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米農務省(USDA)需給報告の注目点とは

<18/19年度の米コーンイールドは過去最高へ>
 現地10日に米農務省(USDA)が最新の需給報告を発表した。USDAは7月の需給報告まで18/19年度の米国コーンイールドを据え置いていたものの、週間作物進度報告の発表が開始されて以来、米コーンベルトの作柄は良以上が70%を占める状態が続いていたため、8月の発表ではイールドが引き上げられることが見込まれていた。

 焦点となっていたのは、どの程度の引き上げが実施されるかという点で、イールド(エーカー当たり)の事前予測の平均は前月発表の174.0Buに対し176.3Buとされた。

 また、生産量の事前予測の平均は前月予測の142億3000万Buに対し144億1700万Buとされた。なお、前年度のイールドと生産量は176.6Bu、146億0400万Buと見込まれていたため、今回の需給報告ではイールドおよび生産量予測は引き上げられるものの、いずれも前月を下回ると見られていたことになる。

 しかし、実際の発表では生産量こそ前年度を下回る145億8600万Buとなったがが、イールドは178.4Buと過去最高値に一気に引き上げられた。

 この生産量の引き上げに伴い、飼料用需要、輸出用需要がそれぞれ引き上げられたものの、3億5600万Buもの生産量引上げを一部相殺するに過ぎず、結果として期末在庫量は前月予測の15億5200万Buから16億8400万Buへと引き上げられ、同時に期末在庫率も前月予測の10.5%から11.2%への上方修正となった。

 CBOTコーン価格は作付の順調な進行を受けて5月末に下落傾向を強め、6月19日には338.75セントの安値まで下落し、その後は7月上旬から中旬にかけて上昇した後に再び値を落としたが、その背景となっていたのは米コーンベルトの順調かつ良好な生育を背景とした豊作見通しだった。

 それにもかかわらず、7月の需給報告では6月時点の予測から生産量は上方修正されたものの、作付面積を引き上げることでの生産量の引き上げにとどまり、イールドそのものは据え置かれていた。

 今回の需給報告でイールドが過去最高値まで一気に引き上げられたのも、良好な作柄を維持し、かつ平年を上回るペースでの生育が続いていたにもかかわらず、これまでイールドを据え置いてきた反動とみられる。

 それにもかかわらず生産量が過去最大に達していないのは、過去最大を記録した16/17年度に比べて作付面積が縮小していることが原因となっている。ちなみに、16/17年度のコーン作付面積は8670万エーカーだったのに対し、18/19年度は8180万エーカーだった。

 なお、16/17年度の生産量は151億4800万Buだったが、18/19年度の現時点での推定イールドから割り出すと、生産量が150億Bu台を示現するためには8408万エーカーの収穫面積が必要となる。

 収穫面積とは作付面積とは異なり、実際に収穫される面積で例年、作付け面積よりも8%程度縮小する傾向がある。そのため、今後は作付面積が9100万エーカーに近づけば生産量は150億Bu台に載せてくる可能性が高まると推測される。

 ただ、注意しておきたいのはコーンのイールドは今後も引き上げられる可能性を残している点だ。というのも、週間作物進度報告ではじりじりとコーンの作柄悪化が伝えられているとはいえ、それでも8月12日時点で良以上の割合は引き続き70%以上を維持している。

 今週に入ってから米コーンベルトでは降雨や気温の低下が見られているうえ、米コーンベルトではコーンが結実から成熟に向かっており、ここからの天候異変による作柄の悪化が生産量の減少につながる可能性は低いからだ。

 生産量を引き下げる可能性がある要因として残されているのは寒波の早期到来が挙げられるものの、過去には12月まで収穫が遅延しても生産量には大きな影響が見られなかった経験もあり、今後の生産量の引き下げを見込むのは難しい。

 シカゴ市場のコーン価格にはすでにイールドの大幅な引き上げと、これに伴う豊作見通しに織り込み感があり、価格の下落が値ごろ感からの買いや来春の作付縮小見通しを強めるなか、370セントを下値支持にしての価格推移が続いている。

 しかしながら、豊作見通しに加え、今後の天候次第では引き続きコーンイールドが微調整されるなかで引き上げられる可能性がある点に注意が必要だろう。

<南米諸国の動向>
 米国と同時に注目されるのが、世界第2位、第3位の輸出国であるブラジル、アルゼンチンの動向だ。

 17/18年度の場合、両国ともに高温干ばつに見舞われた影響でコーン生産量は前年度を下回る見通しが示されている。アルゼンチンの場合は16/17年度の4100万トンに対し17/18年度には3300万トンへ、ブラジルの場合は9850万トンから8300万トンへの縮小とされた。

 USDAは、縮小した生産量が18/19年度のアルゼンチン産は4100万トンと再び4000万トン台に、そしてブラジル産は9450万トンと9000万トン台に乗せてくることと予想している。

 ただ、ブラジルでは産地が高温乾燥に見舞われている影響もあり、前月時点の予測9600万トンからは若干の下方修正となった。

 17/18年度はアルゼンチン、そしてブラジルの減産の影響で米国のコーン輸出が拡大する影響が見られた。そのため、18/19年度は予想されているようにアルゼンチン、ブラジルでコーンの生育が順調に進めば、米国のコーン輸出が伸び悩む可能性もある。

 そうなれば米国内のコーン需給は現在予想されているよりも緩むことが予想され、当然のことながら市場にとっては上値を抑制する要因になってくる。

 ちなみにブエノスアイレス穀物取引所は、18/19年度のアルゼンチンのコーン作付面積は過去最大の1433万エーカーに達するとの見通しを示している。アルゼンチンのコーン作付は9月以降に本格化するが、実際にどの程度の作付面積が示現されるのかに注目したい。

 米国のイールド大幅修正が市場に弱気なサプライズをもたらした今回の需給報告だが、南米諸国の動向を見ても弱気な要因が見受けられるうえ、イールドに関しては若干とはいえ、まだ修正の余地を残している可能性がある。

 シカゴ市場の価格には下げ一巡感が強まっているとはいえ、需給報告の示す内容を見る限り、さらに上を目指す基調を取り戻すのはまだ先のことと思われる。

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平山順(ひらやま・じゅん)氏

中央大学法学部卒、英国留学後
(株)日本先物情報ネットワークに入社。現在主任研究員。
商品全般に通じ特に穀物市場を得意とし、テクニカル分析には定評がある。
1999年にシリーズ3(米国先物オプション外務員資格)に合格。

株式会社日本先物情報ネットワーク

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