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株式会社ミンカブ・ジ・インフォノイド

第101回 「歴史の教訓」と「通貨の信認」(1/3)

 1929年7月。ウォール街株式大暴落(1929年10月)を切っ掛けに、世界的な大恐慌が始まるわずか三ヶ月前、日本で濱口内閣が成立し、金本本位制復帰を目指した緊縮財政、産業合理化などの「改革」が開始された。その年の暮れ頃、アメリカ発の恐慌が伝播し、日本経済は「昭和恐慌」と呼ばれるデフレ不況に見舞われた。

 濱口雄幸内閣、若槻禮次郎内閣と、二つの内閣が短命のうちに倒れた。後を引き継いだ犬養毅内閣の大蔵大臣、高橋是清は、濱口内閣、若槻内閣のデフレーション政策を放棄。政府支出拡大と赤字国債発行、さらには日銀の国債引き受けによる恐慌対策に乗り出した。

 日銀国債引き受けでマネタリーベースが拡大し、円の為替レートは下落。政府支出(軍事費など)拡大と輸出増という二つのエンジンが回り始め、日本経済は早々にデフレから脱却することができた。

 さて、この高橋是清による日銀国債引き受けが行われた期間、日本の物価はどのように変動したのだろうか。高橋是清が大恐慌発生後に大蔵大臣の座に就いていたのは、1931年12月13日から、1936年2月27日までである。

 1923年から1945年までの、東京小売物価指数の動きを見てみよう。


【図101-1 東京小売物価指数(対前年比変動率)】)】
20110510_01.png
出典:消費者庁「戦前からの物価指数の長期系列」


 東京の小売物価指数の変動率であるため、全国的なCPI(消費者物価指数)ではないが、それにしても1920年代から大恐慌期までの日本の「低インフレ率」には驚かされる。 

 グラフの始まりである1923年は、関東大震災が発生した年である。関東大震災は、何しろ首都東京を直撃したため、日本国内の金融システムが一時的に麻痺状態に陥ってしまった。

 さらに、震災復興で需要が回復した直後、日本政府が緊縮財政に舵を切った(まさに橋本政権である)結果、日本経済は深刻なデフレ状況に陥ってしまう。1926年の東京小売物価指数は、対前年比で8%超も下落したわけであるから、まさしく「デフレ」である。この時期の日本のデフレを、昭和金融恐慌と呼び、先の昭和恐慌と区別している。

 当時の日本のデフレは、高橋是清蔵相(田中義一内閣)が実施した紙幣増刷などにより、ようやく収まった。

 その後、日本経済は何とかデフレ脱却に向けて歩み始めたわけだが、アメリカ発の大恐慌と濱口内閣の緊縮財政、産業合理化により、またまたデフレに突っ込んでしまう。1930年の東京小売物価指数は、何と対前年比で14.6%のマイナスになった。

 またもやデフレに落ち込んでしまった日本経済を救うため、高橋是清が蔵相として再登板し、先の日銀国債引き受けや政府支出拡大といった、いわゆるリフレーション政策が採られた。結果、日本経済は世界が羨むほどのスピードで、早期に恐慌状態から脱出することができたのである。

 その後、高橋是清は1936年2月26日の226事件で命を落とすことになる。高橋是清が狙われた最大の理由は、1934年に発足した岡田啓介内閣の大蔵大臣として、先の犬養内閣の大蔵大臣時代に、自ら始めたリフレーション政策が目標を達したとして、軍事費の削減に乗り出したためである。

(2/3に続く)


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三橋貴明(みつはし・たかあき)

三橋貴明(みつはし・たかあき)

1994年、東京都立大学(現:首都大学東京)経済学部卒業。
外資系IT企業ノーテルをはじめ、NEC、日本IBMなどに勤務した後、2005年に中小企業診断士を取得、2008年に三橋貴明診断士事務所を設立する。現在は経済評論家、作家として活躍中。
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その後も、鋭いデータ読解力を国家経済の財務分析に活かし、マスコミを賑わす「日本悲観論」を糾弾する一方で、日本経済が今後大きく発展する可能性を示唆し「世界経済崩壊」後に生き伸びる新たな国家モデルの必要性を訴える。
崩壊する世界 繁栄する日本』(扶桑社)、『中国経済がダメになる理由』(PHP研究所)、『ドル崩壊!』 など著書多数。ブログ『新世紀のビッグブラザーへ blog』への訪問者は、2008年3月の開設以来のべ230万人を突破している(2009年4月現在)。

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