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とれんど捕物帳 ドル円は踏ん張りどころ 待望のドル高・株高シナリオを期待

配信日時
2018年3月10日(土)08:50:00
掲載日時
2018年3月10日(土)09:00:00

 今週はイベント盛りだくさんの週で、それなりのリスクも多かったが、ドル円は何とか心理的節目の105円を割り込まずに水準を維持している。ドル円は踏ん張りどころだ。先週から市場関心はトランプ大統領の輸入鉄鋼とアルミへの関税賦課に集中していた。結局のところ関税導入は発表されたが、さすがに反発も大きく、安全保障をキーワードに同盟国には一定の条件で譲歩している。ターゲットは中国なのであろう。トランプ大統領も繰り返し中国を直接名指ししていた。

 中国に関してはあまり刺激して欲しくないというのが市場の本音であろう。せっかくパンドラの箱を開けずにやり過ごしているのに、むやみに突っついてバランスを崩されても困るといったところかもしれない。

 今回の貿易問題で関税のほかに相互税の案が浮上してきている。相手国が米製品に課している関税と同率の税を米国も課すというものだが、この影響を見極めたいところではある。

 いずれにしろ、この件に関しては市場はやや敏感過ぎるというのが印象だ。輸入鉄鋼、アルミに対する関税賦課に関しては事前に流れていたし、これまでも米国の鉄鋼輸入については制限が強化されていた。ここに来て改めて敏感に反応する話でもない。それだけ株式市場を中心に2月の急落からの不安定さが残っている証拠かもしれない。繰り返し申し上げるが、トランプ大統領については常にそこにあるリスクと認識すべしということなのであろう。

 そのほか、北朝鮮問題では米朝首脳会談が5月実施で合意されている。市場も歓迎ムードだったが、いまのところ反応は限定的といってよいであろう。もともと市場の北朝鮮問題への関心は小さくなっていた。中東のイラン、アジアの北朝鮮といった具合で何よりも未知数。楽観的になるのは時期尚早と思われる。

 個人的に最も注目した動きだったのが、ECB理事会後のユーロの反応だ。ECBは声明から「経済見通しや金融システムが悪化した場合は、資産購入の規模または期間、もしくはその両方を拡大の用意」という部分が、今回はそっくり削除されている。出口に一歩踏み込んだ印象もあり、直後はユーロドルも買いの反応を見せていたが、ドラギ総裁の会見やスタッフ見通しが発表されると急激に失速している。2019年のインフレ見通しが下方修正されたほか、総裁の会見も貿易問題への懸念も示すなど慎重姿勢を滲ます内容ではあった。

 確かに声明から追加緩和の文言が削除されることは予想されていたことでもあり、ドラギ総裁の慎重姿勢も頷ける話ではあるが、1月までのユーロドルであれば、恐らく振り切って上昇を加速させていたことであろう。次第にユーロドルの上向きのモメンタムが弱まっている印象を強く受けた光景ではあった。

 なお、ECB内には現在の月300億ユーロの資産購入を9月末で終了後も、10-12月に計300億ユーロの購入を想定しているといった観測報道も流れていた。単純計算では月100億ユーロのペースに落とすという。

 ユーロ買い、ドル売り、どちらのモメンタムが後退しているのかというと、恐らくドル売りのモメンタムが後退しているものと見る。株式市場は落ち着けばいずれ、インフレよりも景気の先行き期待を見に行くであろう。FRBの利上げ期待が高まる中、ドルは売られ過ぎといった見方が市場に広まれば、日本の投資家なら大歓迎の「ドル高・株高、そして円安」のシナリオも“しばらくは”あり得るのかもしれない。希望的観測ではあるが。

 さて来週だが、イベントとしては2月分の米消費者物価指数(CPI)の発表が注目であろう。食品とエネルギーを除いたコア指数で前年比1.8%、前月比で0.2%と前回と同水準の内容が見込まれている。世界的にインフレが上昇し出すのは春以降と見ているので、まだ、米国もインフレ上昇の兆候は確認できないものと見られる。それでも米利上げ期待を過度に刺激する内容にはならないものと見ている。

 来週はドル高のシナリオを想定したい。ドル円は踏ん張り処だが、引き続きリバウンドを期待したい。想定レンジは105.50~108.50円を想定。スタンスは「中立」で変えず。

()は前週
◆ドル円(USD/JPY) 
中期 下げトレンド継続
短期 ↓↓(↓↓↓)

◆ユーロ円(EUR/JPY)
中期 下げトレンド継続
短期 ↓↓↓(↓↓↓)

◆ポンド円(GBP/JPY)
中期 下げトレンド継続
短期 ↓↓↓(↓↓↓)

◆豪ドル円(AUD/JPY)
中期 下げトレンド継続
短期 ↓↓(↓↓↓)

◆ユーロドル(EUR/USD)
中期 中立継続
短期 →(↓↓)

◆ポンドドル(GBP/USD)
中期 中立継続
短期 ↓↓(↓↓)

minkabu PRESS編集部 野沢卓美

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