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ジンバブエの動乱が白金価格に与える影響を考える

 ジンバブエでは37年に渡り政権を握っていたムガベ氏が大統領を辞任しました。同氏の大統領辞任は、先週15日に発生したクーデターを受けてのもので、自宅での軟禁状態に置かれて1週間を経た後、弾劾裁判が始まる前に議会に提出した書簡において辞意を表明しました。

 同大統領の辞任はジンバブエ国内では喜ばしい報として取り上げられています。しかしながら、ムガベ氏が後継者を指名していないことから、同国の今後の政権の行方に関しては不透明感の強い状態が続いています。

 今のところは11月6日に解任されたムナンガグワ前第1副大統領が暫定政権において主導的役割を果たすと見られているものの、確定的ではありません。

 このジンバブエのクーデターと大統領辞任劇は白金市場においては買いを支援する材料となりました。というのも、ジンバブエは南アフリカ、ロシアに次ぐ世界第3位の白金供給国だからです。

 貴金属調査会社であるGFMSのデータからは2016年の同国の白金生産量は、世界の総供給量604.6万オンスのうち約8%を占める48.4万オンスとなっています。また、南アフリカに隣接するという地理的な位置やジンバブエの白金生産業者であるジンプラッツ社は、その株式の約87%を世界第2位の白金生産をほこるインパラ社が保有するなど、白金生産において南アフリカと強いつながりがあります。

 さらに、同国の白金埋蔵量は世界第2位の白金生産国であるロシアの1100トンに対し1200トンと見積もられるています。その生産量、埋蔵量、そして南アフリカとの繋がりといった点から白金供給という点においては最も重要な国のうちの一つと言えます。

 このジンバブエのクーデタ―に対してNY市場では当初は反応が見られませんでしたが、週末となる現地17日の取引において中心限月の1月限は9月20日以来の高値となる957.5ドルを付けた後、前日比18.4ドル高の954.6ドルで取引を終えています。

 ただ、週が明けてからのNY白金は反落に転じ、1月限は923.60ドルで取引を終えるなど、ジンバブエの政治情勢に対する見通し不透明感に対する懸念を早くも織り込んだとも見られる動きを見せています。

 37年もの間に渡って政権を握ってきた大統領がクーデターの上で辞任を選択した、という本来ならば供給懸念とこれに伴う価格上昇がさらに促されてもおかしくないような状況とも言えます。

 それにもかかわらず週が明けると早速価格が下落に転じた理由としては、この動乱によってもジンバブエにおける供給に大きな影響はないとの見通しが強まったことにあると考えられます。

 というのも、ジンバブエと南アフリカの白金生産における提携方法が、ジンバブエで生産された白金鉱石を南アフリカの製錬施設において精錬するという流れのなか、ジンバブエ政府は白金の未精錬鉱石に対しては15%の輸出関税を付加するか、ジンバブエ国内での製錬施設の建設の奨励を発表しながらも、その関税導入並びに製錬施設の建設は保留状態にあるからです。

 大統領の辞任というのは政治的には大きなインパクトがありますが、白金市場において注目されるのは、今後の政権が白金が生みだす利益を囲い込む政策を実施するかどうか、という点でしょう。

 そもそも、白金はジンバブエでの生産量が減少したとしても価格の継続的な上昇を見込むのが難しい状況にあります。

 というのも、欧州ではドイツの自動車大手フォルクスワーゲン(VW)社が排ガス試験において不正を行っていたとの問題が発覚して以降、ディーゼル車の需要は減少する一方、今後は電気自動車(EV)の需要が増加するとの見方が強まるなか、ディーゼル車の触媒用としての白金需要の減少は避けられない、との見方が強まっており、これが価格を圧迫する要因になっているからです。

 また、ワールド・プラチナ・インベストメント・カウンシル(WPIC)は四半期報告において、2018年における白金の供給不足量は2017年の0.5トンから8.6トンに拡大するとの予測を発表しています。

 ただ、近年は生産量が減少してもリサイクルによって不足分が賄われる結果、需要と供給の帳尻があう状態が続いています。

 特に白金の主な用途である触媒用としての需要減少が見込まれる状況下では、需給引き締まりに対する警戒感は薄く、これから樹立されるジンバブエの新政権の政策次第とはいえ、頭重い足取りを脱するのは難しい状況が続くと思われます。

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平山順(ひらやま・じゅん)氏

中央大学法学部卒、英国留学後
(株)日本先物情報ネットワークに入社。現在主任研究員。
商品全般に通じ特に穀物市場を得意とし、テクニカル分析には定評がある。
1999年にシリーズ3(米国先物オプション外務員資格)に合格。

株式会社日本先物情報ネットワーク

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