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株式会社ミンカブ・ジ・インフォノイド

2019年も頭重い足取りを強いられそうな白金価格

 NY白金は11月上旬に価格が上昇して880ドルを試す水準まで上昇。その後は一時的に840ドル割れに対する抵抗を見せたものの、11月27日の取引で840ドルを割り込んだ後は下値を探り、今月4日にはとうとう800ドルを割り込んだ。

 その後、12月12日には一時的に浮上する場面を見せながらもすぐに売り直されており、14日以降は800ドルが上値抵抗になっての高下が続いている。

 白金価格は過去にはリーマンショックが起こった2008年2月からその年の7月半ばまでは2000ドル台で推移するなか、2200ドルを試す足取りも見せながらも、その3か月後にはリーマンショックの影響で800ドルを割り込む水準まで下落。

 ただ、それでも金融ショックを消化した後はじりじりと買い進まれて値位置を切り上げ、2011年に入ってからは1800ドルを上回る水準での推移となり、その後も若干水準を切り下げながらも、1200ドルを下値抵抗とする足取りが続いていた。

 この流れが明確に変化したのが2015年だ。2015年は世界の生産量のうちの7割近くを生産している南アフリカでストが発生していたにもかかわらず、地上在庫の存在に対する認識が高まるなか、鉱山生産量が減少しても地上在庫がその分を穴埋めし、十分な供給を確保できる可能性が高い、との見方が強まった年だった。

 供給に対する安心感の強まりは白金価格の上値を抑制する要因になり2015年年初は1300ドル近くで推移していた白金は7月上旬には1000ドル前後まで下押されていたが、この状況に拍車をかけたのが、独フォルクスワーゲン(VW)の排ガス不正だった。

 同社はディーゼル・エンジンを積んだ自動車約48万台に違法なソフトウエアを組み込み、これによって排ガス規制を免れていた、とされているが、これによって欧州ではディーゼル車離れの動きが加速化し、同時にディーゼル車の触媒用としての消費が最大の用途となっている白金需要減少観測が高まり、白金価格は下方への方向性を一段と強めるに至っている。

 今年5月以降は、米中間で通商問題が激化するに伴って米国、中国双方の経済情勢だけでなく、この米中貿易摩擦が世界経済に与える影響に対する懸念が強まったこと、欧州経済の見通し不透明感がいや気されるなか軟調で運ばれ、6月上旬に900ドルを割り込んだ後は、900ドルを試す場面も見られないほど低迷場面を強いられている。

 白金価格が下落する一方で、供給不足に対する警戒感が根強いパラジウムは確りとした足取りを演じており、その値開きはパラジウムの価格が白金の価格を380ドル前後上回るに至っている。前述のように白金価格が2200ドルに迫る動きを見せていた当時のパラジウム価格は一時的に600ドルに迫りながらも概ね450ドルで推移していたため、1750~1600ドル程度、白金が割高な状態にあった。

 それが需給面での変化も影響しパラジウムが380ドル程度割高な状態に転じているため、白金に割安感が強まり、実需や投資用としての需要が高まってもおかしくないとも見られる。しかしながら、それでも白金の需要が膨らまないのは、自動車用触媒としての需要の拡大を見込むのが難しいという事情による。

 というのも、欧州、中国といった主要地域での自動車触媒用としての白金需要の増加見通しが立たないからだ。

<自動車触媒用としての需要低迷が重石に>
 まず、欧州の場合、今年上半期の新車販売台数は前年比で27%の増加となるおよそ866万台を記録したものの、そのうち白金が触媒として使用されるディーゼル車の販売台数は前年比で17%減少したほか、シェアは2001年以降、最も低い水準である37%まで低下した。
 
 とはいえ、欧州の自動車販売が好調だったのも8月までで、9月1日から乗用車等国際調和排出ガス・燃費試験法(WLTP)が新たな燃費試験として導入されるなか、欧州の新車販売台数は9月以降、大幅に落ち込んでおり、9、10、11月と3カ月連続して前年の水準を割り込んでいる。また、これを受けて1月~11月間の累計も前年比で0.2%の減少となり、今年上半期は好調だった自動車需要が後半で大きく落ち込んでいる様子が伝えられている。

 また、一方の中国においても11月の新車販売台数は、前年同月を13.9%下回る254万7800台となったことに加え、1月~11月間の累計販売台数も前年同期比で1.7%減少した2541万9700台となっている。特に11月に大きな減少を記録したことで、今年に関しては中国の自動車販売台数の伸びはピークアウトした可能性も否めない。

 欧州、中国といった主要地域、国での新車販売台数の減少を受けて貴金属調査会社であるGFMSは、来年は新車販売台数がさらに落ち込む可能性がある、ことを指摘しているが、これは白金にとっては触媒用としての需要の減少傾向が続く可能性があることを意味することになる。

 実際、世界白金投資評議会(WPIC)は11月下旬に発表した四半期報告において、2019年度も白金は引き続き供給超過になるとの見通しを示している。WPICによると、2019年度の白金超過分は2018年度の50万5000オンスから減少するものの45万5000オンスが見込まれるという。
 
 なお、WPICは同時にパラジウムとの値開きの拡大を受けて割安感のある白金の需要が拡大する可能性がある、との見方を示している。しかしながら、中国、欧州といった主要地域での新車販売台数、特にディーゼル車販売台数が伸びが見込めない限り、白金の需要増加を期待するのは難しい。

 ただ、中国の経済指標は弱気な内容が続いているうえ、欧州では新たに乗用車等国際調和排出ガス・燃費試験法が導入されたことで、各メーカーの対応の遅れ、この導入前の駆け込み需要を受けて当面の需要は消化されたとの見方もあり、欧州での自動車需要の大幅な伸びは見込み辛い。

 米中の通商問題はいったんは棚上げされた形となっているが、まだ着地点は不明確であり、世界経済への懸念は引き続きくすぶるリスクが残されていることも白金市場にとってのマイナス要因であり、白金価格が上昇するためにはまずは経済の先行きに対する明るい見通しが必要だろう。
 
 パラジウムの2019年の需給に関しスタンダードチャーター社は75万6000オンスの供給不足になるとの見通しを示している。パラジウムは白金の副産物であり、急激な供給の拡大が難しいだけに、価格が高騰しているからといってこれがすぐに需給の改善につながるわけではなく、どの程度の供給不足に陥るか、という点に関しては不透明感が残る。しかしながら、12月に入ってからパラジウム1か月もののリースレートは急上昇しており、12月19日時点では36.48%と供給ひっ迫の度合いが強いことを示している。

 2019年も白金は供給超過が見込まれているのに対し、パラジウムは供給不足が予測されるなど、白金とパラジウムの需給の明暗は分かれる可能性が指摘されている。需給構造の変化に伴い白金とパラジウムの価格差が逆転して久しいが、2019年も、値開きに多少の変動が見られるにしても白金がパラジウムに対して大幅に割安な状態が続く可能性が出てきている。

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平山順(ひらやま・じゅん)氏

中央大学法学部卒、英国留学後
(株)日本先物情報ネットワークに入社。現在主任研究員。
商品全般に通じ特に穀物市場を得意とし、テクニカル分析には定評がある。
1999年にシリーズ3(米国先物オプション外務員資格)に合格。

株式会社日本先物情報ネットワーク

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