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作付進展でも不安を残すコーンの生育

 米国農務省(USDA)は最新の週間作物進度報告を7日に発表しました。今回の発表で注目されたのは、前週には大幅な進展が見られず前年同時期と平年を大幅に下回っていたコーン作付けの進捗度合いです。

 USDAが4月29日に発表した時点で、米コーンベルト18州の平均作付け進捗率は17%でした。それが5月6日時点では39%まで上昇したことが明らかとされました。

 前年同時期の45%、平年が44%を下回っていますが、前週から22%もの上昇を見せ、作付け遅れに対する懸念が和らいでいます。

 ただ、シカゴコーン市場のこの作付け進展に対する反応は薄く、週間作物進度報告直後の取引となった8日の日中取引は反発となり、中心限月の7月限は前日比2.50セント高の403.25セントで取引を終えています。9日には小幅反落に転じましたが、それでも7月限の下げ幅は0.50セントにとどまるなど、下落に対する抵抗を見せるなど、底固さを感じさせる足取りを維持しています。

【バラツキのある作付け進度】
 作付け進捗度の大幅な上昇にもかかわらず、シカゴコーンが堅調な足取りを演じ、その後も底意の強い足取りを維持している理由として、米コーンベルトでの作付け進度にかなりのばらつきが見られることが挙げられます。

 前述のようにUSDAが発表した5月6日時点の18州平均のコーン作付け進捗率は39%でした。これはあくまでも平均であり、州によってかなりバラツキがあります。

 4月29日から5月6日にかけて最も作付が進展したイリノイ州は、4月29日には32%だった作付け進捗率は5月6日には74%に達しました。一週間で42%の伸びを見せたことになります。イリノイ州以外にもインディアナ州は4月29日の8%から42%へ、オハイオ州は1%から23%へ、ミズーリ州は52%から78%へ、ネブラスカ州は17%から42%へと大幅な伸びを見せています。

 ただ、その一方でミネソタ州、ノースダコタ州、サウスダコタ州の3州は作付が大幅に滞っています。

 これらの週の5月6日時点の作付進捗率はミネソタ州が9%(前週は報告無し、前年同時期は32%)、ノースダコタ州(同報告無し、同20%)、サウスダコタ6%(同報告なし、同28%)にとどまっています。

 これらの州の作付が遅延しているのは、4月に入ってからも寒波に見舞われたことで土壌の温度が十分に上昇しなかったことが一因となっています。コーンは作付が行われても、発芽が促されるためには地中温度が最低でも10℃に達する必要があるほか、播種に適した地中温度は14℃前後とされています。

 寒波により低下した地中温度が上昇するまで作付を待った結果が現時点で作付け遅れという形で現れているわけです。

 なお、この3州では大豆、春小麦も生産されていますが、大豆もコーンと同様に作付けの進展が滞る一方、春小麦に関しては前年同時期を大幅に下回る水準とはいえ、5月6日時点の作付進捗率はミネソタ州が前週の2%から27%(前年同時期は59%)、ノースダコタ州が前週の3%から20%(同41%)、サウスダコタ州が前週の12%から51%(同93%)でした。

 つまり、4月29日から5月6日にかけての週はこれら3州では春小麦の作付が集中的に行われた様子が窺われます。これは単に、春小麦、コーン、大豆、という例年の順番通りに作付が行われた結果と見られ、今後はコーンの作付が集中的に行われる可能性が高まっていると考えられます。

 ただ、コーン市場では作付けが遅れれば夏場に高温乾燥のダメージを受けやすくなる、との懸念が強まる傾向があります。早めに作付けを終えることが出来れば、夏場に熱波が広がった場合でもそのダメージを出来るだけ軽い程度にとどめることが出来ると見られる一方、作付が遅れ、開花、受粉、結実の時期を通して熱波に見舞われた場合にはイールドが低下するリスクが高まる、と見られているのです。

 条件さえ整えばコーンの作付けは1週間で20%以上の進展を見せるのが当たり前となっていますが、ミネソタ州を含むコーンベルト西部では5月半ばまで雨がちな天気が続く見通しとなっています。実際に雨が降り続くようだと作付け遅れは致命的となりかねず、今後のこれら3州の天気が注目されます。

【ブラジルの高温乾燥】
 コーン供給における懸念要因は米コーンベルト一部地域の作付け遅れだけではありません。現在、二期目となるサフリーニャコーンの生育期を迎えているブラジルで高温乾燥が続いており、同国でのイールド低下リスクが高まっていることも懸念材料として浮上しています。

 ブラジルのコーン生産は夏場の一期目と冬場の二期目の二期作が行われていますが、近年は二期目(冬作)にあたるサフリーニャコーンの生産量が大きく伸びており、サフリーニャコーンの生産量は全体の約6~7割を占めるに至っています。

 ブラジルが世界第2位のコーン輸出国という地位を得るに至ったのも、サフリーニャコーン生産量の大幅な増加が背景となっていますが、そのサフリーニャコーンの生産量が高温乾燥の影響で減少するリスクが高まっています。

 特に深刻な状況なのが、サフリーニャコーンのうち18%を生産しているパラナ州、10%を生産しているマトグロッソドスルの両州です。この両州で高温乾燥が続くようであればブラジルのコーンイールドが低下するに伴い輸出も減少し、その結果として米国産コーンへの需要が高まる可能性が高まることになります。

 北米、南米、それぞれの産地が天候不良に見舞われていることで、現時点のコーン生育には黄信号が灯っていると言えるでしょう。米国では乾燥、ブラジルでは降雨、と産地によって望まれる天候が異なるなか、米国で天候の回復が見られたとしても一筋縄ではいかないと見られ、今後の両国での天気がますます注目されるところです。

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平山順(ひらやま・じゅん)氏

中央大学法学部卒、英国留学後
(株)日本先物情報ネットワークに入社。現在主任研究員。
商品全般に通じ特に穀物市場を得意とし、テクニカル分析には定評がある。
1999年にシリーズ3(米国先物オプション外務員資格)に合格。

株式会社日本先物情報ネットワーク

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