルの必要性を訴える。
崩壊する世界 繁栄する日本』(扶桑社)、『中国経済がダメになる理由』(PHP研究所)、『ドル崩壊!』 など著書多数。ブログ『新世紀のビッグブラザーへ blog』への訪問者は、2008年3月の開設以来のべ230万人を突破している(2009年4月現在)。

メールマガジン

山岡和雅が毎日発行!
外国為替ディーラーの心の中

毎日の為替相場を、市場参加者の目を通して判り易く解説。為替ディーラーの本音は?【まぐまぐ殿堂入り】

バックナンバー

朝刊 ニューヨーク為替市場レポート
米国市場の動きを、朝一番に配信!! FX、外国為替、米国株、米国金利など、テレビやWEBサイトでは得られないニューヨーク金融市場情報のほか、アナリストの独自解説も配信します。

バックナンバー

powered byまぐまぐトップページへ

URL変更のお知らせ

KlugFXのURLはhttp://klug-fx.jpへ変更となります。お気に入りやブックマークなどに登録されているご利用者さまは、お手数ですが下記の新URLへの変更をお願いいたします。

http://klug-fx.jp