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第173回 中国経済と日本(1/3)

8月16日、尖閣諸島魚釣島に、香港の保釣行動委員会らの活動家14名を乗せた抗議船「啓豊2号」が接近。七名が上陸した。香港の活動家とは言っているものの、中国共産党の意を受けて動いているのは言うまでもない。上陸した七名は魚釣島で待ち構えていた警察官、海上保安官に逮捕された。さらに、船に残っていた活動家も逮捕されたわけだが、例により弱腰の民主党政権は彼らを起訴せず、翌17日には早々と送還してしまう。
さらに日本政府の尖閣諸島国有化を受け、中国は共産党政府が人民を煽り、官製の反日デモにより我が国に圧力をかけようとした。結果的に、反日デモのはずが「反日暴動」に発展してしまい、多数の日系資本の店舗が壊され、略奪を受け、北京の日本大使館にまで暴徒が乗り込む騒ぎになった。中国人民のあまりの民度の低さに世界中が愕然となり、共産党政府は大慌てでデモの規制に乗り出した。結果、反日デモはピタリと収まった(元々が官製デモである以上、当然だが)わけだが、現在も日系企業の中国人従業員が職場放棄や賃上げを要求する動きが相次いでいる。反日デモに呼応した「便乗要求」というわけだが、中国でビジネスをする日系企業は、この手の騒ぎが同地において「日常茶飯事」であることをいい加減に理解しなければならない。
日経新聞などの無責任な煽りを受け、安易に中国進出をした日本企業の中には、同地からの資本引き上げを考え始めるところが増えてくるだろう。何しろ、中国は度重なる人件費アップにより、もはや「安価な人件費の国」ではないのだ。挙句の果てに、反日暴動で店舗や工場が焼き討ちを食らうわけだから、一体何のために中国でビジネスを展開しているのか、疑問に思う企業が増えてきて当然だ。
注意しなければならないのは、中国はすでに外資の大々的な逃避を予見し、それを防止するために複数の法律を施行しているという点だ。筆者が最も懸念しているのは、やはり中国民事訴訟法第231条である。本法律は、中国において「民事上の問題(要はカネの問題)」を抱えている外国人に対し、法的に出国を差し止めることができるという凄まじい内容なのである。刑事事件の容疑者ならともかく、民事訴訟を抱えている外国人を出国させないなど、明らかに国際法違反だ。
本231条の文面は以下の通りである。

『中国民事訴訟法231条
被執行人は法律文書に定めた義務を履行しない場合、人民法院は出国制限をし、或いは関係部門に通達をして出国制限を協力要請をすることができる。
-司法解釈規定
出国制限される者の具体的範囲としては、被執行人が法人或いはその他の組織であった場合、法定代表人、主要な責任者のみならず、財務担当者等債務の履行に直接責任を負う者も含む。』

読めば一目瞭然だが、本231条は極めて「拡大解釈」がしやすい条文になっている。何しろ「法律文書に定めた義務を履行しない」が条件で、「主要な責任者」を出国停止にできてしまうわけだ。「法律文書に定めた義務」とは、どの程度の範囲を意味しているのか。主要な責任者とは、果たして何を意味するのか。分かるのは本法律を「恣意的に活用する」中国人民や共産官僚のみである。
民事訴訟法第231条が施行された結果、中国に進出した企業で働く人々が、過去に日本人だけでも百人近くが出国停止になっている。台湾人に至っては、日本人とは桁が違う人々が一時的に中国から出られない状況に至ったのである。
本法律がある限り、何らかの民事上の問題や「言いがかり」的な損害賠償請求を受けている企業の「主要な責任者」は、中国からの出国を差し止められる可能性があるのだ。何しろ、「主要な責任者」であるわけだから、別に代表取締役などでなくても構わない。
ちなみに、同231条で不当に出国を差し止められた場合、損害賠償請求などに唯々諾々と従えば、瞬く間に当局から開放してもらえる。すなわち、日本へ脱出することが可能になる。要するに、一種の国家的誘拐ビジネスのようなものなのだ。
さて、尖閣諸島をめぐり日本との対立を深めつつある中国は、予想通り「経済」と「報道」をツール(道具)に、我が国に脅しをかけ始めた。相手国(この場合は日本)の経済が、
「自国に依存している。自国と争うと、国民が飢える」
 というウソの印象を植え付け、外交交渉を有利に展開させようとするのは、中国のような独裁国が得意としている手法だ。

『2012年9月17日 サーチナ「「日本はもう10年を失うことになる」-中国が経済制裁を示唆」
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2012&d=0917&f=national_0917_015.shtml
 日本政府による尖閣諸島(中国名:釣魚島)の国有化を受けて、人民日報は「中国はいつ日本に対して経済カードを切るのか?」と題する論説を発表した。新華社を始め、中国の主要メディアが転載して報じている。その中で、日本のいわゆる"失われた10年"を引き合いに出して、「日本はまたもう一つの10年を失い、20年後退する準備を進めているというのか」などとしている。
この論説では、「日本経済は中国の経済手段に対して免疫力に欠けている」「日本経済が倒れずに持ちこたえられたのはかなりの程度、対中貿易と対中投資の大幅成長によるもの」などと指摘している。
「中国側も、経済手段が諸刃の剣であることは理解している。グローバル化の時代、特に日中間の双方の経済・貿易関係はすでに、互いになくてはならない状態になっている」とし、「中国は経済制裁の発動を国際紛争解決に用いることには反対するが、領土主権に関わるもので、日本側が挑発を続けるならば、中国側は迎え撃たなければならない」とした。』

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三橋貴明(みつはし・たかあき)

三橋貴明(みつはし・たかあき)

1994年、東京都立大学(現:首都大学東京)経済学部卒業。
外資系IT企業ノーテルをはじめ、NEC、日本IBMなどに勤務した後、2005年に中小企業診断士を取得、2008年に三橋貴明診断士事務所を設立する。現在は経済評論家、作家として活躍中。
インターネット掲示板「2ちゃんねる」での発言を元に執筆した『本当はヤバイ!韓国経済―迫り来る通貨危機再来の恐怖』(彩図社)が異例のベストセラーとなり一躍注目を集める。同書は、韓国の各種マクロ指標を丹念に読み解き、当時日本のマスコミが無根拠にもてはやした韓国経済の崩壊を事前に予言したため大きな話題となる。
その後も、鋭いデータ読解力を国家経済の財務分析に活かし、マスコミを賑わす「日本悲観論」を糾弾する一方で、日本経済が今後大きく発展する可能性を示唆し「世界経済崩壊」後に生き伸びる新たな国家モデルの必要性を訴える。
崩壊する世界 繁栄する日本』(扶桑社)、『中国経済がダメになる理由』(PHP研究所)、『ドル崩壊!』 など著書多数。ブログ『新世紀のビッグブラザーへ blog』への訪問者は、2008年3月の開設以来のべ230万人を突破している(2009年4月現在)。

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