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低迷の長引きそうなNY金

 NY金は中心限月18年12月限ベースで1220ドルを前後する足取りが続いてい
る。1210.20ドルまで値を落とした7月19日の取引後には売り警戒感からすぐ
に買い戻されて1240ドル前後まで浮上したが、今月2日に1215.30ドルまで
値を落とした後は、浮上する気配が乏しいなか、1220ドルを前後する足取りが続い
ている。

 金融市場では米国の追加利上げや今後の追加利上げ回数の引き上げ観測が金利を生む
資産への指向性を高めるなか、米中貿易摩擦懸念が浮上した結果、金市場から逃避買い
需要としての代替先となるうえ金利上昇の恩恵を受ける可能性が高いドル、債券市場へ
と資金が流出する動きとなり、さらに値位置を下押される結果となっている。

 前述のように7月19日に1220ドルを割り込んだ時点では値ごろ感からの買いが
強まってすぐに価格を回復したものの、現在は同水準まで価格が割り込みながらもこれ
を買い拾う動きは乏しい。7月31日~8月1日にかけて開催された米連邦公開市場委
員会(FOMC)が金市場にとってさらなる重石となっているからだ。

<FOMCは年内の追加利上げ回数の拡大を示唆>
 今回のFOMCはパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長の記者会見が予定さ
れておらず、従来、議長の記者会見が行われないFOMCにおいて金利の変更が決定さ
れる傾向が少ないこともあって、もともと今回の追加利上げは見込まれておらず、その
一方で、FRBが米国の景気をどのように判断し、それをもとにしてどのような金融政
策を予定するか、という点が注目されていた。

 このような中、発表されたFOMCの声明文では、米国の経済活動に関する文言は前
回のsolid rate(底固い)からstrong(力強い)へと一段、引き上げられたうえ、注目
されるインフレ率についても前回の2%に近づいた、との文言から2%前後にとどまっ
ている、とされるなど、インフレ目標に近づいた後に目標値近辺を維持している、との
ニュアンスを表す文言へと変更されている。

 つまり前回のFOMCから今回のFOMCへと移り行くなかで、FRBは米国経済に
対しより一段と強気な見方を固めてきたことが窺われる内容となっている。

 FRBが米国経済の成長に対し強気な見方を示したことは、年内の追加利上げ回数の
引き上げ観測を強める結果となり、現時点では9月、そして12月のFOMCで追加利
上げが実施されるとの年内残り2回の追加利上げを見込む向きが強まっている。

 これが、将来のドル高見通し、そして金利を生む資産への資金シフトの動きをより
いっそう根強いものとし、その結果として金価格が低迷を強いられるという流れをさら
に強固なものとしている。

<価格下落でも需要は低迷>
 金価格の低迷は上記のサイクルが原因となっているが、将来的な価格の上昇を見込む
のが難しいことが金需要そのものにも影響を与えていることが金の国際調査機関である
ワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)の発表で明らかとなった。

 WGCが3日に発表した今年第2四半期(4月~6月)の世界金需要は前年同期比
4%減の964。3トンだった。前四半期である1~3月期と合計すると、上半期の需
要はこれは1959.9トンになるが、これは2009年以来の最低の水準となる。

 注目されるのは、金価格の低迷が続いているにも関わらず金に対する需要が盛り上が
らず、四半期の需要は1000トンを割り込む傾向が強まっている点だ。

 特に需要の減少が顕著だったのはETF関連で今年第2四半期の需要は33.8トン
で前年同期の28.7トン下回る結果となった。

 その一方で宝飾用需要に関しては中東やインドの減少分を米国、中国の増加が相殺し
た結果、前年同期の519.4トンに対し510.3トンに減少。減少幅は9.1トン
と一桁台の減少ではるが、金価格の低迷がドル高に相殺された結果、中東諸国、中国な
どでの需要が抑制された点が健衛される。

 同時に地金・コイン投資は前年同時期に比べると0.2トン減少した247.6トン
となっている。減少幅自体は大きくはないものの、金価格が低迷しているにもかかわら
ず需要の増加が見られていない、という点に金需要の弱さが窺われる。

 なかには工業用需要など前年同期の81.5トンを上回る83.3トンに達するな
ど、需要の増加も見られる分野もある。

 しかし、全体を通して見ると、金価格が低迷した状態にあるにも関わらず需要の伸び
の抑制または需要が減少したことが示された内容となっている。つまり、価格下落して
も将来的なドル高見通しが強い現状では需要が伸び悩むどころか、投資用需要をのみな
らず、ドル高を受けた宝飾用需要の減少傾向などが結果として生じることが改めて示さ
れたといえる。

 4月~6月という時期は世界的に宝飾用の需要は停滞する時期にあたる。そのため、
第3四半期そして第4四半期と宝飾用としての金需要が拡大する時期にはある程度の、
盛り返しが見られる可能性がある。

 投資用需要のみならず宝飾用としての需要もドル高とこれに伴う他国の通貨安を受け
て不振に陥いるリスクを抱えているだけに、需要の増加期待とは裏腹に金価格が低迷を
強いられる可能性も根強いのではないだろうか。

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平山順(ひらやま・じゅん)氏

中央大学法学部卒、英国留学後
(株)日本先物情報ネットワークに入社。現在主任研究員。
商品全般に通じ特に穀物市場を得意とし、テクニカル分析には定評がある。
1999年にシリーズ3(米国先物オプション外務員資格)に合格。

株式会社日本先物情報ネットワーク

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