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底固く推移するコーン価格の背景

<大豆に比べて底固いコーン市場の動き>
 米中間の貿易戦争に対する懸念が深まるなか、大豆市場では暴落場面が続いています。一方のコーン市場ではこの動きに追随する足取りが見られながらも、大豆に比べると底意の強さを窺わせる動きとなっています。

 大豆、コーンの中心限月はそれぞれ昨年付けた安値付近での推移となっています。大豆の場合は7月限は一代の安値を更新し、その後は2017年6月下旬の水準での往来となっており、コーンの場合は一時的に昨年11月の水準まで値を落とした後に持ち直しながらも380セントを上値抵抗にしての往来となっています。

 どちらも地合いの弱さを窺わせる足取りですが、大豆に比べるとコーンの足取りに底固さが感じられます。これは大豆とコーンの比価の推移が明確に示しています。

 大豆とコーンの比価は大豆の価格をコーンの価格で割り、大豆価格がコーン価格の何倍に値するかで判断します。大豆とコーンの価格が均等と考えられる水準は2.4前後と見られており、これを上回るようであれば大豆がコーンに対して割高、下回るようであればコーンが割高と考えられます。

 米国内の大豆需給はコーンに比べるとタイトな状態が続いており、大豆とコーンの価格差は2016年6月以降は概ね2.8~2.9前後で推移したほか、時折3.0、大豆の価格がコーン価格の3倍に達する場面が見られるなど、大豆がコーンに対して割高な状態が続いていました。

 今年に入ってからもこの状態は続いており、2月下旬までは2.7前後と、大豆に割高感の強い状態が続いていました。この比価は2月下旬には2.6前後に縮小し、その後も緩やかな縮小傾向を見せましたが、その背景となったのは、今春の大豆作付拡大観測でした。

 ただ、それでも中国の需要拡大期待を背景とした需給引き締まり観測もあって大豆需給にタイト感が根強いとの見方で6月上旬まで2.6前後の状態が続きました。

 しかし6月半ば以降に変化が訪れます。6月半ばにかけて縮小し13日に2.4台に達した大豆とコーンの比価は、再び2.5台に乗せながらも6月下旬にかけては再び縮小。26日時点では2.46まで縮小するなど、大豆の割高度が相殺されました。

 その背景となっている大豆側の要因が米中間の貿易戦争に対する懸念です。米国が追加関税導入を発表すれば中国が直ちに同規模の関税導入を発表するなど、報復合戦に陥るなか、両国が合意に至る可能性は低いとの見方から米国にとって中国向けの重要な農産物である大豆需要の大幅な低迷見通しが浮上したほか、リスクオフの地合いが強まっていることが価格を下押す要因となっています。

 大豆の暴落を促している最も重要な要因だけに、これが価格差縮小の主犯と考えられます。ただ、注意しておきたいのは大豆市場にとっての弱材料のみがこの比価の縮小を促しているわけではない、という点です。

 コーン市場においても価格をサポートする独自の要因が見られています。それはブラジルのサフリーニャコーンの不作懸念です。

<注意したいブラジル要因>
 ブラジルでは2017/18年度のサフリーニャコーンの収穫がいよいよ開始されました。今年度は高温乾燥に見舞われた影響でイールドの低下が懸念されていますが、マトグロッソ農牧連盟(Famsul)によると、同州では北部は比較的天候に恵まれたことで平年並のイールドが確保される一方、南部地域は高温乾燥が影響し、事前に予測されていた水準を40%程度下回る55~64Bu(エーカー当たり)にとどまる見通しとなっています。

 なおサフリーニャコーンの主要産地であるパラナ州、マトグロッソ州の生産量の見通しについては、現在はまだ収穫が開始されたばかりであるため、イールドの具体的な見通しはまだ発表されていないものの、国家食糧供給公社(CONAB)は6月13日に17/18年度のコーン生産量を420万トン引き下げた8500万トンとの見通しを示しています。

 注意したいのが、一期目のコーン生産量は50万トン上方修正された2670万トンとされる一方、二期目となるサフリーニャコーンの生産量が470万トン下方修正され、5820万トンと予測されている点です。

 この大幅な減産により同国のコーン輸出量も影響を受けることが見込まれますが、ブラジルの抱えている問題はこの減産だけではありません。ブラジルではディーゼル油高騰に端を発したトラックストが発生しましたが、一時は下落していた原油価格が再び上昇傾向を強めていることでブラジルの輸送コストが高止まりするリスクが高まっており、これが同国の穀物輸出停滞を促す可能性があると考えられるのです。

 これからの時期、注意したいのはブラジル要因だけではありません。米コーンベルトでは開花~受粉というコーン生育にとって最も重要な時期を迎えます。このような中、米コーンベルトでは高温予測が発表されています。

 米コーンベルトのほとんどの地域では土壌水分は潤沢に保たれており、短期的な高温がマイナスの影響を与える可能性は低いと見られます。ただ、ミズーリ、アーカンソーの両州では土壌水分の乾燥が進んでおり、高温と同時に晴天も広がるようであれば、高温乾燥に対する懸念が深まりかねません。

 米中貿易戦争に対する懸念がリスク回避ムードを高め、大豆に追随してコーン市場からも資金流出の動きが見られています。しかしながら、ブラジルの不作、そして米コーンベルトでの開花~受粉期入り、といったコーン独自の要因が、コーン価格を下支えすると同時に、価格上昇の機会を与える可能性も出てきていると考えられます。

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平山順(ひらやま・じゅん)氏

中央大学法学部卒、英国留学後
(株)日本先物情報ネットワークに入社。現在主任研究員。
商品全般に通じ特に穀物市場を得意とし、テクニカル分析には定評がある。
1999年にシリーズ3(米国先物オプション外務員資格)に合格。

株式会社日本先物情報ネットワーク

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