FX外国為替情報のKlug(クルーク)
為替、海外投資でハイリターンを得るためのニュース、レポート、コラムを掲載

とれんど捕物帳 ノイズなくファンダメンタルズを意識できればドル高期待も

配信日時
2018年6月16日(土)08:45:00
掲載日時
2018年6月16日(土)08:55:00

 今週はことごとく予想が外れた週となってしまった。米朝首脳会談、FOMC、そしてECBといった重要イベントが目白押しだった。米朝首脳会談に関しては合意文書への署名というサプライズがあったが、合意の内容は「非核化」の文言が入ったものの、抽象的な内容が多く具体策に乏しかったというのが市場の印象だったようだ。ただ、この手のイベントは期待するほうが間違っている。会って協議をしただけでも良しと考えたほうがよいのではないだろうか。もしかすると裏合意に署名しているかもしれないし、今後の展開を見守るしかないのであろう。いずれにしろリスクは大きく後退したのでないだろうか。

 そして、FOMCだが、年内あと2回の利上げ見通しを出してきた。通商問題の影響などを考慮して、もう少し慎重なのではとも予想していが、意外ではあった。9月と12月の利上げの可能性が高まっている。パウエル議長は原油の短期的な影響を指摘していた。この夏は暑さが長引くとの予報もあり、個人消費が更に活発化し、インフレが加速すると見ているのかもしれない。中立金利に接近しているとは思われるが、「ビハインド・ザ・カーブ」だとは絶対に言われたくはないのかもしれない。

 更に驚きだったのがECBであっただろう。予想外に現在の資産購入プログラムが終了する9月よりあとの具体策を発表してきた。個人的には今回は精々ドラギ総裁がヒントを出す程度で、具体策の発表は7月になるだろうと見ていた。購入ペースを現在の月間300億ユーロから150億ドルに縮小して12月まで継続し、年内終了を発表している。ちなみに、個人的には100億ユーロへの縮小を予想していたが、これも外してしまった。
 瞬間、ユーロ買いが強まったが、トラップはしっかりと仕掛けられていた。金利を来年の夏まで据え置くとコミットしたことだ。市場では利上げ再開は、来年第1四半期か第2四半期と見られていた。来年も8月はECB理事会は予定されていないので、「夏まで」という表現を素直に取れば、利上げ再開は早くても来年9月の理事会ということになる。

 早速、市場からは弱気な見方が相次いでいる。向こう数週間で、先月安値の1.1510ドル付近まで下落し、1.15ドルを割り込めばショートカバーが入るとのシナリオや、9月までに1.10ドルまで下落し、その後、年末にかけて買い戻されるとの見方も出ているようだ。

 そして、あまり注目度は高くなかったが、週末に日銀金融政策決定会合が開催された。政策は据え置きだったが、消費者物価指数(CPI)に対する見方を下方修正している。

週末にトランプ大統領が500億ドル規模の中国からの輸入品への制裁関税措置を発動した。事前に伝わっていた内容ではあったが、中国が報復した場合には追加する可能性も付け加えている。それに対して中国は早速、同規模の報復関税を課すと表明している。関税措置は1102品目に及び、第1弾は7月6日から340億ドル規模の輸入品に制裁関税を課す。第2弾が160億ドル。一方、中国も同日の7月6日から農産物、自動車など500億ドル規模の米輸入品に報復関税を課すと発表した。

 米中貿易戦争への懸念から、週末の市場はネガティブな反応を見せたものの、混乱している印象まではなく、市場は意外に冷静な反応を示している印象もある。円相場も円高の動きは、さほど見られていない。双方、実際の発動まではまだ3週間ほど時間があることから、交渉の余地はまだ残っているものと思われる。

 今週のドル円は戻り売りに押される場面も見られたが、底堅く推移し110円台を回復している。110円台前半に来ている200日線を回復している。上値期待はなお温存された格好で、目先は5月高値の111.40円を試すか注目される状況。

 さて来週だが、パウエルFRB議長やドラギECB総裁のパネルディスカッションなどが予定されているが、会合を終えスタンスを変更させたばかりなので、そこから大きく逸脱した内容はないと思われる。指標は少なく最近は関心が薄くなっている米住宅指標のほかは、英中銀金融政策委員会(MPC)が予定されている。MPCは若干注目ではある。

 リスクとしては通商問題など政治リスクや、新興国通貨の動向がノイズとして意識される。ただ、基本的にはファンダメンタルズに回帰するものと期待し、そうなれば、FRBと他の中銀との金融政策の格差が意識される展開も想定される。再度、米国債利回りのフラット化が進んでいるが、長期ゾーン利回りに修正の動きが出れば、ドル高が加速するシナリオも想定される。向こう数ヵ月のドル円の見通しとしては、115円はさすがに欲張りだが、年初の高値113.40円付近までの上昇は可能性が出てきているのかもしれない。

 来週の想定レンジとしては、110.00~112.00円を想定。スタンスは「中立」から「やや強気」に変更。

()は前週
◆ドル円(USD/JPY) 
中期 中立継続
短期 ↑↑(→)

◆ユーロ円(EUR/JPY)
中期 中立継続
短期 →(→)

◆ポンド円(GBP/JPY)
中期 下げトレンド継続
短期 ↑↑(↑↑)

◆豪ドル円(AUD/JPY)
中期 中立継続
短期 →(↑↑↑)

◆ユーロドル(EUR/USD)
中期 下げトレンド継続
短期 ↓(↑↑)

◆ポンドドル(GBP/USD)
中期 下げトレンド継続
短期 ↓(↑↑)

minkabu PRESS編集部 野沢卓美

過去記事カレンダー

2018年1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月 
2017年1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月
2016年1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月
2015年1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月
2014年1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月
2013年1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月
2012年1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月
2011年1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月
2010年1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月
2009年1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月
2008年 2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月

メールマガジン

山岡和雅が毎日発行!
外国為替ディーラーの心の中

毎日の為替相場を、市場参加者の目を通して判り易く解説。為替ディーラーの本音は?【まぐまぐ殿堂入り】

バックナンバー

朝刊 ニューヨーク為替市場レポート
米国市場の動きを、朝一番に配信!! FX、外国為替、米国株、米国金利など、テレビやWEBサイトでは得られないニューヨーク金融市場情報のほか、アナリストの独自解説も配信します。

バックナンバー

powered byまぐまぐトップページへ