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復調の白金、強い足取りの背景を考える

 NY白金が昨年12月下旬以降、大幅に値位置を切り上げて居ます。年が明けてからも勢いが衰えることは無く、中心限月の4月限は1月8日の取引で979.20ドルまで上昇し、昨年9月15日以来の高い水準に達しました。

 980ドル前後という水準は過去の白金の価格と比べると高いとは言えない水準です。それでも16年8月8日に1199.50ドルと1200ドルに迫る動きを見せた後に値位置を落としました。

 軟調な地合いはその後も続き、2016年9月下旬に終値ベースで1050ドルを和割り込んだ後は1050ドルを上値抵抗にしての足取りを1年以上に渡って演じています。

 この低迷場面において900ドルを割り込む場面も何度か見られました。900ドル割れに対しては強い抵抗を見せながらも、上げ余地は限定される頭の重い足取りが続いていましたが、特に昨年9月以降は上値圧迫感が一段と強まりを見せ、950ドル以下での推移が続きました。

 特に昨年12月上旬から半ばにかけては下げ足がキツイ状態が続き、わずか9営業日で65ドルもの下げ幅を記録していました。

 しかしながら、12月13日の取引で872.40ドルまで値を下げてこの日の取引を875.40ドルで終えた後は地合いが一気に強まり、前日のように980ドル付近まで値位置を切り上げて居るのです。つまり、16営業日で100ドルを超える上げ幅を記録したことになります。

【白金の急反発の背景にパラジウムの暴騰】
 このような白金価格の急反発は、パラジウム価格の暴騰が背景になっていると考えられます。

 2016年6月下旬は600ドルを下回る水準で推移していたパラジウム価格は、その後、長期に渡って上昇トレンドを維持し昨年10月上旬にはとうとう白金とパラジウムの価格差は逆転しました。

 その後も白金が下落傾向を維持したのに対し、パラジウムは上昇し続けた結果、昨年12月13日には白金とパラジウムの価格はパラジウムが白金を129.1ドル上回る程度まで拡大したのです。

 パラジウムの上昇トレンドが開始した当初の2016年6月末時点の値開きは白金がパラジウムを440.65ドル上回っていました。

 なお、白金とパラジウムの比価は生産コストなどから白金がパラジウム価格を上回るのが常態だったため、パラジウム価格が白金価格を上回るほどの水準まで上昇したことは大きなサプライズと言えます。

 それではなぜパラジウムはこのような大幅な上昇トレンドを描いたのでしょうか。それはパラジウムの供給不足に対する警戒感の強まりが原因となっています。

 ある貴金属の需給バランスを計る指数としてリースレートが利用されます。リースレートとは貴金属を貸し借りする場合の金利のため、供給にひっ迫感が強いほどリースレートは上昇すると考えられます。

 そのパラジウムのリースレートは2016年前半は概ね0%前後で推移していましたが、2016年後半には上昇傾向を強め、2017年に入ってからは20%を超える急上昇場面を含め高水準で推移し続けました。

 パラジウムの価格が白金を上回った昨年12月半ば時点の状況を振り返ってみると、金、銀のリースレートが共にマイナス、白金は0.1%程度となっていたのに対し、パラジウムはおよそ9.70%となっています。他貴金属と比してパラジウムのリースレートが如何に高い水準にあるかが分かります。

 このようなパラジウムのリースレートの上昇は、ロシアの地上在庫の枯渇を背景とした長期的な供給不安に加え、自動車用触媒としての需要が白金よりも廉価なパラジウムに向かったことが背景と見られます。

 なお、白金もパラジウムも同様に自動車用の触媒が主な用途となりますが、自動車用触媒として白金とパラジウムのどちらが使用されるかという点に関しては、その時点で廉価な方が選ばれる傾向があります。

 この傾向から、これまでは価格が廉価だったパラジウムに需要が向けられていたものの、パラジウムと白金の価格が逆転したことで今後は白金へと需要がシフトする可能性が高まってきています。

【白金の割安感が強まると価格差が是正に向かう】
 今回の白金価格の上昇も、パラジウムとの価格差調整のための買いが見られるただけでなく、パラジウムとの価格差逆転を受けて白金への需要シフトの可能性を見込んだ買いが入ったことが背景になっていると考えられます。

 そのため、パラジウム価格の高騰が長引き白金の割安感が強まるようであれば、今度は白金へと需要がシフトし、これに伴い白金とパラジウムの価格差が是正に向かうことになりそうです。

 ただ、白金からパラジウムの需要シフトに時間を要したように、生産体制を整える必要が生じることもあって、白金への需要シフトは時間をかけて行われると考えられます。

 現地1月9日時点のパラジウムのリースレートは依然として7%台と高水準を維持する一方、白金のリースレートは0.00%にとどまっています。パラジウムの供給ひっ迫懸念の根強さが窺われるものの、年が明けてからは緩やかな下降傾向を見せています。

 リースレートの動きからはまだ、パラジウムへの需要の根強さが窺われますが、今後のリースレートの動き次第では白金市場への資金流入の動きが活発化してくることになりそうです。パラジウムのリースレートが下降傾向が続くのか、そして白金のリースレートが上昇傾向を見せるのか、今後の価格差を見るうえで注意が必要です。

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平山順(ひらやま・じゅん)氏

中央大学法学部卒、英国留学後
(株)日本先物情報ネットワークに入社。現在主任研究員。
商品全般に通じ特に穀物市場を得意とし、テクニカル分析には定評がある。
1999年にシリーズ3(米国先物オプション外務員資格)に合格。

株式会社日本先物情報ネットワーク

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