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とれんど捕物帳 しばらくドル高の流れ継続か

配信日時
2018年8月4日(土)08:45:00
掲載日時
2018年8月4日(土)08:55:00

 今週は日銀、FOMC、英中銀、米雇用統計など重要イベント目白押しの週となったが結局、ドル高の流れを確認した週であっただろう。ドル円は週前半の日銀の決定を受けて円高圧力が緩和し、買い戻されている。日銀はイールドカーブ操作において、誘導目標をゼロ%近傍としている10年債の変動許容幅をこれまでの上下0.1%から0.2%に拡大し政策調整を行った。

 市場では日銀が出口戦略に舵を切るのではとの思惑から7月中旬から下旬にかけて円高が進んでいたが、黒田総裁が緩和継続姿勢を強調したことで円高は止まっている。今回の円高だが、各国が出口戦略に舵を切る中、海外勢中心に日銀もそろそろという思惑が高まったのであろう。意外に本邦勢はそれはないだろうと思っていた向きも多かったのでなかろうか。

 失業率は一時2.2%まで低下するなど、ほぼ完全雇用と言える状態ではあるものの、消費者物価がそれに呼応して上がってこない。食品・エネルギーを除いたコアコア指数で前年比0.2%、全体指数でも0.7%といった状態だ。鈍いと思われているユーロ圏でもコア指数で1%前後はある。成長見通しに至っても、IMFの最新の世界経済見通しでは18年が1.0%、19年が0.9%と主要国の中で最も低い成長見通しとなっている。イタリアよりも若干低い。何がそうさせているのかは様々議論があるところであろう。いずれにしろ、日銀が出口戦略に着手する状況には程遠い状況だ。

 そしてドル高の流れだが、これは米中貿易問題の激化であろう。トランプ大統領は中国からの輸入品2000億ドルに対して10%の制裁関税を課す方針を示していたが、これを25%に引き上げる方向で検討している。米国の保護主義政策であることから、以前であれば為替市場のシナリオはドル安であったが、今回は違うようだ。米国一強とも言える世界経済において、他国のほうが悪影響が大きいのではとも考えられている。資源国はもちろんのこと、欧州も中国経済への依存度がそれなりに高い。日本もそうであろう。

 米国による制裁で中国経済が減速した場合、米国よりも他国のほうが景気の下振れリスクが高まるということのなのかもしれない。更に米政府の輸入品に対する関税引き上げは米国内の消費者物価を引き上げる可能性もある。

 FRBが引き締めスタンスを取っている間は恐らく、米中貿易問題のエスカレートはドル高のシナリオなのであろう。習政権がどれだけ耐えられるか次第だが、この問題は長期化も予想されることから、FRBのスタンスに変更がない限りドル高が長期化する可能性もはらんでいる。

 さて来週だが、米物価統計を中心に日本のGDPなどの発表が予定されている。経済指標の注目は米消費者物価であろう。全体指数で前年比3.0%、コア指数で2.3%が見込まれている。予想通りであれば、年内あと2回の利上げシナリオを追認する内容となろう。ただし、市場は既に織り込んでいることから、流れを新たに作るような反応にはならないであろう。もし、ドル高の流れが事前に形成されていれば、ドルを押し上げる要因にはなりそうだ。

 日本のGDPは前回のマイナス成長の反動もあって前期比年率換算で1.4%の成長が見込まれている。上記でも述べたが、それでも1%台の成長だ。米国の4%台とは比較にならない。日銀の緩和継続スタンスを裏付ける内容となる可能性もある。

 やはり中心は米中貿易問題であろう。トランプ大統領からノイズが発せられる可能性は十分にあり、その場合、一時的に円高の反応も想定されるが、ドル高が相殺し一時的な動きに留まる可能性も考えられる。

 また、決算を通過した米株式市場はIT関連株には波乱もあったものの、概ね無難な通過となっており株価は底堅く推移している。

 これらの状況を踏まえ、買戻しが入っているドル円は底堅い推移が持続することを期待する。緩やかではあるが、年初来高値の113.40円に向かって再び進むことを期待したい。

 想定レンジとしては、110.50~113.00円を想定。スタンスは「やや強気」としたい。

()は前週
◆ドル円(USD/JPY) 
中期 上げトレンド継続
短期 ↓↓(↓)

◆ユーロ円(EUR/JPY)
中期 中立継続
短期 ↓↓(↓)

◆ポンド円(GBP/JPY)
中期 中立継続
短期 ↓↓(↓)

◆豪ドル円(AUD/JPY)
中期 中立継続
短期 ↓↓(↓)

◆ユーロドル(EUR/USD)
中期 中立継続
短期 →(→)

◆ポンドドル(GBP/USD)
中期 下げトレンド継続
短期 ↓↓(↓↓)

minkabu PRESS編集部 野沢卓美

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