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第127回 TPPのウソと真実(前編)(3/3)

(2/3の続き)

 上記、日経新聞の記事からも分かるように、TPPに関する大手紙の主張は「抽象的」「印象的」「スローガン的」であり、具体性と現実性に欠ける。まるで、戦前に勇ましい抽象論を撒き散らし、日本国民を戦争に突き進ませた軍部や新聞のようだ。と言うよりも、日本の大手新聞は、戦前と全く同じ罪を犯そうとしているのである。

 大手新聞など日本のマスコミがTPPに関連してついた「ウソ」は、上記にとどまらない。あまりにも量が多く、全てを書き記すことはできないが、代表的なものをご紹介しよう。


◆2011年10月16日:自民党の谷垣総裁がテレビにおいて、
「TPP、拙速判断いけない。協議が必要」
 と述べた件について、産経新聞、日経新聞、毎日新聞の三紙が、
「交渉参加に前向き 自民・谷垣総裁が発言」
 という見出し、主旨の記事を大々的に報じた。野党総裁までもがTPP交渉参加に前向きと「虚偽情報」を流し、交渉参加を既成事実化したかったものと思われる。


◆2011年10月17日:日本政府は「TPP協定交渉の分野別状況」を公開し、TPPが農業問題のみならず、24もの分野に及ぶ非関税障壁の撤廃である事実を明らかにした。日本のマスコミは「TPPは農業問題」という印象操作、問題の矮小化を行っていたが、事実とは異なるということが政府資料で明らかにされた。


◆2011年10月20日:朝日新聞が、
「小沢氏、TPPに前向き「自由貿易は日本にメリット」」
 という見出しで、小沢一郎衆院議員がTPPに前向きであると一面で報じた。直後、小沢事務所のツイッターにより、完全な虚偽情報であることが暴露された。
『今日、一部紙面等で『TPPについて「小沢氏前向き」』と報じられておりますが、それは誤りです。今の拙速な進め方では、国内産業は守れません。』
 朝日新聞は、上記の誤報について、一切訂正を行っていない。


◆2011年10月27日:内閣府が発表した「TPP経済効果 10年で2.7兆円」について、産経新聞、日経新聞、読売新聞、時事通信などが、「10年で」という言葉を省いて報道した。見出しはもちろん、記事中にも「10年で」という単語を使わない悪質さであった。


◆2011年10月28日:TPPにおいて公的医療サービスの「見直し」は検討の対象になっていないと政府やマスコミは説明していた。ところが、アメリカのUSTRは堂々と「TPPにおける医療分野の目標」として、公的医療サービスの「見直し」を表明していることが明らかにされた。


◆2011年10月29日:TPP推進派は、
「交渉に参加し、条件が悪ければ批准しなければいい」
 などと、外交常識を無視した言説を振りまいていたが、米国のワイゼル主席交渉官により、離脱する可能性があるならば「交渉に参加するな」と釘を刺された。

『2011年10月29日 日本経済新聞「TPP交渉、日本の途中離脱を懸念 米交渉官がけん制」
【リマ=檀上誠】環太平洋経済連携協定(TPP)の拡大交渉を進める米国など9カ国は28日、ペルーの首都リマでの各国首席交渉官による第9回交渉を終えた。
 交渉終了後、米国のワイゼル首席交渉官は記者団に対し、途中で離脱する可能性を残した交渉参加案が日本国内で浮上していることについて
「真剣に妥結に向かう意志がない国の参加は望んでいない」と指摘し、日本の議論をけん制した。(後略)』』


◆2011年11月2日:フジテレビや産経新聞などは、
「(政府関係者の話によると)野田首相が鹿野農水相と先月だけでも数回極秘会談を行い、鹿野大臣が最終的に交渉参加を容認する考えを示唆し、野田総理がTPP交渉参加をAPECで表明する以降を固めた」
 と繰り返し報道し、TPP交渉参加を既成事実化しようと努力(?)していた。ところが、関西テレビのニュースアンカーにおいて、鹿野道彦農水大臣が上記の報道について「完全否定」した。

鹿野大臣「そういう事実(極秘会談)はありません。それから私が交渉参加することを容認したということも、そのような事実はございません」


 上記の通り、TPP報道に際し、国内マスコミ(及び政府)はひたすら「ウソ」を振りまくことで、交渉参加を既成事実化しようとしている。何故、マスコミや政府は、ここまでTPPに関してウソを積み重ねなければならないのだろうか。

 理由は簡単だ。

 真実を言えば、日本国民の大多数が「TPP交渉参加」に反対することが、はじめから分かっているためである。何しろ、TPPは日本国民のためには全くならない。

 日本国民のためにならないTPPという「商品」を、虚偽情報を振りまくことで売りつけようとしている。この種の行為を、法律用語で「詐欺」という。


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三橋貴明(みつはし・たかあき)

三橋貴明(みつはし・たかあき)

1994年、東京都立大学(現:首都大学東京)経済学部卒業。
外資系IT企業ノーテルをはじめ、NEC、日本IBMなどに勤務した後、2005年に中小企業診断士を取得、2008年に三橋貴明診断士事務所を設立する。現在は経済評論家、作家として活躍中。
インターネット掲示板「2ちゃんねる」での発言を元に執筆した『本当はヤバイ!韓国経済―迫り来る通貨危機再来の恐怖』(彩図社)が異例のベストセラーとなり一躍注目を集める。同書は、韓国の各種マクロ指標を丹念に読み解き、当時日本のマスコミが無根拠にもてはやした韓国経済の崩壊を事前に予言したため大きな話題となる。
その後も、鋭いデータ読解力を国家経済の財務分析に活かし、マスコミを賑わす「日本悲観論」を糾弾する一方で、日本経済が今後大きく発展する可能性を示唆し「世界経済崩壊」後に生き伸びる新たな国家モデルの必要性を訴える。
崩壊する世界 繁栄する日本』(扶桑社)、『中国経済がダメになる理由』(PHP研究所)、『ドル崩壊!』 など著書多数。ブログ『新世紀のビッグブラザーへ blog』への訪問者は、2008年3月の開設以来のべ230万人を突破している(2009年4月現在)。

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