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株式会社ミンカブ・ジ・インフォノイド

環境の変化を受け息を吹き返した金市場

 NY金は今月7日から10日にかけて上昇したが、その後は1250ドル前後での推移が続き、上値の重さを窺わせる足取りを見せたが、18日以降は足取りを強め、クリスマスの休場直前の24日に中心限月の期近2月限は、1270ドル台に達し、今年6月下旬以来の高値をつけた。

 今年に入ってからのニューヨーク金(期近)の値動きを振り返ると1302.4ドルで取引を開始した後も強い足取りを維持し、1月下旬から4月下旬までの約3か月に渡り、概ね1300~1365ドルのレンジ内での高下が続いた。

 年初は米国債の利回りの上昇が一服するに伴ってドル安が進行したことが買いを呼び、その後も欧州中央銀行(ECB)が金融政策を正常化するとの期待感を映したユーロ高・ドル安を手掛かりにした買いが金を支えていた。これも2017年12月の理事会において欧州中央銀行(ECB)が政策変更に向けた動きが見られたことで、金融緩和から引き締めへと政策の変更が発表されるのではないか、との観測が強まったことが背景となっていた。

 しかし3月以降は米国が保護主義的な政策を展開しこれに中国が対抗する姿勢を見せたことで米中貿易摩擦に対する懸念が強まるなか、リスク回避の動きに伴う資金引き上げの動きが金市場でも見られ、6月に金価格は下押されるに至った。

 なお、米中貿易摩擦は3月23日には鉄鋼、アルミ製品に追加関税を発動したことに端を発しているが、中国商務省がこれに対する報復措置を発表したほか、6月には米国が中国から輸入される製品1102品目に対する7月6日からの500億ドル規模の追加関税を発表し、中国側も対抗措置を発表。8月23日には第2弾の追加関税を米中双方が発動し、9月24日には第3弾となる追加関税措置を発表した。

 一連の流れを受けて米中貿易摩擦に対する懸念が強まるなかで金価格は8月半ばにかけて一段安となり、8月半ばにはトランプ大統領によるトルコへの制裁強化に伴うトルコの通貨危機がリスク回避の動きを活発化させ、8月16日には2017年1月以来の安値となる1161.4ドルまで下落した。

 この間の動きで注目されるのは、米中間の貿易摩擦に対する懸念の高まり、トランプ大統領によるトルコへの経済制裁とこれに伴うトルコの通貨の下落、といった事態は安全な投資先としての金需要を高めてもおかしくない要因だったにもかかわらず、金市場ではこれらの要因に対する反応が見られなかったばかりか、かえって金市場から資金が流出する動きが活発化した、という点だ。

 これは、この時点では米国での追加利上げ観測が根強く、追加利上げはドル高、金利の上昇をもたらすとして米ドル、債券市場へと資金の流入が促される一方、金利を産まない金に対する需要は低迷していたことが背景となっている。
 なかでもドルに対する買い意欲には根強さが見られ、4月から8月半ばにかけて下落した金とは相対的に力強い足取りを見せた。この間の金とドルの相関係数は-0.85となっており、強い逆相関関係にあり、それだけドルに対する逃避買い需要が根強かったことを窺わせている。

 なお、この間の金に対する需要の弱さを示しているのは価格だけではない。金の安全な投資先としての需要を端的に示す指標として注目される金ETFの残高も金に対する需要交代の動きを示している。

 金ETFのうち最大規模を誇るSPDRの残高は、4月30日時点では871.2トンを記録していたが、上記のように安全な投資先としての金需要を高めてもおかしくない材料が浮上しながらもその規模は縮小傾向を維持し、8月16日には773.41トンまで縮小。

 その後も縮小の動きは止まらず10月9日に730.17トンまで縮小した後、ようやく増加に転じるに至っている。

 これを境にしてSPDR金ETF残高は増加傾向を維持しているが、これは米国での追加利上げの打ち止めまたは早期利上げ観測の強まりや、長期金利の上昇に対する懸念から株式市場の足取りが不安定化したことがきっかけとなっている。
 
 これまでの追加利上げの影響や、追加利上げを背景とした米国金融市場に対する人気の高まりが金利を押し上げ、これが米国の経済に悪影響を与えるとの懸念が金の持つ安全な投資先としての役割が再びスポットライトを浴びている。

 つまり、10月上旬までは米中貿易摩擦を始め、逃避買い需要を刺激してもおかしくない要因がいくつも発生していたにもかかわらず、追加利上げ観測が重石となるなか、利上げによって利益を享受できる可能性が高い米ドル、債券へと資金が流れていた。しかしながら、金利の上昇が米国経済に与える影響に対する懸念が浮上し、連邦公開市場委員会(FOMC)で示された中立金利の変更とこれに伴う誘導レンジの目標が中立金利に近づいたとの見解が示されたことから、ドル、債券市場から金市場へと資金が流入する先が変わっている。

 追加利上げに対する見方の変化が金に対する投資意欲の変化をもたらし、同時に米国の株式市場の不安定な動きや欧州、中国の弱気な経済指標も金に対する投資意欲を刺激する要因として金価格を支える要因として働いている。

 金の投資環境は今年10月上旬までとそれ以降とで変化しており、12月のFOMCで追加利上げが実施された結果、まだ不確定ながらも残りの追加利上げ回数の限界数は以前よりも見えてきている。

 米株式市場が堅調な足取りを見せると金も上げ一服感を強めているが、この動きが金の持つ安全な投資先としての役割に対する意識の強さを窺わせている。

 米中間では1月からの追加関税の発動に90日間の猶予期間を設け、貿易戦争も一時休戦となっている。歩み寄りを見せたかと思うと、カナダでは米司法省の要請を受けてファーウェイ幹部が逮捕されていることもあり、米中間が合意に至る道はスムーズではないと予想される。

 仮に米中間の通商問題が打開に向かう見通しが明確になり、これが金に対する安全な投資先としての投資意欲を弱めたとしても、今度は追加利上げの打ち止め観測が強まることになりそうで、これが金価格をサポートする要因になってくると予想される。

 注意すべきはドルの動向で、米国の経済が欧州、中国、そして日本に比して堅調な状態が続くようであれば、ドル高傾向が維持されることとなり、これが金価格を圧迫する要因になってきそうだ。

 とはいえ、追加利上げ回数の今後の見通しの変化、また追加利上げが実施されることで米経済に悪影響があるなどの見通しが強まるようであれば逃避買い需要が刺激されることになりそうで、金価格は引き続き底意の強い足取りを演じるものと予想される。

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平山順(ひらやま・じゅん)氏

中央大学法学部卒、英国留学後
(株)日本先物情報ネットワークに入社。現在主任研究員。
商品全般に通じ特に穀物市場を得意とし、テクニカル分析には定評がある。
1999年にシリーズ3(米国先物オプション外務員資格)に合格。

株式会社日本先物情報ネットワーク

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