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米農務省需給報告で伝えられたこと

<予想外の据え置きとなった米国のコーン生産量予測>
 現地12日に米農務省(USDA)は月間需給報告を発表しました。今回の需給報告で注目されたのは米国産の18/19年度のコーンの生産量予測です。

 米国コーンベルトではコーンが生育期中盤に差し掛かっています。今年の場合、コーンが作付け初期段階で大幅な遅れを見せたことが懸念されました。しかし驚異的な追い上げを見せて5月第3週目には作付けペースが平年に追い付き、その後は天候に恵まれたこともあって作付け、発芽共に平年、前年同時期を上回るペースを維持しています。

 作柄のうち良以上の割合は6月3日時点で78%、6月10日時点では77%となっており、60%台後半だった前年同期を大幅に上回る、良好な状態が続いています。

 そのため、生育期中盤に差しかった段階ながら、生産量の上方修正を見込む声が挙がり始めており、今回の需給報告では生産量予測の上方修正見通しが浮上していました。

 ただし実際の発表は18/19年度のコーンのイールドは前月と同程度のエーカー当たり174.0Bu、生産量も140億4000万Buに据え置かれました。

 今回の報告には5月末までの生育状況が反映されています。そのため、平年よりも早い生育や良好な作柄が報告されているとはいえ、まだ発芽が始まったばかりの生育初期段階にあったことから、今回の報告で生産量を引き上げるのは時期尚早、としてUSDAが慎重な姿勢を見せたことがイールド並びに生産量据え置きの背景と考えられます。

 しかしながら、過去第3位のイールド176.6Buを記録した17/18年度は、生育開始以降、作柄の良以上が占める割合が70%を上回ることがありませんでした。昨年は6月から7月半ばという生育に重要な時期に干ばつに見舞われています。

 前年度に悪条件に見舞われながらも過去第3位のイールドを実現できた事実を考慮すると、前年度よりも好条件での生育が進んでいる今年度のイールドが前年度を上回ってきても不思議ではありません。

 そのため、夏場の熱波に対する警戒感が残るとはいえ、18/19年度のコーン生産量は今後、上方修正される可能性を大きく残していると考えておく方が無難でしょう。

<需給引き締まり感の強まる小麦市場>
 一方、今回の需給報告でコーン市場にとって強気のサプライズとなったのが、ロシアの18/19年度の小麦生産量の大幅減産見通しでしょう。

 ロシアの主要産地である黒海沿岸地域で高温乾燥が続き、かねてから小麦の作柄悪化が懸念されており、今回の需給報告にも作柄悪化が反映されました。

 その結果、18/19年度のロシアの小麦生産量は前月予測の7200万トンから6850万トンへの下方修正となりました。なお同国の17/18年度の生産量は8499万トンだったため、昨年度よりも1649万トンもの減産となります。

 ロシアは中国に次ぐ世界第2位の小麦生産国で、世界最大の小麦輸出国でもあり、17/18年度の輸出量は世界輸出量のうちの約22%に当たる4000万トンを輸出見通しです。18/19年度の輸出見通しは3500万トンとなっています。

 小麦が減産見通しが示されたことで、コーン市場では小麦の代替用需要観測が浮上しており、これも12日の取引でコーン価格を大きく引き上げる一因となりました。

 今のところ、18/19年度の小麦生産量はロシア、そしてEUが前月比で下方修正されていますが、オーストラリア、カナダでも高温乾燥が懸念されているうえ、米プレーン中南部でも高温乾燥の影響で悪化した冬小麦の作柄は回復の様子を見せないまま収穫期を迎えています。

 春小麦の生育が順調なことが冬小麦の作柄悪化を相殺していますが、今後米コーンベルトで高温乾燥が広がれば小麦の需給引き締まり懸念が高まる可能性があります。

 今回の需給報告では18/19年度の米国コーン生産量予測が前月と同量に据え置かれながらも今後上方修正される可能性が高い一方、同年度の小麦需給に関しては需給の引き締まりを警戒させる内容が伝えられました。

 米国ではこれからがコーン生育の本番となります。特に受粉~開花期を迎える7月を目前に控えているため、今後、米コーンベルトでの天気に対する意識が一段と強まることになるでしょう。

 しかしながら、コーン生産量が上方修正されたとしても世界的な小麦需給の引き締まり観測が示されたことはコーンにとって需要面での強気要因であり、12日の取引で小麦生産量の下方修正ショックはすでに織り込まれた感があるとはいえ、コーン市場にとってのサポート要因として、長く意識されることになりそうです。

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平山順(ひらやま・じゅん)氏

中央大学法学部卒、英国留学後
(株)日本先物情報ネットワークに入社。現在主任研究員。
商品全般に通じ特に穀物市場を得意とし、テクニカル分析には定評がある。
1999年にシリーズ3(米国先物オプション外務員資格)に合格。

株式会社日本先物情報ネットワーク

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