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米農務省需給報告が示唆する今後のコーン価格

 現地12日に米国農務省は需給報告を発表しました。通常の場合、米国のその年度の生産量は収穫が終了間近を迎えた12月でほぼ確定されます。

 そのため、今回注目されていたのは南米の生産量見通しと、同日に発表された四半期在報告の方でした。

 しかしながら、蓋を開けてみると17/18年度の米国のコーン生産量は前月予測の145億7800万Buから若干引き下げられた145億5700万Buとの事前見通しに反し、146億0400万Buへと上方修正されました。

 これはエーカー当たりのイールド見通しが前月予測の175.4Buから176.6Buへと引き上げられたことが背景になっていますが、市場にとってはこのイールドとこれに伴う生産量の上方修正は弱気のサプライズとなりました。

 というのも、前述のように収穫進捗率が90%以上に達した時点で生産量予測はほぼ確定されたとみなされる傾向があるからです。また、この時期に修正が見られたとしても、収穫遅れや寒波による影響などが加味された結果の下方修正される傾向が強いこともサプライズの一因となりました。

 実際、1月発表の需給報告の過去の動向を振り返ってみると、2014年以降、連続して1月の需給報告でコーンの生産量予測は下方修正されています。

 過去には1月の需給報告でコーン生産量が上方修正されたこともあるため、上方修正の可能性が全くないわけではありませんが、それでも需給緩和が見込まれるなか、ここに来て改めて生産量が引き上げられたことは、市場にとってずっしりとした重みのある材料となりました。

 なお、この生産量予測の上方修正を受けて17/18年度のコーン期末在庫率は17.1%と2005/06年以来の高い水準まで上昇する見通しとなっています。

【小麦は世界的な需給緩和が示される】
 コーン市場にとって注意したいのはこの米国のコーン生産量の上方修正のみが弱材料となっているわけではないという点です。というのも、代替消費の関係にある小麦の世界的な需給緩和の動きも今回の需給報告で示されているからです。

 まず、厳しい寒波にさらされているにもかかわらず、17/18年度の米国の全小麦生産量予測は前月と同量の17億4100万Buに据え置かれました。
 
 さらに世界需給を見てみると、ロシアの生産量が前月予測の8300万トンから8500万トンに引き上げられたことが主な原因となって、17/18年度の世界小麦生産量は前月予測の7億5521万トンから7億5701トンへと上方修正されています。

 世界的に消費が増加する結果、期末在庫量は前月予測の2億6842万トンから2億6802万トンへと引き下げられているものの、ロシアの生産量引上げは米国の輸出が圧迫されるという形になって現れると考えられるため、米国内の小麦需給が緩和に向かう可能性が高まると予測されるのです。

 この輸出低迷は小麦に限ったことではありません。現在、米国はコーンの輸出においても苦戦を強いられています。これまでであれば価格が下落したところでは実需が膨らむことが想定されましたが、シカゴ市場の中心限月が350セントを下回る水準で低迷するなかにおいても米国のコーン輸出は盛り上がりに欠き、前年同期を大幅に下回る状態が続いています。

 ちなみに、1月4日時点の米国のコーン成約累計は2710万8800トンとなっていますが、これは前年同期の3633万6000トンを約25.4%と大幅に下回る量です。

【南米の生産力拡大で輸出市場の競争激化】
 価格が低迷しているにもかかわらず、輸出が伸び悩んでいるという現状は南米諸国での生産力の拡大を受けて輸出市場における競争の激化を窺わせています。

 その南米諸国のうちブラジルでは2月以降にコーンの主要生育期を迎えます。2015/16年度にはこの時期にブラジルが乾燥した天気に見舞われた結果、同国のコーンが減産となりこれを受けて米国の輸出用需要は4191万トンにとどまると予測されていましたが、最終的には4829万トンまで拡大しました。

 米国の生産量予測が引き上げられると同時に、期末在庫率も2005年以来の水準まで上昇するという豊富な国内在庫が見込まれていることで、米国内では荷圧迫感がますます強まっています。

 また、プレーン北部の寒波による小麦減産が見込まれていたことで小麦の代替需要が高まるとの期待も今回の需給報告で否定されてしまいました。

【今春の米国産コーンの作付けは縮小の可能性】
 コーンの需給引き締まりを促す目先の要因として挙げられるのは、大豆収穫後に開始されるブラジルでのサフリーニャコーンの作付遅延、そして今春の米国での作付面積縮小の可能性です。

 現地17日の取引でシカゴ市場の中心限月は350セント台を回復しています。ただ、需給面が弱気であることがUSDA需給報告で示されている以上、この水準から大きく値を上げていくのは難しく、ブラジルの天候、そして今春の米国コーン作付面積見通しが意識されながらも、需給引き締まりが期待できる材料が浮上しない限りは上値の重い展開が続くと予想されます。

 なお、価格が伸び悩むなか輸出も低迷し、これが価格の重石になって居るという現状から見ると今春の米国のコーン作付は縮小に向かう可能性があります。なお、米国の春の作付が春小麦、大豆、コーンで占められているうえ、小麦価格も低迷しているところを見ると、大豆のみが作付面積を伸ばすとも考え難く、休耕地の面積が拡大する可能性も視野に入れて置く必要があるかもしれません。

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平山順(ひらやま・じゅん)氏

中央大学法学部卒、英国留学後
(株)日本先物情報ネットワークに入社。現在主任研究員。
商品全般に通じ特に穀物市場を得意とし、テクニカル分析には定評がある。
1999年にシリーズ3(米国先物オプション外務員資格)に合格。

株式会社日本先物情報ネットワーク

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