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とれんど捕物帳 市場は落ち着いてはいるが、あくまで自律反発の域

配信日時
2016年3月5日(土)09:50:00
掲載日時
2016年3月5日(土)10:00:00

【市場は落ち着いてはいるが、あくまで自律反発の域】

 今週から3月相場に入ったが、先週末のG20が効いたのかどうかは未知だが、予想通り市場も落ち着いてきている。 ただし、反応は想定とは逆で、欧州通貨の買い戻しが強まる展開となった。
 はっきり言って欧州通貨を買い戻す理由は何もないであろう。あえて言えば、ユーロ圏の小売売上高が3ヵ月連続で増加していたくらいで、エネルギー価格の下落と失業率低下、そして、商品の値下げが家計の購買意欲を高めているようだ。
 G20を少し振り返ってみたいが、声明では「金融・財政、構造政策などあらゆる手段を使うことで合意」「通貨安競争を回避することでも一致した」としている。市場の反応はいまひとつだったが、各国の事情を考慮すれば、出せる限界のラインではなかったかと思われる。市場では具体策が出なかったとの不評も聞こえていたが、そもそも求めるほうが間違っているようにも思える。
 その他、通貨安競争回避に関してだが、一見、人民元のことだけのようにも思われたが、デイセルブルム・ユーログループ議長は「正直に言って、日本についても討議され、競争的な通貨切り下げの状況に陥るのではないかとの多少の懸念があった」と発言していた。日本の政府当局はそのような討議に関しては否定していたが、恐らく何らかの形であったのだろう。
 正直言ってユーロ圏には言われたくはないが、日銀のサプライズ重視の政策決定行動が、差し込まれる隙を与えているのかもしれない。
 先週も言及したが、日銀の黒田総裁は円安を目的に政策を行っているわけではないとしているが、本当にそうであれば、サプライズを主体とした金融政策運営は必要ないはず。サプライズを起こしても為替市場や株式市場は感度良く反応するだろうが、金融機関の貸し出しや物価は上がらない。海外から見れば、円安を誘導しているように写っても致し方ないだろう。

 その他、原油の戻りが市場の落ち着きに大きく寄与しているように思われる。ロシアのエネルギー相が、増産凍結について、今月末に主要産油国15ヵ国以上で合意できるとの見通しを示していた。イランが入らなくても効果はあるとしている。産油国の行動が安心感を与えているようだが、こちらもあくまで増産凍結であって減産ではないことは承知して置く必要があろう。

 市場は落ち着いてはいるが、テクニカル的な自律反発の域は出ないように思われる。

週末には米雇用統計が発表になっていたが、非農業部門雇用者数(NFP)は24.2万人増と予想(19.5万人増)を大きく上回った。ただ、平均時給は前月比0.1%下落しており、前年比でも+2.2%と予想(+2.5%)を下回っている。更に製造業の雇用者数は1.6万人減と、こちらも予想(0.1万人減)を下回っていた。
 賃金の伸びの緩さや、製造業の低迷が米経済の足かせとして警戒される中、米雇用統計は、その警戒感を再確認できる内容ではある。悪くはないが、見た目ほど心強い内容とも思えない。

 なお、個人的な見解として、現時点での次の利上げ確率は3月が10%、6月以降を90%と前回と変わらず。恐らく3月のFOMCは、原油安や海外経済軟化が米経済に悪影響及ぼすか点検するのみになるものと見ている。

 さて来週だが、イベントとしては10日木曜日のECB理事会が最大のイベントとなろう。
 一部報道では、理事の間ではコンセンサスがまだ形成できていないと伝えていた。ドラギ総裁は追加緩和の意志を完璧に示しており、マイナス金利の拡大はほぼ確実視されている。銀行への影響を和らげるため、日銀が採用した階層構造方式も選択肢にあるとの見方も出ているようだ。
 いずれにしろ、マイナス金利の拡大はあるのであろう。
 ただ、量的緩和の拡大については見方が分かれており、拡大を見込む向きは全体の60%といったところのようだ。
 12月の緩和策は、市場に失望感を広め、従来よりも効果は薄かったとの分析も出ている。今回はその失態は繰り返さないようECBも注意を払っているものと思われる。
 木曜日までまだ時間もあることから、もう少し行方を確認したいが、量的緩和の拡大まで期待したいところではある。
 一部には債務危機時に実施した長期流動性供給オペ(LTRO)の拡大版を打ち出すとの指摘も出ていたが、その可能性はかなり未知数と思われる。

 想定レンジだが、ドル円は115円がターゲットと思われるが、なかなか上値は重い印象だ。日本企業の年度末に向けた売りも出ているものと思われるが、もう少し続きそうな気配もある。ECB理事会の反応次第のところもあるが、方向感が出ず、下を113.00、上を115.00のレンジ取引も想定したい。

 一方、ユーロドルだが、今週末に200日線が控える1.1050水準まで到達する瞬間もあった。ECB理事会を控えて前半は神経質な展開も予想されるが、200日線は強い上値抵抗として立ちはだかるものと思われる。
 量的緩和の拡大まで期待したいところもあることから、下向きを意識し、想定レンジとしては下を1.0800、上は一応1.1100を想定する。

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みんかぶ「Klug」 野沢卓美
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