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米需給報告がもたらしたサプライズ

 12日に米農務省(USDA)が需給報告を発表した。9月の需給報告はコーン、大豆などの生育が終盤を迎えていることでその年に収穫される穀物の生産量がほぼ確定されるため、需給相場期入りを控えるなか、需給の見通しを探る上で重要な報告となる。

 今回の場合、8月10日に発表された需給報告に加え、8月後半に実施されたクロップツアーで豊作見通しが確定的となり、既に弱材料は織り込んだとの見方が強かった。

 8月以降のコーンの値動きを振り返ると、大きく分けて2段階で値を落としている。

 最初が単収が引き上げられた前回、8月10日時点の需給報告直後だ。その時にはそれまでサポートとなっていた380セントを割り込んだ後に366.00セントまで値を落とした。

 その後は一時的な盛返しを見せたが、8月後半にはクロップツアーの報告で豊作が確定的との見方が強まったから再び値を追としており855セント前後に達している。

 ただ、このように2段階に渡って大きく値を落としたことで豊作見通しは強まったとの見方が浸透するなか8月末には値位置を切り上げ、9月に入ってからは概ね365セントを前後する足取りが続いていた。

 シカゴ市場ではこの膠着状態に伴って出来高も減少し、天候相場期から需要相場期入りへとシフトするなかで見られる様子見の状態に陥っており、今後も同様の足取りが続くと予想された。

<コーン生産は弱気のサプライズ>
 それがここに来て発表された需給報告で8月の需給報告で大幅な引き上げとなったコーンの単収がさらに上方修正された。

 今回の報告では単収(エーカー当たり)は前月時点の予測178.4Buに対し181.3Buとされており、過去最高とされた前月をさらに更新した。

 この単収予測が衝撃的となるのは、今期のように生育期を通して概ね良好な作柄が維持できれば、今後のエーカー当たりの単収は安定して180Buを超えてくる可能性があることを示すと同時に、2017/18年度の経験からも夏場に熱波などに見舞われても、過去に経験したような大幅な減産となる可能性が低下していることを示唆しているからだ。

 それにもかかわらず、コーンの場合は輸出が安定しているため、最終的な期末在庫率は前月の11.2%から11.7%に引き上げられるにとどまった。豊作であっても需給は若干の緩みがもたらされる程度、とされたことは、コーン市場の下げ余地は限定される可能性が高いことを示していると言えるだろう。

<注目される米国と中国の需給関係>
 その一方で同様にイールドが引き上げられたのが大豆だ。大豆の場合、18/19年度のエーカー当たりの単収は前回発表時点の51.6Buから52.8Buに引き上げられ、過去最高水準に達した。

 これに伴い生産量も過去最大となる46億9300万Buに達しているが、米中貿易摩擦の影響で輸出が前年度の21億3000万Buを下回る20億6000万Buに引き下げられたままとなった結果、米国の期末在庫率は19.8%と1986年以来の水準に達する見通しとなった。

 ただ、このように米国の大豆輸出が伸び悩みが予想されるにもかかわらず米国最大の仕向け先である中国の国内需要は前月予測から下方修正されたとはいえ、前年度の1億600万トンを上回る1億1060万トンとの見通しが示されたうえ、輸入量も同年度と同量の9400万トンと予測されている。

 米中貿易摩擦により米国の輸出が前年度を下回りながらも中国が前年度と同量の輸入量を維持できるとの見方は、中国の米国外からの輸入量の増加が見込まれることを意味している。

 米国の大手紙は、米国側から提案していた米中間の通商問題を巡る協議が新たに開催されるとの見通しを伝えていることが大豆市場にとって買いを支援する材料となり、過去最大の生産量見通しにもかかわらず12日のシカゴ大豆は上昇した。

 通商問題という障壁が取り払われればUSDAも需給報告における米国の大豆輸出見通しを上方修正してくる可能性があり、市場にとっても強材料になり得るだろう。

 ただ、通商問題が台頭したことによって中国は米国以外からも十分に大豆を調達出来ることが示されたことは、これから先の大豆市場にとっては重石になってくる可能性もあるのではないだろうか。

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平山順(ひらやま・じゅん)氏

中央大学法学部卒、英国留学後
(株)日本先物情報ネットワークに入社。現在主任研究員。
商品全般に通じ特に穀物市場を得意とし、テクニカル分析には定評がある。
1999年にシリーズ3(米国先物オプション外務員資格)に合格。

株式会社日本先物情報ネットワーク

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