ドル円はNY時間に入っても107円台半ばと本日安値圏での推移が続いている。きょうの為替市場はドル安が優勢となっており、ドル円を圧迫している。ただ、ドル安を誘発する直接的な材料は特に見当たらず、様々な要因が重なっている可能性もありそうだ。
一つは米株式市場が次第に落ち着き始めていることが挙げられる。まだ、完全に安定した言うにはほど遠いが、先週の急落からはだいぶ落ち着いて来ているようだ。先週の株急落時の為替市場の反応はドル高だったことから、その巻き返しが出ているのかもしれない。
二つ目は長期的な米財政赤字への懸念。前日にトランプ大統領が予算教書を公表したが、大型減税や国防費、公共事業の拡大で、財政赤字は9840億ドルと、7年ぶりの水準への悪化が見込まれている。これには見方が二分してり、成長が相殺するとの指摘もある一方で、やはり懸念はあるようだ。それがきょうのドル売りに繋がっているとの見方もあるようだ。
そのほか、明日の米消費者物価指数(CPI)の発表もあるのかもしれない。今月発表の米雇用統計で平均時給が予想以上の伸びを示して以降市場では、本格的にインフレ警戒が高まっている。米株の急落に端を発した世界同時株安も、それが要因の一つとも見られている。今回のCPIは1月段階の数字でまだ、インフレの兆候を示すような結果にはならないと見られている。その場合、米雇用統計以降のドル高に調整が入るとの警戒感もあるのかもしれない。
USD/JPY 107.48 EUR/USD 1.2354
minkabu PRESS編集部 野沢卓美