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とれんど捕物帳 そろそろドルのリバウンド終了も意識する時期が接近か

配信日時
2018年5月12日(土)08:50:00
掲載日時
2018年5月12日(土)09:00:00

 今週は米国のイラン核合意からの離脱と米消費者物価指数(CPI)の二つが主な材料であっただろう。イラン核合意については予想通りの離脱だったものの、実際、米国は制裁を再開するまでに最大180日間の猶予を設けており、今後の交渉の進展次第といったところに落ち着いている。中国との貿易問題にしろトランプ大統領の場合、「まずは派手に殴ってから話をする」という交渉スタイルだ。最初はリスクを意識するものの無難な着地点に落ち着くということで、市場もそろそろ慣れたほうがよいのかもしれない。トランプ大統領は大統領選挙戦の公約通りに進めているだけだ。ビジネスマンの基本である“約束は守る”というのを徹底しているだけなのであろう。

 そして、米CPIだが、食品とエネルギーを除いたコア指数は前年比で2.1%と予想(2.2%)を下回っている。中古自動車や航空運賃の低下が響き予想を下回る伸びとなった模様。為替市場はドル売りの反応を示し、米国債利回りも低下している。ただ、今回の数字は市場の反応ほどネガティブな内容であったのだろうか。今回のCPIは、インフレがFRBの目標である2%を著しく上回って加速する可能性までは示さなかったものの、2%の水準は維持しており、少なくとも6月利上げ期待を後退させる内容ではない。

 その利上げについては年内あと2回か3回かで意見が分かれている。直近の米地区連銀総裁の発言を見ると、「短期間であれば、インフレが2%をオーバーシュートしても許容範囲」との見解が多く見受けられる。要は利上げは急がない姿勢だ。今回の米CPIを考慮しても、現段階ではあと2回というのがコンセンサスと見られる。6月と9月が有力で、12月は指標次第といったところかもしれない。

 今週のドル円は米CPI発表前に110円台に瞬間的にタッチした。ただ、そのあとの売りがきつく、一気に戻り売りに押され、110円台の重たさを印象づけられる動きではあった。4月中旬以降から突如強まった今回のドル高だが、果たして今後も続いて行くのだろうか。短期金融市場で急上昇していたドルのファンディングコストは上昇一服の気配も見せている。米国債利回りも10年債が3%台を回復したものの、米CPIを受け下放れている。そろそろドルのリバウンドも終了の兆候を暗示し始めてきているようにも見える。既にドル高の流れはとっくに終了しており、むしろ欧州通貨安がドルをサポートしているという見方もある。実際、ドル円と、ユーロ円やポンド円といったクロス円は珍しく動きが逆だ。

 いずれにしろ、潮の流れに変化が出る可能性は留意しておきたい状況に来ている。もし、ドル高の流れが一旦終了したとしても、今度はクロス円の上げ支えとなり、ドル円は意外に底堅いことを期待したい。もっとも、その場合は少なくとも、上値を追うことはないであろう。ただし、米株式市場でダウ平均は連騰しており、原油も理由はどうあれ70ドル台を回復してきている。ある意味、リスク選好的とも見れなくはない。円安の反応があればとは思うが、新興国のリスクを鑑みればどうかとは思う。アルゼンチンが資金繰りに行き詰まるなど、新興国に不安定な動きが見られている。ただ、市場は今のところ、思ったほどネガティブな反応を見せていない。これまでの米利上げの課程で既に、ある程度の資金がドルに回帰しており、急激な動きは起きないと見ているのかもしれない。

 さて来週だが、主なイベントは少なく経済指標では日本のGDPや全国消費者物価指数(CPI)などの発表が予定されている。日本は何とマイナス成長が予想されている。全国CPIについても前年比0.4%と相変わらずの低水準で、日銀が出口戦略を切り出せる状況にはとてもないようだ。あとは米小売売上高の発表が予定されているが、最近の市場は景気実体よりもインフレに関心が集中していることから、大きな反応には結びつかないかもしれない。

 来週のドル円の想定レンジだが、上値は重いものの、下に崩れることはないであろう。100日線を下値サポートとし110円を上値レジスタンスとして、想定レンジとしては108.00~110.50円を想定。スタンスは「中立」で変わらずとしたい。

()は前週
◆ドル円(USD/JPY) 
中期 上げトレンド継続
短期 ↑↑(↑↑↑)

◆ユーロ円(EUR/JPY)
中期 上から中立へトレンド変化
短期 ↓↓↓(↓)

◆ポンド円(GBP/JPY)
中期 中立から下へトレンド変化
短期 ↓↓↓(↓↓)

◆豪ドル円(AUD/JPY)
中期 上から中立へトレンド変化
短期 ↓↓(↓↓)

◆ユーロドル(EUR/USD)
中期 下げトレンド継続
短期 ↓↓↓(↓↓↓)

◆ポンドドル(GBP/USD)
中期 下げトレンド継続
短期 ↓↓↓(↓↓↓)

minkabu PRESS編集部 野沢卓美

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