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第225回 国民経済の崖(1/3)

 安倍総理大臣が、2014年4月の消費税増税を発表した。長年、「デフレ期の消費税増税は政府を減収にする」と消費税増税に反対を続けた身からすれば、凄まじい、喪失感である。

『【安倍内閣総理大臣記者会見】
http://www.kantei.go.jp/jp/96_abe/statement/2013/1001kaiken.html
【安倍総理冒頭発言】
 半世紀ほど前の本日、10月1日、東海道新幹線は開業しました。そして、その10日後、東京オリンピックが開会されました。頑張る人は報われる、皆がそう信じていた時代です。その少し前、国民皆保険、皆年金が実現をしました。今に続く世界に冠たる社会保障制度の礎が築かれた時代であります。それから半世紀、日本経済は、オイルショック、バブル、バブルの崩壊を経験し、そして、15年以上続いた長い長いデフレを経験しました。この間、国民所得は大きく減ってしまいました。こうした中、毎年、ふえゆく社会保障費をどう賄うか。それが大きな課題となっています。同時に、デフレから脱却をし、再び成長軌道を取り戻すことなしには、将来に向けた真に安定した社会保障制度はつくれません。半世紀前のこの日のように、我が国経済が再び希望と活力、成長への自信を取り戻す。そして、国の信認を維持し、社会保障制度を次世代にしっかりと引き渡す。これらを同時に進めていくこと、これが私の内閣に与えられた責任であります。
 本日、私は、消費税率を法律で定められたとおり、現行の5%から8%に3%引き上げる決断をいたしました。社会保障を安定させ、厳しい財政を再建するために、財源の確保は待ったなしです。だからこそ昨年、消費税を引き上げる法律に私たち自由民主党、公明党は賛成をいたしました。
 ただし、直近のデータによれば、民間給与はわずかに上昇傾向に転じましたが、景気回復の実感はいまだ全国津々浦々までには波及してはいません。この中で増税を行えば、消費は落ち込み、日本経済はデフレと景気低迷の深い谷へと逆戻りしてしまうのではないか。結局、財政規律も社会保障の安定も悪い方向へと行きはしまいか。
 最後の最後まで考え抜きました。足元の日本経済はどうか。次元の違う三本の矢の効果で回復の兆しを見せています。2期連続で3%以上のプラス成長、有効求人倍率も0.95まで回復しました。生産も消費も、そしてようやく設備投資も持ち直してきています。15年間にわたるデフレマインドによってもたらされた日本経済の縮みマインドは変化しつつある。であれば、大胆な経済対策を果断に実行し、この景気回復のチャンスをさらに確実なものにすることにより、経済再生と財政健全化は両立し得る。これが熟慮した上での私の結論です。(後略)』

 安倍政権は、
「この(デフレの)中で増税を行えば、消費は落ち込み、日本経済はデフレと景気低迷の深い谷へと逆戻りしてしまうのではないか。結局、財政規律も社会保障の安定も悪い方向へと行きはしまいか。」
 という「正しい認識」の中で、わざわざ「間違った判断」をしたのか。それとも、「それほど酷いことにはならない」という甘い見通しの下で、不要(というか有害)な判断を下したのだろうか。
 10月1日に発表された日銀短観では、大企業はプラス13、中堅企業は5とプラス化していたが、中小企業はマイナス4であった。
 8月の失業率は、4.1%と、前月(3.8%)から悪化。
 コアコアCPI、GDPデフレータ共にマイナス0.1%。
 我が国が未だデフレ環境下にあり、特に中小企業が厳しい状況にある中において、消費税増税の決断。
「デフレ下での消費税増税はやりません」
 と訴え、総裁選挙に勝ち、総選挙に勝った安倍総理大臣にとっては、完全な公約違反になる。

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三橋貴明(みつはし・たかあき)

三橋貴明(みつはし・たかあき)

1994年、東京都立大学(現:首都大学東京)経済学部卒業。
外資系IT企業ノーテルをはじめ、NEC、日本IBMなどに勤務した後、2005年に中小企業診断士を取得、2008年に三橋貴明診断士事務所を設立する。現在は経済評論家、作家として活躍中。
インターネット掲示板「2ちゃんねる」での発言を元に執筆した『本当はヤバイ!韓国経済―迫り来る通貨危機再来の恐怖』(彩図社)が異例のベストセラーとなり一躍注目を集める。同書は、韓国の各種マクロ指標を丹念に読み解き、当時日本のマスコミが無根拠にもてはやした韓国経済の崩壊を事前に予言したため大きな話題となる。
その後も、鋭いデータ読解力を国家経済の財務分析に活かし、マスコミを賑わす「日本悲観論」を糾弾する一方で、日本経済が今後大きく発展する可能性を示唆し「世界経済崩壊」後に生き伸びる新たな国家モデルの必要性を訴える。
崩壊する世界 繁栄する日本』(扶桑社)、『中国経済がダメになる理由』(PHP研究所)、『ドル崩壊!』 など著書多数。ブログ『新世紀のビッグブラザーへ blog』への訪問者は、2008年3月の開設以来のべ230万人を突破している(2009年4月現在)。

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