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株式会社ミンカブ・ジ・インフォノイド

停滞するコーン価格を刺激しそうな南アフリカの生育事情

 シカゴコーン市場では上値の重い足取りが続いている。今月3日の取引では、同月1日に行われた米中首脳会議において来年1月からの追加関税の発動に90日の猶予期間を設けることで合意したことを受け、米中間の貿易摩擦、米国、中国の両国のみならず、世界経済に与える影響に対する懸念が後退したことで値位置を切り上げた。

 しかし、それ以降は中心限月の3月限は概ね390セントに向かうほどの上伸力を示さず、まだ上値が重い足取りが続いている。今週に入ってからも、米中間では中国の劉鶴副首相がムニューシン米財務長官やライトハイザー米通商代表部 (USTR)代表との間で電話協議が行われているとの報られたことが大豆市場での買いを刺激したうえ、これに続いてトランプ大統領が「中国が膨大な量の大豆を購入している」と語ったことを受けて大豆市場では中心限月の1月限が7月31日以来の高値まで上昇する場面が見られたが、一方のコーン市場では中心限月が僅か0.50セントの上げ幅を記録するにとどまった。

 コーン市場が停滞しているのは、需給相場期も半ばを迎えるなか、12月の米農務省(USDA)需給報告で18/19年度の米国の需給見通しがほぼ確定されたことが背景となっている。

 また、世界第2、3位の生産および輸出国であるアルゼンチン、ブラジルの生育が現時点では順調と伝えられており、売り、買いの手掛かりに欠けることも動意を薄めている。

 なお、ブラジルの場合は、近年、サフリーニャコーンと呼ばれ、大豆の収穫後に作付される二毛作コーンの生産量が全体の60~70%を占めるに至っている。そのため、現在生育期を迎えているコーンに対する関心が薄らいでいることも、コーン市場の動意を和らげる一因となっている。

 ただ、全く材料が見当たらないわけではない。今年はエルニーニョ現象発生の可能性が伝えられているからだ。現時点ではアルゼンチン、ブラジルではエルニーニョ現象による天候不良に関する報道は伝わっていない。しかし南アフリカでは天候不良に伴う生育懸念が浮上しつつある。

<南アフリカのコーン産地西部は乾燥続く>
 南アフリカの調査機関であるグレイン・サウス・アフリカ(GSA)が伝えたところによると、乾燥した天候が続いている影響で、同国の生産量のうち60%の割合を占める西部地域の作付進捗率は5%程度にとどまっているもよう。

 同地での作付期は11月半ば~12月半ばが最適な期間とされており、灌漑が行われている地域での作付進行は伝えられているものの、前述の作付進捗率が示すように大方のコーンはその最適な作付け時期を逃す可能性が高い。

 一方の東部地域では10月半ば~11月半ばにかけて作付が行われており、一部地域では乾燥が見られるものの、大部分の地域では問題なく作付は終了していると伝えられているため、乾燥問題は西部と東部の一部地域に限られているようだ。

 しかしながら、南アフリカは米国、ブラジル、アルゼンチンに次ぐ世界第4位のコーン輸出国だ。その輸出量自体は18/19年度は190万トンが見込まれており、米国の6233万トン、ブラジルの2900万トン、アルゼンチンの2800万トン、に比べると一けたの違いがあり、同国の生産量が干ばつによる影響を受けたとしても、世界需給という面で見ると大きな影響はないと見られる。

 ただ、留意したいのが、この干ばつが南アフリカだけではなく南半球全域に影響を及ぶ可能性があるという点だ。同国のこの干ばつの原因はエル・ニーニョの発生が原因とされているが、気象庁が10日に発表したところによると、現時点でもエルニーニョ現象が続いていると見られることに加え、今後も来春にかけてエルニーニョ現象が続く可能性が高いとされている。ちなみに気象庁によると、その確率は80%となっている。

<エルニーニョ現象が南半球全体に影響する可能性も>
 エルニーニョ発生時の12月から2月にかけての時期、南半球では高温少雨となる傾向が強まるが、中でも南アフリカは高温少雨に見舞われる可能性が高まる傾向がある。

 さらに、ブラジルでも南部の一部地域以外で高温傾向が強まるほか、アルゼンチン北部でも高温傾向となる可能性が高まるほか、小麦産地を抱えるオーストラリア西部では乾燥傾向が高まることが予想される。

 そのため、現時点では南アフリカでの乾燥とこれに伴う同国のコーン作付の大幅な遅延という形で天候不良が報告されているが、今後もエルニーニョ現象が続くと予想されるなかで、高温、少雨、そして高温少雨、という天候がコーン、小麦の主要産地を含む南半球全域に広がる可能性もある。

 実際、ブラジルでは中部、南部では12月に入ってから乾燥した天気が続いていることが伝えられている。乾燥が続いている地域にはマトグロッソ州、パラナ州、マトグロッソドスル州、リオグランデドスル州、といったブラジルにとって重要な産地が含まれている。

 特にパラナ、マトグロッソの同州では長い地域では約1か月に渡ってまとまった降雨が確認されていない地域もある様子だが、今週に入ってから気温は平年を大幅に上回り33~37℃前後に達したほか、今後も高温が続く見通しとなっている

。これにまとまった降雨のない状態が続くようであれば、穀物への影響に対する懸念が次第に高まることになるだろう。

 なお、国家食糧供給公社(CONAB)は12月の見通しで18/19年度のブラジルのコーン生産量予測を11月時点から70万トン引き上げた9110万トンとした。これは前年度の生産量1030万トンから約12.8%増加したものとなる。

 ただ、ブラジルでは15/16年度のコーン生産量は当初は8150万トンが見込まれていながらも、高温干ばつの影響でサフリーニャコーンの生産量が大幅に落ち込んだ影響で、最終的には6700万トンにとどまった経験がある。現時点では9000万トンを超える増産が見込まれるブラジルの生産量だが、エルニーニョ現象が影響すれば大幅な減産を余儀なくされ、これが世界需給、そして米国のコーン輸出にも影響を与える可能性がある。

 現在は停滞が続き、今後も当面は上値の重い足取りが続くと予想されるシカゴコーンだが、高温および少雨といった現象が今後も南半球全体に広がっていくリスクを考慮すると、現在は南アフリカという世界第4位の生産国で見られる高温乾燥が価格を将来的に押し上げる可能性を秘めた要因にもなり得る。

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平山順(ひらやま・じゅん)氏

中央大学法学部卒、英国留学後
(株)日本先物情報ネットワークに入社。現在主任研究員。
商品全般に通じ特に穀物市場を得意とし、テクニカル分析には定評がある。
1999年にシリーズ3(米国先物オプション外務員資格)に合格。

株式会社日本先物情報ネットワーク

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