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株式会社ミンカブ・ジ・インフォノイド

とれんど捕物帳 米減税への期待感は思ったほどなさそうか

配信日時
2017年12月9日(土)09:10:00
掲載日時
2017年12月9日(土)09:20:00

 今週もドル買い戻しが優勢となりドル円は113円台を回復している。米税制改革法案の年内成立への期待などが材料として挙げられているが、実際は年末に向けたファンド勢などのドルショートの巻き戻しが続いているためと思われる。そのため本格的なドル買いとの見方は少ない。今週の米10年債利回りは、先週末に上院が税制改革法案を可決したことで週初には上昇したものの、その後は下げが続きイールドカーブもフラット化が進んだ。それにもかかわらず、ドルは堅調な値動きを維持している点からもポジション調整が中心であることが推測される。

 ドル円はトランプ大統領からのノイズや株式市場の調整もあって112円ちょうど付近まで売られる場面も見られたが、しっかりとした推移となった。トランプ大統領からは「エルサレムはイスラエルの首都と認識」との言及がアジア時間に伝わり日経平均は急落する局面があったが、ユダヤに関する事柄のためかもしれないが、米金融市場は東京の反応に比べて非常に冷静で、中東情勢悪化への懸念には繋がっていないようだ。ここで再三述べているが、トランプ大統領からのノイズは“常にそこにあるリスク”と、今後も認識して置くべきなのであろう。

 市場では米税制改革法案の効果を精査する動きも出ている。法人税減税はもちろんのこと、為替市場では米企業が保有している海外資産を本国に回帰する場合の1回限りの優遇税制(リパトリ減税)についても気になるところであろう。一部からは長期的に効果は限定的と懐疑的な見方も出ている。短期的には景気への効果が期待できるが、向こう10年のスパンでは多くても年0.1%ポイント程度のGDP押し上げに留まるとの指摘も聞かれた。減税と同時に歳入の減少によって財政赤字も膨らみ、それが景気への足かせとなると見ているようだ。

 また、法人税の実効税率は数パーセントしか下がらず、景気への影響は限定的との指摘も聞かれた。マクロ経済の専門家の間ではさほど期待感は高まっていないのかもしれない。

 ちなみにトランプ大統領は、「高い消費者信頼感や堅調な雇用創出、減税が実現すれば米成長率が14年ぶりの高水準もあり得る」と発言。閣僚らに、「4%、5%、さらに6%に届かない理由は見当たらない」と述べていたという。個人的な感想を言えば、「中国共産党でもあるまいし!」と一言つけ加えて置きたい。

 そして、リパトリ減税だが、米上院案では流動性資産については14.5%、非流動性資産については7.5%となっている。一方、下院案ではそれぞれ14%、7%となっている。いずれの税率で決まるかは未知数だが、そう大差はない。問題は3.0兆ドルから3.5兆ドルとも言われている企業の海外資産のうち、現金および現金相応資産に関しては1.5兆ドル程度とも言われている。

 ただし、ドル以外で保有しているものはそのうちの10%程度で、ドル買い需要は多く見積もっても1500億ドル程度。ドル買い需要は限定的との指摘も出ている。ただ一方で、米国への還流により海外の金融機関のドル資金が減ることから手当ての必要があるとの指摘もある。

 最後にポンドについて振れ置きたい。英国とEUの離脱交渉を巡って一喜一憂の展開が続いていたが、ようやく週末に合意に漕ぎ着けている。難関となっていたアイルランドの国境問題も厳格な国境を設けないことで合意。負担金に関しては具体的な金額は示されなかったが、500億ユーロをやや下回る水準で決着しそうだ。ただ、ポンドは材料出尽くし感からの売りの反応となった。あくまで第1フェーズが終了しただけで、本番は第2フェーズの通商交渉だ。当局者からは、交渉は第1フェーズ以上に時間がかかる可能性も指摘されており、果たして交渉期限の2019年3月末までに終了するのか、市場は不透明感を強めている。

 さて来週だが、FOMCやECB理事会が予定されている。FOMCはイエレン議長の会見のほか、経済見通しやFOMCメンバーの金利見通しも公表される予定。政策金利は0.25%の引き上げがほぼ確実視されている。ただ、市場は完全に織り込んでいる状況で、そのこと自体はサプライズとはならないであろう。やはり注目はFOMCメンバーの金利見通し(ドット・プロット)ということになりそうだ。前回9月は来年は3回の利上げを予想していたが、今回も変わらないと考えている。一部には4回の利上げといった強気な見方も出ているようだが、インフレが上昇軌道に戻る兆候が確認できるまでは慎重であろう。減税の効果と予想される財政赤字拡大の影響も見極める必要があろう。現時点では据え置く判断になるのではと見ている。

 一方、ECB理事会だが、スタッフ見通しを注目したい。7-9月期のユーロ圏GDPは前期比0.6%と高い成長となり、景気回復の兆候を鮮明にしている。9月時点から成長見通しを上方修正してくる可能性もありそだ。また、インフレについても原油高でエネルギー価格が上昇しており、こちらも上方修正の可能性もありそうだ。ただ、来年9月まで延長した資産購入については変更はないであろう。必要なら量的緩和を延長の言及も残す可能性も高そうだ。

 ドル円の想定レンジだが、リバウンド相場になっているものの、正直あまり強気には見ていない。FOMCやECBの反応次第だが、来週はリバウンド相場の一服も想定される。レンジは111.50~114.50を想定し、スタンスは中立を継続する。

()は前週
◆ドル円(USD/JPY) 
中期 下げトレンド継続
短期 ↑↑(→)

◆ユーロ円(EUR/JPY)
中期 中立継続
短期 ↑↑(↑↑)

◆ポンド円(GBP/JPY)
中期 中立継続
短期 ↑↑↑(↑↑)

◆豪ドル円(AUD/JPY)
中期 下げトレンド継続
短期 →(→)

◆ユーロドル(EUR/USD)
中期 上げトレンド継続
短期 ↓↓(↓↓)

◆ポンドドル(GBP/USD)
中期 上げトレンド継続
短期 ↑↑↑(↑↑)

minkabu PRESS編集部 野沢卓美

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