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原油価格上昇

 NY原油は緩やかながら上昇トレンドを描いています。現地10月9日の取引では期近ベースで49.13ドルまで値を沈めた後も50ドル台を回復できずに引けを迎えていましたが、それ以降は、修正安を入れながらもじりじりと値位置を切り上げ、52ドルを前後する足取りを演じています。

 一時は50ドルを割り込む水準まで値を落としたNY原油が価格が上昇した背景となっていたのは、石油輸出国機構(OPEC)が協調減産の強化に向かっているとの見方です。

 特にバルキンドOPEC事務局長が減産協力国の拡大などを示唆していることもあり、来月のOPEC総会では減産強化や減産枠拡大などの決定があるとの見方も浮上しています。

 このようなOPECの減産協調に対する期待感の強まりが価格を押し上げる一方、原油価格が52ドル台を上抜けずに伸び悩みの様相を強めている様子も窺われます。

 実際、NY原油が52ドル台に達したのは現地10月16日の取引でしたが、その後は価格の下落こそないものの、9月28日の取引で付けた52.86ドルという高値が上値抵抗として意識されるなか、もちあい程度での推移が続いています。

 OPECの減産協力国の増加や減産協力枠の拡大観測が強まりながらもNY原油が伸び悩んでいる理由となっているのが、価格が上昇すればシェールオイル生産量が拡大する結果、OPECの減産による影響が相殺されるとの見方でしょう。

【第2次シェール革命進行中】
 シェール革命によって産油コストが低下したと見られるなか、現在は50ドル以下でも採算が取れる第2次シェール革命が進行中とされています。

 英国のキングス・カレッジ・ロンドン政策研究所のニック・バトラー客員教授がフィナンシャルタイムス(FT)紙上で示した見解によると、第2次シェールオイル革命が進行するなか、新たな生産拠点であるテキサス州のパーミヤン地域の開発が進む中、今年は日量40万~80万バレル程度の増産見通しとなっています。

 また、同地における開発を受け、米国の産油量は2020年まで日量80万バレルの増加を継続する結果、2020年時点の産油量(日)は1000万バレルを超えてくることが予測されています。

 このような産油量の増加見通しを受け、OPECの減産枠拡大もシェールオイルの生産量拡大に相殺されるとの見方が定着しており、これが原油価格の上値を抑制する要因になっているのです。

 とはいえ、OPECの協調減産によって原油価格が上昇すれば、OPECの協調減産幅を相殺するほどにシェールオイル生産量が拡大する可能性について、懐疑的な見方が浮上しています。

 FTは10月18日付の記事においてベーカー・ヒューズ社による水平リグと垂直リグの数の推移を示しています。同記事によると、今年8月まで増加傾向を維持していた水平リグの数は9月以降は伸び悩みに転じました。

【シェールオイルの生産性は既にピークに達した可能性】
 シェールオイル革命を実現させた技術の一つとして水平リグの存在が挙げられます。水平リグは岩石との接触面積の拡大を促し、その結果として産油量の増加をもたらします。そのため、産油量の拡大を促すために垂直リグから水平リグへと転換を進めることで産油量の拡大が促されてきていましたが、それがここに来て頭打ちの状態になっている可能性が示されているのです。

 つまり、より生産性の高いリグへの転換は終了間近になっている、そのため、リグの形態変化による生産性の拡大をこれ以上、見込むのは難しくなってきている、という状況が示されていると考えることが出来るでしょう。

 一方、米国エネルギー省(EIA)の統計から1つのリグからの産油量が減少傾向にあることが分かります。 

 ベイカーヒューズ社によると2014年1月第1週時点のリグ稼働数は1378か所でした。これに対し同期の米国の産油量(日)は814万5000バレルだったため、リグ1箇所当たりの平均産油量(日)は約5900バレルだったことが分かります。

 その後、1リグ当たりの産油量(日)は2016年半ばにかけて約2万7600バレルまで増加したものの、その後は減少に転じ、2017年10月4日時点ではおよそ1万1310バレルとなっています。

 この稼働リグ数はシェールオイルに限ったものではありませんが、従来のリグからの産油量には増産を見込むのが難しいという現状から見ると、急激な産油量の伸びはシェールオイルの増産によるものであることが推測されます。それがこの1年は縮小に転じている点からすると、シェールオイルの生産効率も低下している様子が窺われるのです。

 NY原油価格が上昇すれば、価格上昇が生産意欲を刺激しシェールオイルの産油量が拡大する可能性はあると思われます。しかしながら、生産性の高いリグへの転換が終了間近になっている様子が窺われていることに加え、1つのリグからの産油量にもピークアウトした感が強まっていると推測される状況から見ると、シェールオイルの生産性は既にピークに達した可能性が出てきていると思われます。

 そのため、原油価格の上昇がシェールオイルの増産を誘発する可能性はこれまでほど高くはなく、OPECの減産枠や減産協力国の拡大といった政策は、今後、予想されている以上に功を奏することになるかもしれません。

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平山順(ひらやま・じゅん)氏

中央大学法学部卒、英国留学後
(株)日本先物情報ネットワークに入社。現在主任研究員。
商品全般に通じ特に穀物市場を得意とし、テクニカル分析には定評がある。
1999年にシリーズ3(米国先物オプション外務員資格)に合格。

株式会社日本先物情報ネットワーク

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