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株式会社ミンカブ・ジ・インフォノイド

第109回 ギリシャ危機と国家主権(2/3)

(1/3の続き)

 もっとも、実は上記はギリシャ問題の一部に過ぎず、本質的な問題は他に二つある。一つ目は、大規模な緊縮財政(しかも、GDPの三割規模)をギリシャ政府が実施した場合、同国の経済が更なるどん底に落ち込むことは避けられないという点だ。

 ギリシャの雇用環境は、すでにして極めて悪化している。2011年3月時点の数値を見ると、ギリシャの失業率は早くもスペイン、リトアニア、ラトビアに次ぐ数値に跳ね上がっているのだ。

 ところで、図109-1は季節調整済みの数値である。季節調整前の数値を見ると、ギリシャの失業率は2011年3月時点で16.2%にも達している。バルト諸国とほぼ同水準にまで、雇用環境が悪化しているわけだ。


【図109-1 ユーロ主要国及び日米英の失業率(2011年5月時点) 単位:%】
20110706_01.png
出典:ユーロスタット


 失業率が15%を上回っているギリシャにおいて、GDPの三割規模という極端な緊縮財政を実施する。さらに、ギリシャはご存知の通り公務員の数が多く、しかも巨大な労働組合を形成している。公務員労組と民間最大の労組の二つが指示するだけで、何と労働人口の半分が動いてしまうのだ。

 今後のギリシャは、ただでさえ高い失業率が緊縮財政により悪化する中、各労組がデモやゼネラルストライキを繰り返し、GDPが収縮していく可能性が極めて濃厚だ。GDPが縮小すると、政府の負債残高対GDP比率が悪化する。すなわち財政が悪化するため、ギリシャ政府は益々緊縮財政を強いられることになり、怒り狂った国民が例により暴動を起こし、長期間に渡り国内の混乱が続くことになるだろう。

 ギリシャ国内の混乱は、同国の主力産業である観光業に悪影響を及ぼす。何しろ、ギリシャでは観光業が国内総生産(GDP)に占める割合が、17%を上回る。この水準は、欧州小国の平均の二倍以上だ。

 緊縮財政により国内経済が縮小し、雇用が悪化し、政府の負債残高対GDP比率が悪化(=財政悪化)する状態で、果たしてパパンドレウ首相はいつまで政権を維持することができるだろうか。ギリシャのこれまでのパターンで言えば、大規模な反政府デモンストレーションやゼネストの頻発により、政権が倒れ、EUやIMFが融資不可能になってしまう可能性も決して低くはない。

(3/3に続く)


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三橋貴明(みつはし・たかあき)

三橋貴明(みつはし・たかあき)

1994年、東京都立大学(現:首都大学東京)経済学部卒業。
外資系IT企業ノーテルをはじめ、NEC、日本IBMなどに勤務した後、2005年に中小企業診断士を取得、2008年に三橋貴明診断士事務所を設立する。現在は経済評論家、作家として活躍中。
インターネット掲示板「2ちゃんねる」での発言を元に執筆した『本当はヤバイ!韓国経済―迫り来る通貨危機再来の恐怖』(彩図社)が異例のベストセラーとなり一躍注目を集める。同書は、韓国の各種マクロ指標を丹念に読み解き、当時日本のマスコミが無根拠にもてはやした韓国経済の崩壊を事前に予言したため大きな話題となる。
その後も、鋭いデータ読解力を国家経済の財務分析に活かし、マスコミを賑わす「日本悲観論」を糾弾する一方で、日本経済が今後大きく発展する可能性を示唆し「世界経済崩壊」後に生き伸びる新たな国家モデルの必要性を訴える。
崩壊する世界 繁栄する日本』(扶桑社)、『中国経済がダメになる理由』(PHP研究所)、『ドル崩壊!』 など著書多数。ブログ『新世紀のビッグブラザーへ blog』への訪問者は、2008年3月の開設以来のべ230万人を突破している(2009年4月現在)。

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