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とれんど捕物帳 ドルのみならず、ユーロも気掛かり

配信日時
2017年10月14日(土)09:28:00
掲載日時
2017年10月14日(土)09:38:00

 今週はドル売り優勢の展開が続き、ドル円の週足は5週間ぶりの陰線となった。週足の場合、陽線が連続で続いたあとの陰線ということで、来週以降やや気掛かりな展開ではある。

 警戒されていた北朝鮮のミサイル発射もなく雰囲気は落ち着き、株価も最高値更新が続いていたものの、ドルは軟調な地合いが続いた。金曜日の米消費者物価指数(CPI)以外は特にドル売りを誘発するような強い材料はなかったようにも思われるが、米国債利回りの下げが続いたことからドルも追随したようだ。

 その米CPIだが、コア指数で前年比1.7%と予想の1.8%を下回り、5ヵ月連続で1.7%が続いている。ハリケーンの影響がどの程度出ていたかは未知数だが、恐らく物価自体への影響はさほど大きくはなかっただろう。予想通り1.8%だったら面白い展開となっていたのであろうが、残念な結果となってしまった。この7ヵ月で6回予想を下回っている。市場も利上げ期待を若干下げたようだが、依然として12月の利上げ期待はほぼ確実視しているようだ。

 今週はFOMC議事録が発表になっていた。これまでも度々述べてきたが、FRBにとって現在はあくまでも正常化の範囲であり、インフレが多少弱くても、雇用や生産、消費など他の指標が回復傾向を示していれば、利上げを続けたがっている様子が垣間見られた。CPIならば1.5~2.0%の間に収まっていれば、利上げは来年以降も続くもの見ている。

 今回のCPIを見ても、雇用改善→賃金上昇→インフレの構図が、リーマンショック以前よりも感応度が鈍くなっているのであろう。世界的な傾向のようだが背景には、IT進展やグローバリゼーション、人口動態(高齢化)など様々挙げられているが、FOMCメンバーが“ミステリー”と指摘しているように、わからないというのが正直なところであろう。今年に入ってのインフレ鈍化が一時的要因なのか、それとも構造的要因なのかといった疑問が市場には高まっている。今回のCPIを見た限りでは、構造的要因との見方がなお優勢のようだ。

 最近の為替相場は昔とは異なり、短期金利よりもむしろ、長期金利の各国間格差で動く傾向が強い。いつからそうなったのかはわからないが、低金利の影響もあり、マネーのボーダレス化が一層進んだためであろう。中央銀行の政策金利の差配は短期金利により影響する一方で、インフレ期待は長期金利により影響する傾向にある。そのため、米10年債利回りの下げがドルを圧迫しているものと見られている。

 さて来週だが、ユーロの動向が少し気掛かりではある。依然として底堅さは堅持しているものの、以前のような力強さはなく金曜日も、米CPIを受けてのドル安・ユーロ高が後半になって失速している。

 一つはカタルーニャ情勢がなお不透明だという点があげられるであろう。スペイン中央政府がここにきて強硬になっている。スペインのラホイ首相はプッチデモン州首相が独立宣言をしたのかどうか明確にするよう求めている。追い込まれているのであろうか、確かにプッチデモン州首相の演説及び行動は紛らわしかった。ラホイ首相は来週月曜日の16日までにそれを明確するよう求めていると同時に、仮に独立宣言をした場合、19日までに宣言を撤回しなければ憲法に基づいて自治権を停止するなどの強行措置に踏み切ると警告している。逃げ場ぐらい作ってやれよと言いたくなるが、波乱がないとは言い切れない。

 また、翌々週の26日に理事会を控えたECBの動向も注目であろう。市場は来年以降の出口戦略が打ち出されることをほぼ確実視している。ただ、その具体策に関しては期待以上に慎重な内容になるのではとの見方も出ている。

 金曜日の東京時間に、ECBは資産購入を「現在の月600億ユーロから300億ユーロに購入ペースを縮小させ、少なくとも9ヵ月間は続けることを検討」といった観測報道が、当局者の話として流れていた。

 これまでのコンセンサスではまず、400億ユーロに購入ペースを縮小し、3ヵ月ごとなど随時見直すという予想が多かったように思われる。それに比べれば、購入額は想定以上に減るものの、期間は予想以上に長く、その期間も特定させることによって慎重姿勢を市場にアピールするといった狙いのようだ。ECBもユーロ高はもちろんのこと、低インフレが気掛かりなのでろあう。
 現段階では最終的にどうなるか未知数な中、来週以降、ECBも様々な策をリークし、反応を見てくるかもしれない。いずれにしろユーロにとっては圧迫要因になる可能性は否めない。

 あと、FRB議長の人選も注目となる。先週に述べた通り、イエレン議長、パウエルFRB理事、ウォーシュ元FRB理事、テーラー教授、コーンNEC委員長のうちの1人になりそうだ。そのなかでも、パウエル氏とウォーシュ氏が有力候補になりつつある。

 パウエル氏ならばドル安、ウォーシュ氏ならばドル高といった構図を市場は描いているようだが、過去の事例を見ても、FRB議長の後退で突然、政策変更が起こる可能性は小さいという点は指摘して置きたい。

 先週も言及したとおり、個人的にはパウエルでベットしている。それに関しては、「もし、外れたらトランプのせいだ!」ということで問題はないであろう?

 最後にドル円の想定レンジだが、200日線を中心にして110.25~113.25と実につまらない予想を立てておきたい。スタンスは中立。

()は前週
◆ドル円(USD/JPY) 
中期 上げトレンド継続
短期 →(↑)

◆ユーロ円(EUR/JPY)
中期 上げトレンド継続
短期 →(↓)

◆ポンド円(GBP/JPY)
中期 上げトレンド継続
短期 ↓↓(↓)

◆豪ドル円(AUD/JPY)
中期 上から中立へトレンド変化
短期 ↓↓(↓↓)

◆ユーロドル(EUR/USD)
中期 下げトレンド継続
短期 ↑(↓↓↓)

◆ポンドドル(GBP/USD)
中期 上から中立へトレンド変化
短期 ↓↓↓(↓↓↓)

minkabu PRESS編集部 野沢卓美

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