FX外国為替情報のKlug(クルーク)
為替、海外投資でハイリターンを得るためのニュース、レポート、コラムを掲載

とれんど捕物帳 トランプリスク後退もドル円の戻りは鈍いか

配信日時
2017年5月20日(土)09:35:00
掲載日時
2017年5月20日(土)09:45:00

 仏大統領選も無難に通過し、市場の意識もファンダメンタルズに戻りかけていた矢先に、トランプ大統領がまた、やらかしてくれた。機密情報の漏洩やフリン前大統領補佐官のロシア疑惑を巡るコミーFBI長官の更迭などトランプ大統領の一連のロシア・スキャンダルで、週前半の市場はリスク回避の雰囲気が強まった。

 ドル円も売り浴びせられ、一時110円台前半まで急落している。今回のスキャンダルで大統領の弾劾も取り沙汰されており、市場は大型減税や規制緩和など待ち望んでいる経済政策への不安感が強まった。今回の騒動は当面続きそうで、米司法省は大統領選へのロシア関与疑惑をめぐる捜査について、特別検察官にミュラー元FBI長官を任命した。

 ただ、市場は深追いせず直ぐに正気を取り戻している。過去の弾劾が取り沙汰されたスキャンダルにはニクソン大統領の「ウォーター・ゲート事件」や、クリントン大統領の不倫疑惑「モニカ事件」などがある。ニクソン大統領は途中で辞任したので、弾劾裁判までは行かなかったが、クリントン大統領は弾劾裁判まで行ったものの、有罪判決にはならなかった。

 いずれも事件発覚から弾劾までとなると長期に及び、ウォーター・ゲート事件で1年半、モニカ事件も噂が浮上してから1年以上かかっている。弾劾には3分の2の票が必要でそれ自体のハードルも高い。市場も一旦、臭い物に蓋をしたようだ。週末には選挙キャンペーンとロシアとの間の関与を捜査している捜査当局が、ホワイトハウスのトランプ大統領の側近が容疑者として監視対象になったとの報道も伝わっている。

 来週以降、この問題が発展するかどうか注目だが、その場合、”トガケのしっぽ切り・ファイヤー“を発動することになるのであろう。表向き辞任だが。いずれにしろ大統領まで辿り着くのは時間もかかり、ハードルも高い。一部には市場も直ぐに興味を無くすとの見方も出ている。

 また、冷静に考えれば万一、トランプ大統領が弾劾されたとしても、米国では選挙はなく、ペンス副大統領が大統領に昇格するだけだ。大型減税や規制緩和については、共和党自体の政策の面も大きく、評判も良いことから、それほど変わらないとは思われる。むしろ、ペンス副大統領待望論も少なくないようだ。

 更に今回の件でトランプ大統領も支持率が低下しており、再び40%を割り込んでいる。来年に中間選挙を控えており、ここで汚名返上のため、より積極的に経済政策に落ち込む期待もある。できればミサイルは勘弁して欲しい。

 週後半になるとトランプ疑惑へのリスクも一服していたが、ドル円の上値は重い。円安ではあったものの、同時にドル安でもあった。先週の消費者物価(CPI)や小売り、住宅など直近の指標が予想を下回っていたこともあるが、最大の要因はユーロ買いであろう。ドルは相対的に売りに回っていた印象だ。

 仏大統領選も無難に通過し、メルケル独首相も秋の総選挙に向けて好調なことから、政治リスクが後退している。更にここにきてユーロ圏の指標が好調なことから、ECBの出口戦略への期待がユーロを押し上げているようだ。

 先週も述べたが、米通貨先物市場で、IMM投機筋のユーロの建玉が買い越しに転じている。一旦買い越しに転じるとそれがしばらく続き、初期の段階では買い残を積み上げる傾向があることから、それと伴にユーロ相場も上昇する。一定程度積み上がると、ユーロの上昇も一服するが。

 早速、市場の一部ではユーロドルで1.20の声が出始めている。ついこの間までパリティ(1.00)と言っていた気もしたが。常に風見鶏が無難であり、いつもことではある。もっとも、信頼感は無くなりそうだが。

 個人的にはユーロの買いは続かないと見ている。冷静に考えれば、現段階で囁かれているECBの出口戦略のスケジュールは6月にガイダンスを変更し、年内に具体的な道筋を示す。実際に量的緩和の拡大ペース縮小は来年以降だ。その間にもFRBは利上げを着々と実施し、バランスシート縮小開始の具体的なサインも打ち出してくると見ている。いずれ、その格差を市場も再認識するものと考えている。もっとも、トランプ大統領がやらかさなければの話ではあるが。

 さて来週だが、イベントとしてはFOMC議事録やOPEC総会などがあり、米経済指標も住宅関連やGDP改定値などが発表される。週末にはG7首脳会議がイタリアのタオルミーナで行われる。その前にトランプ大統領がサウジを訪問する。20日から2日間の予定。早速、不穏な動きもあるのか、イエメンの武装集団がサウジの首都リヤドに向けてミサイルを発射したとのニュースが伝わっていた。相変わらず中東はきな臭い。ただ、地政学リスクが再び台頭するとも思われず、あるとすれば専ら、トランプリスクであろう。

 しかし、今週の動きを見ると、それも無いものと思われる。ユーロも急ピッチで上昇したことから多少、戻りも入る一方、ドル円も買い戻しが入ることを期待する。ただ、その場合でもまだ、本格的な戻りにはならないものと思われる。

 先週は当たらなかった予想レンジだが、110.00~112.50を一応想定する。スタンスは中立。

()は前週
◆ドル円(USD/JPY) 
中期 上げトレンド継続
短期 ↓↓(↑↑↑)

◆ユーロ円(EUR/JPY)
中期 上げトレンド継続
短期 ↑(↑↑↑)

◆ポンド円(GBP/JPY)
中期 上げトレンド継続
短期 ↓(↑↑↑)

◆豪ドル円(AUD/JPY)
中期 中立継続
短期 ↓↓(↑↑↑)

◆ユーロドル(EUR/USD)
中期 上げトレンド継続
短期 ↑↑↑(→)

◆ポンドドル(GBP/USD)
中期 上げトレンド継続
短期 ↑↑(→)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
来週は配信をお休みさせて頂きます。次回は6月3日(土)の午前を予定しています。ご了承ください。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
(みんかぶ「Klug」 野沢卓美)

過去記事カレンダー

2017年1月2月3月4月5月6月7月8月9月   
2016年1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月
2015年1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月
2014年1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月
2013年1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月
2012年1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月
2011年1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月
2010年1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月
2009年1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月
2008年 2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月

メールマガジン

山岡和雅が毎日発行!
外国為替ディーラーの心の中

毎日の為替相場を、市場参加者の目を通して判り易く解説。為替ディーラーの本音は?【まぐまぐ殿堂入り】

バックナンバー

朝刊 ニューヨーク為替市場レポート
米国市場の動きを、朝一番に配信!! FX、外国為替、米国株、米国金利など、テレビやWEBサイトでは得られないニューヨーク金融市場情報のほか、アナリストの独自解説も配信します。

バックナンバー

powered byまぐまぐトップページへ

URL変更のお知らせ

KlugFXのURLはhttp://klug-fx.jpへ変更となります。お気に入りやブックマークなどに登録されているご利用者さまは、お手数ですが下記の新URLへの変更をお願いいたします。

http://klug-fx.jp